主要な韓国における国際空港としてだけではなく、アジアでのハブ空港としての地位を高めようとしているソウルにあるインチョン空港。
ただ、プライオリティパス対応ラウンジなどは空港設備こそまずまず充実しているものの、一般エリアから制限エリアに入るためのチェックインカウンターや保安検査、出国審査の混雑がかなりひどく、さらに韓国資本の航空会社とそれ以外の海外航空会社間の扱いの差がはっきりとしているため、海外の航空会社利用では遠く離れたゲート目指して広大なターミナル内をとにかく歩かなくてはいけない、とことん疲れる空港としての印象が強く残っています。
そんなインチョン空港では、空港としての旅客処理能力向上と2018年2月に開催された平昌冬季オリンピックでの活用を目的に、2018年1月18日にターミナル2の営業を開始。
最新の空港ターミナルがどのようなものなのか気になったこともあって、開業から2ヶ月ほどが経過した2018年3月下旬にインチョン空港ターミナル2を訪れてみることにしました。
目次
スカイチームのみ発着のターミナル2と大韓航空特典航空券
インチョン空港のターミナル2開業後の最大の変更点といえば、これまでターミナル1を利用していた航空会社のうち、大韓航空やデルタ航空、エールフランス、KLMなどのスカイチーム加盟の航空会社が一挙にターミナル2に引っ越ししてしまったこと。
そのため、最新のターミナル2を利用したい場合には、これらスカイチーム加盟航空会社の運航便を予約する必要があります。
我が家の場合、デルタ航空のマイルで大韓航空のエコノミークラス片道特典航空券を7,500マイルで予約しました。
今回利用したデルタ航空のマイルは長年継続しているニッポン500マイルキャンペーンで、日本国内線の搭乗券をコツコツとFAXし続けて貯めたもの。
ターミナル2の利用にあまり関係のない日本発の往路こそJALの国際線特典航空券を利用しましたが、結果的にとてもリーズナブル&お手軽なマイル利用だったのは間違いありません。
大韓航空のオンラインチェックイン不可トラブル
その大韓航空の特典航空券で最も困ったことの1つが、オンラインチェックインが正常に完了しなかったこと。
というのも、どうやら日本のパスポートを利用する日本人が韓国の空港から出国する場合、搭乗券を発券する時には通常航空会社スタッフによるパスポートのチェックが義務付けられているようで、そのチェックができないオンラインチェックインは制限が設けられているから。
その結果、空港でのチェックインが必須になるのですが、結果的に頭を過るのはインチョン空港の深刻な混雑のことばかり。
もちろん、これまですべての航空会社集合していたターミナル1から新しく完成したターミナル2に一部航空会社が移動し、分散が実現したことで混雑も軽減されている可能性があるものの、できることなら巻き込まれずに制限エリアに進み、ある程度時間を確保してゆったりとターミナル2を見学してみたいと考えていました。
深夜・早朝のサービス縮小時間帯の大韓航空チェックインと搭乗券発券
その混雑対策として実行したのは早めに空港へ到着するというもの。
ただ、24時間空港として運営されているインチョン空港とは言え、時間帯に関係なく、
- チェックイン
- 搭乗券発行
- 保安検査と出国審査の通過
のすべてが可能で、無事制限エリアに到着できるのか不安だったのも事実です。
というのも、インチョン空港のホームページ上では、大韓航空のチェックインカウンターの営業時間は午前6時10分開始と案内されているから。
つまり、せっかくそれよりも早い時間に到着しても、カウンターがオープンするまではチェックインや搭乗券の発券できず、その後の保安検査と出国審査の通過も待たされてしまうリスクもありました。
とは言え、インチョン空港は大韓航空の本拠地ですから、それほど勝算は低くはないと考え、午前6時10分よりも大幅に前の早朝時間帯にインチョン空港に到着。
そのままチェックイン手続きを開始することに。
実際、ターミナル2内のあちこちに用意されたチェックインカウンターの場所を表示する案内板には、サービスが縮小される20時30分から6時10分までの時間帯専用のチェックインカウンターとして、ファーストクラス用にAカウンター、ビジネスクラスとエコノミークラス用にBカウンターが営業していることが分かりやすく示されていました。
ビジネスクラスとエコノミークラスの手続き用のBカウンターに向かってみると、2ヶ所ほど大韓航空の地上係員が常駐している有人のチェックインカウンターと稼働状態の自動チェックイン機が用意されていました。
今回の旅程では預け入れ荷物がなく、機内持ち込み手荷物だけだったため、自動チェックイン機をとりあえず利用してみることに。
自動チェックイン機は
- 大韓航空
- デルタ航空
- KLMオランダ航空
- エールフランス
のスカイチームに加盟する4つの航空会社共通のものになっていて、いずれの航空会社の搭乗券も発券できるようになっていました。
海外での機械操作で気になる表示言語の切り替えは、
- 韓国語
- 英語
- 中国語
の3つしか初期画面の選択肢にないものの、「Other Language」をタップすることで、日本語を含めた11種類ものすべての言語が選べるようになります。
しかも、日本語への翻訳も極力不自然に感じられないよう配慮されているようで、安心してチェックインの手続きを進められるのも好印象。
チェックインの手続き自体はオンラインチェックイン最大最後の難敵だったパスポートスキャンを行うだけであっさり完了し、搭乗券が発券されます。
これでチェックインと搭乗券の発券という第一関門は突破です。
深夜・早朝時間帯のインチョン空港ターミナル2での保安検査と出国審査
搭乗券を確保した後は、第2関門と言うべき保安検査と出国審査を通過することになるのですが、幸いこちらもあっさり通過できました。
というのも、深夜・早朝の時間帯でも、上の写真のように保安検査場やそこからさらに奥にある出国審査場は、1ヶ所のみの稼働状態にサービスを縮小しているものの、問題なく利用可能だからです。
実際、Cカウンター近くの第一保安検査場入り口は閉鎖されていた一方、第一保安検査場とは反対側に位置するGカウンター近くの第二保安検査場入り口はオープンしていましたから。
上の写真はその第二保安検査場の入り口ですが、遠くからでも分かりやすい用に案内版が天井から吊るされていることがわかります。
しかも、20時30分から6時10分までの深夜・早朝時間帯は利用者がトコトン少なく、さらに保安検査装置や出国審査ブースも最新の技術と設備が盛り込まれているため、とてもスムーズに通過可能。
保安検査場の入口から入って5分後には制限エリアに到着していました。
こういった部分は最新の空港ターミナルの魅力をはっきり実感できますね。
インチョン空港ターミナル2の一般エリアと制限エリアの違い
こうして到着したインチョン空港ターミナル2の制限エリアは、それまでの一般エリアと大きく異なる印象を与えるものでした。
ゆったりとスペースを利用しているのは共通しているものの、制限エリアではデザイン面で曲線をより贅沢に活用しているのが印象的。
また、ターミナル内に配置された植物を見かける頻度や分量も圧倒的に制限エリアの方が多くなっています。
ゲート前を中心に配置されている椅子も全て十分なクッション性能を備えたものが完備され、一般エリアに用意されているものとは明らかに差別化がなされていました。
実際、一般エリアに用意された椅子はクッション性のかけらもない本当にシンプルな木のベンチでしたから。
トランスファー利用では不便なプライオリティパス対応ラウンジの営業時間
そんなインチョン空港ターミナル2で気になったのが、プライオリティパス対応ラウンジの営業時間。
なぜなら、ハブ空港としては重要な目的の1つ、トランスファー利用時に活用できると嬉しいプライオリティパス対応ラウンジが、午前7時から午後9時ごろまで(ラウンジでは午後10時までと案内)の営業で、深夜・早朝の時間帯に対応できていないから。
もちろん、ターミナル1に用意されているプライオリティパス対応ラウンジもその多くは深夜・早朝の時間帯は営業を終了するものの、スカイハブラウンジなどの一部ラウンジによって他のラウンジの営業が終了している時間帯のラウンジ利用もカバーされています。
確かに、混雑していたターミナル1から、新たに完成したターミナル2への引っ越しを行ったことで、それぞれのターミナルで混雑は分散・軽減されたかもしれません。
しかし、ある意味でラウンジを含めたリソースが十分集中していたターミナル1に比べて、利用者が少なくなるとともに、どうしてもサービスが手薄になるターミナル2では、深夜・早朝の時間帯にはこれまでのターミナル1利用時よりもさらに寂しく、ケアも行き届いていないサービス提供状態になってしまったと考えることもできそうです。
まとめ
2018年1月18日に開業したインチョン空港ターミナル2は開業したばかりの空港ターミナルだけあって、随所に最新の技術や工夫、野心的なデザインが織り込まれていました。
しかも、24時間空港だけあって、深夜・早朝の時間帯でも、チェックインや搭乗券の発券はもちろん、保安検査や出国審査などのサービスも問題なく提供されています。
ただし、プライオリティパス対応のラウンジの営業時間などでは、これまでのターミナル1で提供されていたサービスと比べて劣る部分も実際に存在しているなど、少しだけ注意しなくてはいけないポイントがあるのも事実。
ちなみに、とにかく歩かなくてはいけないというインチョン空港に対する印象は、残念ながらこのターミナル2でも変わりませんでした。
それどころか利用するゲートの場所が端の部分だった時には、逆にターミナル1よりもさらにとことん歩かなくてはいけない空港という印象を感じかねません。
それほど広く、ゲートまで遠い、良い運動にもなる最新の空港ターミナルがインチョン空港ターミナル2です。
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