商品を購入する時だけではなく、何かサービスを受ける時に、どうしても気になるのは値段の違い。
異なるお店同士はもちろん、同じお店の同じ種類の商品の中でも様々な値段が並び、どれを選ぶべきなのか、値段の違いは何なのか、そしてその違いの分の価値はあるのかなど、悩ましいものです。
それは、旅行でのホテルや航空会社の選択でも同じようなものかもしれません。
そんな中、最近手に取った書籍の中で面白いと感じた1冊が、東京書籍から出版されている「くらべる値段」。
この本は34の身の回りにある品目を選び、その中で2つの異なる値段の2品について、値段の違いの理由を解説するというテーマで作り上げられています。
その34の身の回りにある品目のラインナップは、
- うな重
- 羽毛布団
- おろし金
- カステラ
- カニ缶
- かまぼこ
- 革靴
- ギター
- 金魚
- コーヒー豆
- 胡蝶蘭
- 財布
- サッカーボール
- 椎茸
- ジーンズ
- シャツ
- シルバーアクセサリー
- すき焼き
- 寿司
- 炭
- ダーツ
- 畳
- 中トロ
- 机
- 海苔
- バナナ
- 花火
- フライパン
- ヘッドフォン
- 包丁
- 本
- 盆栽
- 巻き簾
- 万年筆
というなかなか強力な布陣。
少なくとも複数の品目についてどんな比較になっているのか気になるはずです。
それぞれの品目を特集したページはと言うと、2つの異なる値段の品目同士の美しい写真を見開きで左右に並べ、じっくり見比べることから始まります。
そして、次のページには値段の違いの答え合わせ。
そこでは、同じ品目でも異なる値段に分かれる理由が納得できる形で解説されています。
私が興味深いと感じたのは、その値段が異なる理由が
- 量
- 素材
- 手間暇
- 希少性
の4つの単独、または複合によって説明されていること。
少しだけネタバレすると、単純に1人前の分量が多くなっているから高いうな重に対して、職人が手間暇かけて手作りしているため高くなっているかまぼこなど、同じ食品でもその理由の違いが楽しめる構成になっていて、品目同士を比べてみるのも面白いです。
もちろん、それぞれの品目について普段からこだわりを持っている詳しい方にとってはちょっと深いだけの当たり前の知識が解説されているだけと感じるかもしれません。
しかし、これだけ多種多様な品目について、分かりやすく興味を引く形で知識をまとめて提供していることにこの本の本領があると思います。
しかも、それぞれの品目の最後のページには、取材に協力してくれた専門店などの情報が案内されていて、興味を持った品目については実際に訪れてみることも可能になっています。
そのため、これまで知らなかった分野への最初の1歩を案内してくれる手軽なガイドとしては十分良質な仕上がりです。
さらに、紙面は写真がふんだんに利用され、文章だけではなく写真だけでも楽しめるのも、気が向いた時に手に取れる1冊としても嬉しいですね。
同じ品目で値段の違いを見つけると、高いほうがいいとは思いつつも、それだけの価値が本当にあるのか、少しだけ悩んでしまうことは日常生活ではありふれたことだと思います。
その値段の違いの裏側をほんのちょっとだけ実際に覗き込んでみるきっかけとして、この「くらべる値段」はなかなか面白い1冊です。
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