JALの運航するフライトの中でも特に慌ただしさを感じる路線といえば、東京・羽田と大阪・伊丹間。
しかも、その中でもファーストクラス利用時を外すことはできません。
というのも、東京・羽田-大阪・伊丹間は元々時刻表上でも、飛行時間自体が約1時間ほどと短い区間として設定されているにも関わらず、国内線ファーストクラス利用者には、その短い時間内で機内食が提供されるというとても特殊な路線だから。
特に、安定した巡航高度での飛行中はともかく、飛行機の旅で不可避な離着陸の前後には、乗客はもちろん、客室乗務員の方々もシートベルト着用が求められる時間が必ず設定されます。
その結果、機内食を含めたサービスが実際に提供可能な時間というのは、約1時間の飛行時間よりもさらに短いものになるのは避けられません。
目次
- 1 羽田-伊丹間のJAL国内線ファーストクラスのタイムテーブル
- 2 JAL115便 羽田発伊丹行き 国内線ファーストクラスの出発から離陸
- 3 JAL115便 羽田発伊丹行き 国内線ファーストクラスのサービス
- 4 JAL115便 羽田発伊丹行き 国内線ファーストクラスのサービス終了から着陸
- 5 JAL138便 伊丹発羽田行き 国内線ファーストクラスの出発から離陸
- 6 JAL138便 伊丹発羽田行き 国内線ファーストクラスのサービス
- 7 JAL138便 伊丹発羽田行き 国内線ファーストクラスのサービス終了から着陸
- 8 羽田-伊丹間のJALファーストクラスに忙しさを感じる理由
- 9 国内線ファーストクラスで提供される機内食の品質
- 10 まとめ
羽田-伊丹間のJAL国内線ファーストクラスのタイムテーブル
そうなると、気になるのは羽田-伊丹間の国内線ファーストクラスのサービスが実際にはどのようなタイムテーブルや時間配分で提供されるのかということかもしれません。
特に、JALの国内線ファーストクラスは出発当日の空港で空席がある場合、どんな運賃でも普通席からは8,000円(国際線乗り継ぎの免税では7,408円)、クラスJからは7,000円(国際線乗り継ぎの免税では6,482円)の差額負担で利用することができる自由度もある一方、その差額負担はいずれの国内線ファーストクラス運航区間でも同額。
そのため、飛行時間が2時間を優に超える羽田-那覇間ならまだしも飛行時間が約1時間の羽田-伊丹間でも、十分なサービスが提供され、その差額負担に価値を見出すことができるのかどうかは利用者にとって、意外に重要なことかもしれません。
そこで、実際に利用してみたのが
- JAL115便 羽田11:30発-伊丹12:35着(飛行時間1時間5分)
- JAL138便 伊丹20:25発-羽田21:35着(飛行時間1時間10分)
の2便。
この2便について、
- 搭乗開始
- ドアクローズ
- プッシュバック
- 離陸
- シートベルトサインオフ
- 機内食提供開始
- 機内食回収開始
- シートベルトサインオン
- 着陸
- ドアオープン
の時間について記録しながら搭乗しました。
JAL115便 羽田発伊丹行き 国内線ファーストクラスの出発から離陸
JAL115便は羽田空港を定刻11:30に出発し、伊丹空港に12:35到着する便で、飛行時間は1時間5分。
空港間の処理能力の違いの影響なのか、後述する伊丹発羽田空港行きの1時間10分の飛行時間よりもさらに短いものになっています。
定刻11:30に対し、事前に案内されていた搭乗開始予定時刻は11:15。
その日のJAL115便は国内線ファーストクラス搭載機材の中では小さい中型機のボーイング767-300ER(763)でしたが、それでも座席総数は252席を数えるわけですから、それだけの人数を15分間で搭乗させてしまうつもりというのは、海外の航空会社と比べてもなかなか強気です。
実際の搭乗開始は11時13分。
お子様連れの方やお体の不自由な方など、お手伝いを必要とされる利用者を優先的に案内する事前改札の1分後には、国内線では羽田-伊丹間でのみ提供されている、JMBダイヤモンドやJGCプレミア、他社ワンワールドエメラルドを対象とした最優先搭乗が開始されました。
実際にすべての利用者の搭乗が完了し、出発の準備が整った後、飛行機のドアが閉じられるドアクローズは11:37。
実際に出発したとみなされるプッシュバックが行われ、飛行機が後ろ向きに動き出したのが11:40。
やはり15分での搭乗完了というのは無理があったのか、この時点で定刻の11:30から10分ほど遅延しています。
誘導路を移動し、滑走路に到達後、離陸を開始したのが11:57。
伊丹空港への定刻での到着まで40分ほどしか残されていません。
JAL115便 羽田発伊丹行き 国内線ファーストクラスのサービス
乗客だけではなく、客室乗務員の方々もようやくサービスを開始できるようになるシートベルトサインオフは12:04。
そして、シートベルトサインが消えた3分後の12:07には、国内線ではファーストクラス限定で提供される昼食メニューの提供が開始されました。
ちなみに、JAL国内線ファーストクラスでは、
- 利用時期:上旬/中旬/下旬
- 出発時間帯:朝食(~10:29)/昼食(10:30~16:59)/夕食(17:00~)
- 行き先:羽田発/羽田着
などによって細やかに提供される機内食のメニューが切り替えられているのですが、それに対応した専用のメニューもしっかり用意されています。
また、飲み物のメニューも掲載され、そこには、シャンパンやこだわりの日本酒などに加え、なんと幻の焼酎とまでうたわれる森伊蔵も当然のように用意されています。
ちなみに、国際線ファーストクラスでは同じ森伊蔵の中でもさらに上位の極上森伊蔵が提供されていますが、それはニューヨーク線やロンドン線に限られ、それ以外の路線は国内線ファーストクラスと同様の通常の森伊蔵の提供ですから、この部分を国内線ファーストクラスを利用する魅力と感じる方も多いかもしれません。
JAL115便 羽田発伊丹行き 国内線ファーストクラスのサービス終了から着陸
そうして、機内食の回収が開始されるのは12:18。
提供開始からわずか11分ほどで片付けが始まりますから、実質的に機内食を楽しむ時間は10分ほどということに。
これは食事の時間としては想像以上になかなか短いと感じました。
食器などが片付けられるのとほぼ同時に、ドライ納豆やおかきなどのおつまみと一緒に食後の飲み物も提供され、機内サービスは終了となります。
この時に提供される飲み物は、着陸が間近に迫っていて、客室乗務員の方がグラスやカップ、食器など回収できないリスクもあるということもあって、ミネラルウォーターを希望する上の写真のようなペットボトルでの提供になったり、それ以外の飲み物では蓋付きの紙コップでの提供が行われたりします。
ちなみに、羽田-伊丹間の国内線ファーストクラスでは、搭乗後の離陸前などで余裕がある時に、客室乗務員の方があらかじめ飲み物のオーダーを取ってくれることが多く、その時に、
- 食事中に楽しむ飲み物
- 食後に楽しむ飲み物
などを事前に伝えておくのも、短い機内食提供時間をより快適でスムーズなものにするためにはおすすめです。
シートベルトサインが点灯するのが12:31。
そして、伊丹空港への着陸は12:48。
ボーディングブリッジに接続後、ドアが開放されようやく降機できるようになるドアオープンは12:55。
伊丹空港到着の定刻は12:35でしたから、この時点で20分の遅延ということに。
やはり羽田空港出発時の遅れが伊丹空港到着まで、その影響を残したという印象を感じました。
JAL138便 伊丹発羽田行き 国内線ファーストクラスの出発から離陸
JAL138便は伊丹空港を定刻20:25に出発し、伊丹空港に21:35到着する便で、飛行時間は1時間10分。
前述の羽田空港発伊丹空港行きの1時間5分の飛行時間よりは5分ほどですが少しだけゆとりのある飛行時間になっています。
その日は定刻20:25に対し、事前に案内されていた搭乗開始予定時刻は20:20となっていて、実は10分ほどの出発の遅延が予定されていました。
ただし、実際の搭乗開始は20:13。
遅延を加味した搭乗開始予定時刻よりも早くお子様連れの方やお体の不自由な方など、お手伝いを必要とされる利用者を優先的に案内する事前改札が開始され、その1分後には国内線では羽田-伊丹間でのみ提供されている、JMBダイヤモンドやJGCプレミア、他社ワンワールドエメラルドを対象とした最優先搭乗が可能になりました。
ただし、そこからが長いのがJAL138便。
なぜなら、伊丹空港をその日に出発する最終便という事情もあって、国内線ファーストクラス搭載機材の中では大型で座席総数375席を誇るボーイング777-200(772)は満席。
結局、実際にすべての利用者の搭乗が完了し、出発の準備が整った後、飛行機のドアが閉じられるドアクローズは20:38。
実際に出発したとみなされるプッシュバックが行われ、飛行機が後ろ向きに動き出したのが20:43。
この時点で定刻の20:25から20分近く遅延しています。
誘導路を移動し、滑走路に到達後、離陸を開始したのが20:53。
21:00までと定められた伊丹空港の門限は後7分を残しクリアしたものの、羽田空港への定刻での到着まで40分ほどしか残されていません。
JAL138便 伊丹発羽田行き 国内線ファーストクラスのサービス
客室乗務員の方々がようやくサービスを開始できるようになるシートベルトサインオフは20:58。
様々な条件が良好だったのか離陸の5分後には機内食の提供を含めたサービスの準備が開始されました。
もちろん、機内食のメニューは夕食用のものを準備。
肝心の機内食の提供が開始されたのは21:04。
シートベルトサインが消えてから6分後のことです。
JAL115便で提供された昼食とは、その内容もがらりと異なるものに。
また、飲み物は優先搭乗で機内に入った時に事前にオーダー済みの森伊蔵とシャンパンがセットされています。
JAL国内線ファーストクラスの中でも、羽田-伊丹間は主菜と副菜を温めずに冷たいまま提供されても美味しく楽しめるように調製されているのですが、さすがにご飯まで冷たい状態で提供というわけではありません。
ふっくらと甘い香りも含んだ湯気が立ち上る温かな俵御飯を楽しめるのは、ほっと一息を寛げる、嬉しいポイントです。
ちなみに、JAL115便ではシートベルトサインが消えてから3分後には機内食が提供された一方、JAL138便では6分後の提供という時間的な違いがあったのですが、これはパンの提供のため温める必要のなかったJAL115便に対し、俵御飯を温めるという一手間が必要だったJAL138便という事情が原因かもしれないと予想しています。
JAL138便 伊丹発羽田行き 国内線ファーストクラスのサービス終了から着陸
機内食の回収が開始されるのは21:14。
21:04の提供開始からわずか10分ほどで片付けが始まりますから、やはり機内食を楽しむ時間はなかなか短いというのが正直な印象です。
食器などが片付けられるのとほぼ同時に、ドライ納豆やおかきなどのおつまみと一緒に食後の飲み物も提供され、機内サービスは終了となるのは、どの国内線ファーストクラスでも大きく変わるものではありません。
シートベルトサインが点灯するのが21:22。
そして、羽田空港への着陸は21:38。
ボーディングブリッジに接続後、ドアが開放されようやく降機できるようになるドアオープンは21:42。
伊丹空港到着の定刻は21:35でしたから、この時点で7分の遅延ですが、出発の時点で20分ほどの遅延だったことを考えると、遅延が拡大し続けたJAL115便とは異なり、その遅れをかなり取り戻していることが分かります。
羽田-伊丹間のJALファーストクラスに忙しさを感じる理由
こうして、JAL115便とJAL138便のファーストクラスをそれぞれ利用して感じるのは、他のフライトではなかなか感じることのない忙しさのようなものです。
実際、それぞれのフライトで提供される時間的余裕を調べてみると、
JAL115便(羽田→伊丹、昼食)
- シートベルトサインオフ → 機内食提供開始:3分間
- 機内食提供開始 → 機内食回収開始:11分間
- 機内食回収開始 → シートベルトサインオン:13分間
JAL138(伊丹→羽田、夕食)
- シートベルトサインオフ → 機内食提供開始:6分間
- 機内食提供開始 → 機内食回収開始:10分間
- 機内食回収開始 → シートベルトサインオン:8分間
というように、最も重要なサービスとなる機内食を中心に飲み物なども楽しむことができる時間は約10分間ほどに限られていることが分かります。
もちろん、食事のスピードはもちろん、提供された食事に対する好みでの完食の可否などは利用者それぞれで異なるものの、それでもこの約10分という機内食を楽しむための時間の短さが羽田-伊丹間をファーストクラスで利用する時に私が感じる忙しさの最大の理由というように考えています。
実際、同じ国内線ファーストクラスが運航されている路線でも、羽田-伊丹間以外では、主菜と副菜も温められているだけではなく、
- らーめんですかい
- うどんですかい
といったJALオリジナルカップ麺も温かい軽食サービスとして当然のように提供されていることからも、羽田-伊丹間がある種極端で異質な路線と言えそうです。
国内線ファーストクラスで提供される機内食の品質
こうして提供されるJAL国内線ファーストクラスのサービスですが、少しだけ注意しなくてはいけないのが、提供される機内食の内容。
というのも、提供される機内食の品質は、
- 和食なのか洋食なのか
- 朝食、昼食、夕食のうち、どの時間帯の食事が提供されるのか
- 有名店が監修する夕食の場合、どの料亭やレストランが担当するのか
などによって大きく左右され、その満足度もかなり異なったものになるから。
もちろん、どういった国内線ファーストクラスの機内食でも、上の写真のような近距離国際線ビジネスクラスと同等の品質が確保されています。
しかし、極端な当たりの時には、(分量的にはやや控えめとも感じるものの)中距離以上の国際線ビジネスクラスで提供しても遜色ないと感じる品質のものに出会える幸運も十分考えられますから、もし時間帯などを多少アレンジできるのであれば、あえて好みの機内食を狙ってみるというのもなかなか楽しくおすすめです。
まとめ
約1時間という元々短い飛行時間にも関わらず、機内食を含めた充実のサービスが提供される羽田-伊丹間の国内線ファーストクラス。
そうした特殊な事情もあって、本来はゆったりと楽しみたい機内食を味わうための時間が約10分間ほどと、随所でなかなかの忙しさを感じるフライトなのは間違いありません。
とはいえ、その短い時間の中にも、客室乗務員の方々の仕事ぶりからは、JALの国内線ファーストクラスらしさを感じるホスピタリティーはもちろん、短い時間でのサービス提供を完遂するためのプロフェッショナルな活躍を実感できる良い機会になるはずです。
確かに、羽田-伊丹間のように短いフライトで国内線ファーストクラスを利用することに抵抗感を感じる方もいらっしゃるとは思うものの、忙しさにも負けないJALの底力を実感する機会としてはなかなかおすすめできるチャンスの1つだと思いますよ。
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