日本を代表する航空会社の1つであるJALが提供するサービスの中でその最高峰を体感できる機会と言えば、それは国際線ファーストクラスに間違いありません。
しかし、この国際線ファーストクラスは、基本的に長距離線として扱われる限られた都市間でのみで運航されているだけではなく、実際に利用する際の対価として支払うコストは決して安価とは言えないという特徴も持っています。
では、もっと手軽でリーズナブルにJALが国際線ファーストクラスで提供しているサービスを楽しめないのかというと、国際線ファーストクラスのサービスそのものを体験することは難しいものの、その中核を占めるエッセンスのようなものに限っては、意外に身近なものとして存在しているのも事実です。
なぜなら、JALでは、
- 札幌 新千歳空港
- 東京 羽田空港
- 大阪 伊丹空港
- 福岡空港
- 沖縄 那覇空港
といった主要空港間に加え、
- 石垣島 南ぬ島石垣空港
などのリゾート路線と主要空港とを結ぶ国内線でも、国内線向けのファーストクラス、JAL国内線ファーストクラスをサービスとして提供しているから。
しかも、これらのJAL国内線ファーストクラスは、最も安価な普通席と比べて、数千円から数万円の追加負担で利用できるため、特典航空券でも片道70,000マイル、有償航空券に至っては片道100万円以上というコストを要するJAL国際線ファーストクラスとは比べ物にならないくらい利用のハードルが低くなっていると言えるはず。
そんなJAL国内線ファーストクラスが運航されている路線の中でも、最も手軽さや気軽さを感じながら利用できる機会に恵まれているものの1つといえるのが、高頻度の運航で知られる東京・羽田空港と大阪・伊丹空港とを結ぶ路線です。
目次
東京と大阪との移動で飛行機を選ぶ魅力
東京と大阪との移動といえば、日本の大動脈として新幹線による高頻度な運行が行われていて、しかも、新幹線の場合、飛行機の利用では必須となる、
- 出発地から出発空港までの移動
- 到着空港から目的地までの移動
が不要になりますから、いかに飛行機での移動が高速といっても、実質的な必要時間ではそれほど極端に大きな差は生まれないというのが正直な実感です。
ただし、空港内の移動や飛行機に搭乗している間にまで目を向けると、
- 徹底されたバリアフリー
- 工夫された利用者の導線
- 預け入れも可能な荷物の扱い
- 保安検査による一定レベル以上の安全性の確保
などの、飛行機の利用の方が全体的に余裕のようなものを感じ、それが安心感や快適性につながっていると考えています。
また、羽田空港と伊丹空港には、頻繁に有償での搭乗を積み重ねている利用者向けに、
- ダイヤモンドプレミアラウンジ
- サクララウンジ
という2つのラウンジが用意され、出発までの時間を過ごすことのできる場所としてお気に入りという方も多いはず。
実際、サクララウンジと比較して、利用条件が格段に厳しいものの、ダイヤモンドプレミアラウンジでは、
羽田空港
- メゾンカイザー製のパンやJAL監修のオリジナルおにぎり、オリジナルカレーパンなどの軽食
- サクララウンジに比べ少し高品質なビールやウイスキーなどのアルコール
- 期間限定といいつつ提供継続中のハーゲンダッツアイスクリーム
伊丹空港
- 大阪の老舗オリエンタルベーカリー製のパンやJAL監修のオリジナルカレーパン、おにぎりなどの軽食
- サクララウンジに比べ少し高品質なビールやウイスキーなどのアルコール
- 期間限定の高品質スイーツ
など、多くの方にとって飛行機に搭乗するまでの時間をゆったり楽しめるサービスがラウンジ内で提供されているのも嬉しいポイントですね。
ちなみに、JALが運航する国内線では、唯一ファーストクラスだけが機内食の提供を受けられますから、空の上での食事を楽しむ機会としても貴重です。
しかも、JAL国内線ファーストクラスでは、数倍の運賃負担が必要な近距離国際線ビジネスクラスの機内食と同等あるいは凌駕し、そして、十数倍の中距離国際線ビジネスクラスの機内食にも肉薄することがあるほど、なかなかに高品質なものが提供されています。
また、JAL国内線ファーストクラスでは、一般的なソフトドリンクの他に、なかなか高価格なシャンパンや日本酒、焼酎などのアルコールラインナップも充実しているのも嬉しいポイントです。
実際、そのアルコールラインナップには、希少なことで知られ、幻の焼酎とも謳われれる、森伊蔵も加えられていて、JAL国内線ファーストクラスに搭乗する際には定番のドリンクとして、オーダーすることを楽しみにされている方もいらっしゃるはず。
確かに、移動ということのみを比べると前後で全く変わらない普通席に比べると、少なくとも数千円、不幸にも高額になってしまった場合には数万円の追加負担を要するのがファーストクラスです。
しかし、ファーストクラスとしての元々用意されているシートの広さや快適性に加え、そこで提供される機内食や飲み物までしっかりと楽しめるのであれば、その追加分のコストも意外に割高感は感じないというのも私自身の正直な感想だったりします。
そうした様々なメリットを理由とする人気の高さによって、どうしても争奪戦になりがちなファーストクラスですが、羽田空港と伊丹空港とを結ぶ路線は、運航自体が高頻度なことに加え、JAL国内線ファーストクラスが搭載されている飛行機での運航も多いという特色もありますから、肝心の搭乗難易度を低下させることができるという意味でも意外にお気に入りな路線の1つになっています。
JL103便の搭乗と離陸
今回搭乗したJL103便は、
- 羽田空港 7:25 → 伊丹空港 8:35
を定刻のスケジュールとする便で、伊丹空港行きの便としては羽田空港を2番目出発する便として位置づけられています。
ちなみに、その日の大阪行きで最初の便となるJL101便は、
- 羽田空港 6:30 → 伊丹空港 7:45
が定刻となっていて、遅くとも早朝の6時前には羽田空港に到着しておきたいことを考えると、私自身、それよりも1時間近く余裕のあるJL103便の方が安心感や余裕のようなものを感じているのも正直な部分です。
この日のJL103便は、比較的新しい中型機のボーイング787-8という飛行機が採用され、
- ファーストクラス:6席
- クラスJ:58席
- 普通席:227席
という席の内訳で、国内線向けの機材がまだまだ早朝の羽田空港のボーディングブリッジの先に鎮座していました。
搭乗はJALが主に国内線で利用する羽田空港ターミナル1の15番ゲートから。
その搭乗ゲートには、他のゲートと同様に不織布で作られた機内持ち込み手荷物用の袋状カバーと共に、
- 最優先搭乗(グループ1)
- 優先搭乗(グループ2)
という大阪・伊丹空港などの一部混雑路線限定で行われている、2段階での優先搭乗の案内が用意されています。
また、搭乗開始時刻は出発の定刻7:25の20分前となる、7:05を予定していることも分かりますね。
実際、優先搭乗よりも先に行われ、実質的に最初の搭乗となる、お手伝いを必要とされる方を対象とした、事前改札が開始されたのは予定通りの7:05。
続いて、グループ1と搭乗券などの搭乗媒体に記載された方を対象とした最優先搭乗はその3分後の7:08に開始されました。
今回のJL103便で利用するのはJAL国内線ファーストクラスですから、機内に入ってすぐの飛行機の前方に6席だけ用意されたファーストクラス用の席に着席します。
その座席には搭乗前から、
- 機内食とドリンクのメニュー
- 使い捨てスリッパ
- ノイズキャンセリングヘッドホン
- クッション
といったアメニティが用意され、自由に利用することができます。
さらに、ファーストクラスの席に着席すると、その日のファーストクラスサービスを担当される客室乗務員の方からご挨拶をいただくことになるのですが、その際には、
- 上着などの預かり
- 機内食と一緒に提供されるドリンクのオーダー
- 国内線ではファーストクラス限定で貸し出しが行われる毛布の提供
などのサービスを受けることが可能です。
ちなみに、私の場合、このご挨拶をいただいたタイミングで、元々飛行機の中で利用するつもりのない備え付けのノイズキャンセリングヘッドホンや短距離の路線では利用しないことにしている使い捨てスリッパなどのアメニティを、客室乗務員の方にお願いして下げていただくようにしているのですが、ファーストクラスの座席をよりゆったり、快適に過ごせるという意味で気に入っています。
そして、利用者すべての搭乗が完了し、離陸の準備が整った飛行機のドアが閉じられる、ドアクローズが完了したのは7:21。
さらに、実際の飛行機の出発時間とみなされる、トーイングカーによって飛行機が後ろ向きに押されて動き出す、プッシュバックが行われたのは7:26でしたから、ほぼ定刻通りの出発と言って良さそうですね。
では、プッシュバック後すぐに離陸するのかというとそうではなく、離陸を行う滑走路へと空港内の誘導路という専用の通路を進むことになるため、肝心の離陸を行うまではもう少し時間を要します。
実際に、離陸が開始されたのは7:43でしたから、プッシュバックが開始してからでも17分、ドアクローズからでは22分もの時間を要したことになりますね。
そうして無事に離陸が完了し、飛行が安定する巡航状態になった後、ようやくシートベルトサインがオフになるのですが、それは意外に早く7:53。
つまり、離陸から10分後には機内サービスが開始されることになりました。
JL103便のJAL国内線ファーストクラスサービス
こうしてシートベルトサインが消灯してから開始されるJL103便の機内サービスですが、今や国内線での機内食の提供が貴重なものとなってしまった現在、JAL国内線ファーストクラスを利用する時の楽しみとして忘れられないのがやはり機内食です。
シートベルトサインがオフになってすぐに客室乗務員の方々によって開始された機内食の準備は素早く完了し、自由に動けるようになってから6分が経過した7:59には機内食が1つのトレイにまとめられ、それぞれのお皿が専用のカバーで覆われた状態での提供が開始されます。
ちなみに、最大でもファーストクラスの席数の上限となる6名分とは言え、しっかりとメインのお皿は温められ、食べ頃の少し熱いと感じる温度になっているはずですから、特にアルミホイル製のメインのお皿のカバーを開けるときには少しだけ要注意ですね。
気になる、この日のJL103便のファーストクラス機内食はというと、
メインプレート:
- スクランブルエッグ(チーズソーセージ、カナディアンベーコン、トマト、マッシュルーム)
アペタイザー:
- ローストビーフとビーンズミックス(山葵菜、バルサミコソース)
サラダ:
- 蓮根と蓮芋サラダ(グリーンリーフ、和風ドレッシング)
ギリシャヨーグルト(蜂蜜、ミント)
フレッシュフルーツ(いちご)
という洋食メニューが提供されていました。
こうして提供されるJAL国内線ファーストクラスの機内食メニューですが、
- 出発地:羽田発と羽田以外発
- 時間帯:朝食(始発~10:29)、昼食(10:30~16:59)、夕食(17:00~)
というように分かれていて、今回のJL103便では、
- 出発地:羽田発
- 時間帯:朝食(始発~10:29)
の組み合わせだったため、洋食メニューでの提供だったということですね。
ちなみに、JAL国内線ファーストクラスでは、洋食メニューの他に和食メニューの提供もあるのですが、個人的な好みから言えば、和食メニューの方が口にした時の満足度は圧倒的に高く、洋食に比べ1.5倍から2倍程度は期待値も高いというのが正直な印象だったりも。
そのため、あらかじめファーストクラスを予約しているのではなく、出発当日の空港でファーストクラスに空席があった際の当日有償アップグレードの機会では、機内食が和食なのか、それとも洋食なのかは、アップグレードを利用するかどうかのぎりぎりのところの判断では意外に重要なポイントになることもあるくらいです。
一方で、ドリンクメニューについては、
アルコールドリンク
日本酒:
- 手取川 山廃仕込純米大吟醸(石川県)
- 御慶事 純米吟醸 雄町(茨城)
シャンパン:
- ジョセフペリエ キュヴェ ロワイヤル ブリュット
赤ワイン:
- シャルル・メラ・オーガニック・メルロ 2020
白ワイン:
- ウッディ・ケープ・シュナン・ブラン 2019
焼酎:
- 森伊蔵(鹿児島)
ビール/ビールテイスト飲料
- サッポロ エビス
- サントリー プレミアムモルツ
- サントリー プレミアムモルツ<香る>エール
- アサヒ スーパードライ
- キリン 一番搾り
- サントリー オールフリー
その他のアルコール:
- サントリー角ハイボール
- こだわりレモンサワー 檸檬堂 塩レモン
- トポチコ ハードセルツァー パイナップルツイスト(アルコール入りスパークリングウォーター)
冷たいお飲み物
- アップルジュース
- オレンジジュース
- JALオリジナルドリンク「スカイタイム ももとぶどう」
- 冷緑茶「綾鷹(あやたか)」
- ほうじ茶ブレンド「からだすこやか茶W」
- コカ・コーラ
- コカ・コーラZERO
- ミネラルウォーター
- 奥会津金山 天然炭酸の水
今月のおすすめドリンク(2022年1月)
- 特定保健用食品 緑でサラナ(サンスター)
温かいお飲み物
- コーヒー JAL CAFE LINES「アントニエタ マラゴジッペ」(アラビカ種マラゴジッペ種)
- 紅茶
- 煎茶
- ほうじ茶
- ビーフコンソメスープ
という、なかなか多彩なラインナップとなっているのが嬉しいですね。
ただし、こうして提供される機内食やドリンクですが、ほぼ用意された順番で8:09頃から片付けが開始されますから、ボリュームがそれほど多いというわけではないとしても、時間にして約10分の少し慌ただしさを感じる食事時間と言えそうです。
実際、定刻のスケジュールが
- 羽田空港 7:25 → 伊丹空港 8:35
となっているJL103便を含め、東京・羽田空港と大阪・伊丹空港とを結ぶ路線では、飛行時間自体が1時間程度しか確保されていないため、JAL国内線ファーストクラスのサービス提供路線で最も短いサービス提供時間になってしまうのは避けられませんから、じっくりのんびりせっかくのJALが提供する国内線でのファーストクラスサービスを楽しみたいという方にとっては気になる要注意ポイントになってしまうかもしれません。
JL103便の伊丹空港への着陸とスピーディーな預入荷物の返却
機内食サービスの片付けが開始されてから12分後となる8:21には、飛行機が伊丹空港への降下を開始し、それに伴い、消灯していたシートベルトサインが再びオンの状態になります。
そこから、大阪の伊丹市の市街地に包まれるように立地する伊丹空港へと滑り込むように着陸したのが、さらに12分後の8:33。
主要空港としては比較的コンパクトな伊丹空港の誘導路をゆっくり進んだ先の搭乗ゲートに到着し、ボーディングブリッジと接続後、実際に飛行機のドアが開かれたのは8:38でしたから出発時と同様に、ほぼ定刻通りの到着と言えそうですね。
飛行機のドアが開くと、飛行機の前方に位置するファーストクラスからの優先降機が行われ、その後はクラスJと普通席のそれぞれの利用者が順番に伊丹空港へと降り立つことになります。
ちなみに、羽田空港で預けた預け入れ荷物は8:51から、利用クラスや上級会員ステイタスなどの優先取り扱いに従った形での返却が開始されました。
その結果、多くの場合、9時前には預け入れ荷物まで回収した上で制限エリアから一般エリアに出ることも可能だったはずです。
個人的に、羽田空港と伊丹空港の預入荷物の返却は他の主要空港に比べても、返却までに要する時間が長いと感じることが多かったため、到着した飛行機のドアが開いてから13分後には返却が開始されたというのはなかなか意外な結果でした。
まとめ
東京-大阪間という、間違いなく新幹線が大きな存在感を誇示し続ける路線ながら、確かな快適性を武器に早朝の東京・羽田空港から大阪・伊丹空港へと向かうJL103便。
実際に利用してみると、その移動は多少の優雅さすら感じるなかなかに快適なものですから、新幹線とは異なる選択肢としてお気に入りとなる方もいらっしゃるはずです。
さらに、単純でシンプルなはずな移動を、その移動自体すら楽しみの1つに変えうるポテンシャルを持つJAL国内線ファーストクラスが運航され、しかも他の路線よりも比較的利用が容易というのも、上手に活用したいポイントなのは間違いありません。
もちろん、すべての東京-大阪間の移動に飛行機を選択するというのは現実的ではないという方でも、しっかりと飛行機で移動するメリットを活かせる時だけでも厳選し利用してみるというのも満足度が高く、なかなかおすすめだと思いますよ。
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