普段はJALを中心としたワンワールドに加盟する航空会社を利用している我が家では、数十年ぶりにANAを利用する機会がありました。
そのきっかけはANAも加盟するスターアライアンスの盟主、ルフトハンザのマイルを利用して、ANA国内線特典航空券の予約と発券を行ったから。
最後にANAのフライトを利用したのが数十年前ですから、その時のフライトがどのようなものだったのか細かく覚えているはずもありません。
そのため、とても新鮮な気持ちで数十年ぶりのANAフライトを楽しむはもちろん、普段から利用しているJALとの違いを冷静に観察することもできました。
便数の充実はJALにはないANAの魅力
今回のANA国内線特典航空券では、出発当日の空港で空席が残っている時のみ本来は無料での予約変更ができない航空券でも無料利用の対象になる前便変更を活用したのですが、その結果、実感することになったのが便数が充実しているというANAの持つ国内線での強み。
実際、マルチエアポートとして、羽田空港と成田空港を含めた東京エリアから、伊丹空港と関西空港、さらには神戸空港を含めた大阪エリアへ向かう便数をJALとANAで比較してみると、
JAL
- 羽田空港 → 伊丹空港:15便
- 羽田空港 → 関西空港:3便
- 成田空港 → 伊丹空港:2便
ANA
- 羽田空港 → 伊丹空港:15便
- 羽田空港 → 関西空港:5便
- 羽田空港 → 神戸空港:2便
- 成田空港 → 伊丹空港:2便
という内訳になっていて、JALが合計20便に対して、ANAは24便。
羽田空港-伊丹空港間こそ15便でJALとANAで拮抗していますが、ANAでは羽田空港-関西空港間での2便とJALでは運行されてすらいない羽田空港-神戸空港の2便も有しているため、最終的にはJALに対して20%も便数が多くなっています。
こうした状況は豊富な空席が提供されることにもつながるため、
- 有償航空券の安価な購入
- 特典航空券用の空席増
- 前便変更利用時の選択肢増
といったメリットは、JALよりもANAの方が期待できそうです。
豊富に用意されたプレミアムクラス運航便
普段JALを利用している立場でANAの国内線時刻表を見た時に最も面食らうことになるのは、豊富に用意されたプレミアムクラス運航便。
なぜなら、JALではANAのプレミアムクラスに相当するクラスとして国内線ファーストクラスを運航しているのですが、そもそも国内線ファーストクラスが運航されている便が羽田空港を発着する、
- 新千歳空港
- 伊丹空港
- 福岡空港
- 那覇空港
という4つの目的地に限られるから。
一方のANAでは自社が運航する便では、その大半の目的地でプレミアムクラスを搭載しているのはとても対照的です。
しかも、JALがファーストクラスを運航している目的地を抜き出して、JALのファーストクラス搭載便数とANAのプレミアムクラス搭載便数(往復合計)を比べてみると、
羽田空港-新千歳空港
- JAL:全32便中ファーストクラス搭載は28便
- ANA:全58便中プレミアムクラス搭載は34便
羽田空港-伊丹空港
- JAL:全30便中ファーストクラス搭載は30便
- ANA:全30便中プレミアムクラス搭載は30便
羽田空港-福岡空港
- JAL:全34便中ファーストクラス搭載は32便
- ANA全52便中プレミアムクラス搭載は36便
羽田空港-那覇空港
- JAL:全24便中ファーストクラス搭載は4便
- ANA:全24便中プレミアムクラス搭載は24便
となっていてその差は歴然。
つまり、ANAではJALのファーストクラスよりも圧倒的にプレミアムクラスが身近な存在と言えそう。
しかも、プレミアムクラスを利用すると、機内での食事の提供はもちろん、ANAラウンジへのアクセスが追加や優先搭乗の利用など搭乗するまでの快適性も向上する上級会員と同等の優遇を受けられるおまけつき。
これはJAL利用者から見ても、なかなか高い人気を誇るだろうなと感じるには十分なサービスです。
優先搭乗での最上級会員の優遇
実際の搭乗時に気になったことと言えば、優先搭乗での最上級会員の優遇でした。
なぜなら、JALの場合、羽田空港-伊丹空港間を結ぶ便に限って、最上級会員のJMB ダイヤモンドとJGCプレミア、さらには国内線ファーストクラス利用者を最優先搭乗(優先搭乗1)対象者として位置づけた優先搭乗を行っているのですが、それ以外の路線では、そうした形での最優先搭乗は設定されていません。
しかし、ANAの場合、すべての国内線の優先搭乗で、最上級会員のダイヤモンド会員のみを対象にした最優先搭乗の実施が徹底されていて、はっきりとした違いを感じたポイントの1つになりました。
もちろん、JALの優先搭乗でも大抵の場合困ることはないのですが、優先搭乗待ちの列が長く伸びてしまうほど優先搭乗対象者が多いフライトを利用する時などは、ANAで採用されている最上級会員の最優先搭乗方式の方が嬉しいと感じる方もいらっしゃるはず。
一般利用者は窓側の列からの搭乗
優先搭乗以外の一般の利用者の搭乗方法もJALとANAでは意外な違いがありました。
というのも、JALの場合、機内での混雑が予想される時には、一定の席番号以降の後方座席の利用者から案内するようになっているのですが、ANAの場合は、席番号ではなく、両端にあたる窓側の列(AやKなど)の利用者とその同行者から機内に案内するという取り組みを目にしました。
個人的には、機内前方で、頭上の荷物入れに荷物を入れるために通路を塞がれてしまう状況を緩和するという意味では、よりスムーズに感じるJAL方式の方が好みですが、窓側の席から並びでを指定することの多い我が家の場合は、優先搭乗が利用できないステイタスなしのANA一般会員として利用するのであれば、ANA方式の方がより恩恵を受けられるかもしれません。
まとめ
似ている部分も多くある一方で、意外な部分での違いが際立つ、JALとANAの国内線。
特に、運航されている元々の便数や上位クラスとして設定されているファーストクラスとプレミアムクラス搭載便数には、想像以上に大きな差が存在していて、それが利便性や予約難易度の部分でANAに良い影響を与えている一方、JALにとっては意外に厳しい戦いを迫られている状況が理解できました。
また、予約便よりも先に出発する空席がある便への前便変更は充実した便数を誇るANAが有利で、希望する便への予約変更成功率は高いのはもちろん、一般会員でも上級会員と同様の優遇や食事などの機内サービスを提供してもらえるプレミアムクラスがかなり身近なものとして存在しているのは、JAL利用者からみても興味深いと感じるANAのメリットです。
一方、機内での快適性を左右する機内サービスも、少なくとも今回利用した複数の区間では、JALとANAのどちらも十分なホスピタリティを感じるもので、この部分では良い意味で甲乙つけがたく、どちらでも満足というのが正直な印象。
今回は偶然ルフトハンザのマイルを活用する目的で数十年ぶりにANAの国内線に搭乗することになったくらいですから、次にANAを利用する機会はすぐに訪れるとは思えないものの、たまにJAL以外の選択肢として特典航空券を活用するなどして、ANAを利用してみるのも面白いかもしれないと感じるには十分な良い機会になりました。
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