現代の交通手段の中で最速を誇る飛行機での移動でも、時としてどうしても避けられないことの1つが遅延や欠航による遅れの存在。
もちろん、技術の進歩によって飛行機自体の信頼性は向上しているものの、一方で航空会社が直面するコスト削減圧力によって、突発的なトラブルの対応目的に予備機として温存しておく飛行機が限りなく少なっている結果、出発直前になって故障などのトラブルが発見されると、思わぬ出発の遅れやフライト自体のキャンセルにつながることもあります。
深刻な遅延・欠航発生での出国中止
そんな遅延や欠航が発生してしまった時には航空会社によって、様々な対応が行なわれるのですが、事情があってどうしても本来の到着予定時間に近い形で目的地に到着しなくてはいけない時などは他社運航便を含めた他の便への振替も選択肢の1つ。
時にはその振替に羽田空港から成田空港への空港間の地上移動が含まれることもあります。
そんな空港間の地上移動が出発直前が決定してしまうと避けられないのが、出国中止手続き。
なぜなら、出発直前ということはすでに出国手続きを完了し、制限エリアにいるということになり、そこから一般エリアに戻るためには、通常は行なわれない特別な手続きがいくつか必要になるから。
とは言え、手続き自体は利用する航空会社のスタッフが行ってくれるため、利用者自身はその指示に従うだけですから、それほど心配する必要はありません。
出国中止の手続き
出国中止が決定すると、その手続きは航空会社のスタッフにパスポートと搭乗券を手渡すことから始まります。
そのパスポートと搭乗券を元に、航空会社側では出国中止専用の申請書類を手書きで作成してくれるため、はじめての出国中止でも特に負担感はなし。
逆に、利用者側単独ではこの申請書類が用意できませんから、出国中止の手続きは必ず利用する予定だった航空会社を通して行う必要があります。
書類の作成が完了した後は、航空会社のスタッフによるアテンドに従って、出国審査場に向かって左端にある事務所エリアに向かいます。
ここでは利用者自身が何か手続きを行う必要はなく、航空会社のスタッフだけが中に入って申請書類やパスポートを提出したりといった手続きを行うことに。
ここでパスポートに押されることになるのが出国中止(NOT DEPARTED)のスタンプ。
出国時に押された出国済みスタンプを打ち消すように押されているのが特徴ですね。
これで出国中止の手続自体は終了したものの、この時にはまだパスポートは手元に戻されることはなく、航空会社のスタッフの手の中。
実際にパスポートが利用者に返却されるのは制限エリアの中でも税関を通過した後とまだまだ先のことです。
制限エリアからの引き返し
出国中止の手続きが完了した後は、実際に制限エリアからの引き返しを行うことに。
具体的には、出発エリア3階、ゲート112近くにあるJALラウンジ入り口隣のスタッフ専用と書かれたエレベーターを使って1階下の到着エリアに。
エレベーターを降りた先は国際線乗り継ぎ用の保安検査場になっていて、そこを無検査&逆走する形で通過。
と言っても、ここでも航空会社のスタッフによるアテンドが行なわれているので特に心配なし。
問題なく通過できます。
国際線乗り継ぎ用の保安検査場を外に出ると、そこは国際線で羽田空港に到着する時に必ず訪れる到着階。
そのまま、入国審査場と税関のあるエリアに向かいます。
別の意味で通常とは全く異なる入国審査場と税関の通過
ただし、通常の帰国時と違うのは出国中止されている以上、そもそも入国審査が完全に免除されるのはいつもの帰国時とは違うポイント。
そのため、通常の列に並ぶこと無く、出国審査場のブースに向かって左側にある事務所エリアに向かい、そこに待機している入国審査官に航空会社のスタッフがパスポートなど提示した後、駅の改札口のようなゲートを通過。
これで入国審査場の通過は完了します。
一方、全く別の意味でいつもの帰国時との違いを感じることになるのが税関の通過。
ここでも通常の税関の検査待ちの列に並ぶこと無く、向かって右端の方にある職員専用のブースに移動して、検査してもらうことになるのですが、航空会社のスタッフからパスポートが手渡された税関の係員によって、これまで日本帰国時に体験したことがないようなパスポートの詳しいチェックが行なわれ、出国中止になった渡航の目的はもちろん、過去の渡航履歴についても、いくつか説明を求められました。
その徹底ぶりには、この流れだとスーツケースなどの荷物を1つ1つ開けてのチェックも行なわれるだろうなと思ってしまうほど。
結果的には、荷物のチェックは行なわれなかったのですが、時間にして5分程度は要しました。
これが全体的にスムーズに手続きが進んだ今回の出国中止で最もスムーズではないと感じた部分です。
また、今回の私の出国中止では対象にならなかったものの、出国中止時に免税品を購入していると、追加で別の手続きが必要になるようですから、それもさらに時間を要するという点で要注意ポイントかも知れません。
税関通過時に税関の係員からパスポートが利用者に返却されて、出国中止は無事完了。
後は、ここまでアテンドしてくれた航空会社のスタッフにお礼を述べて、利用者だけで一般エリアの到着階に向かうことになります。
まとめ
遅延や欠航で出国中止が決まった時には、どうなるかと不安でドキドキしてしまったものの、私にとって初めて遭遇することになる出国中止は羽田空港の国際線サービスを普段とは少し違う別の視点から見る貴重な機会になったのも正直な部分。
特に、通常の出国手続き利用者に比べて、圧倒的に対象者が少ないこともあってか、出国中止では、その手続き自体はかなりアナログ的で、1つ1つ丁寧に人の手を介した手続きが行なわれているのがとても印象的でした。
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