国際的な信用力の高い日本のパスポートを活用する限り、一部の国を除いて、
- ビザ不要での入国が認められる
- 簡単なインターネット上の手続きで取得可能な電子ビザのみでの入国が認められる
- 目的地の国に到着したタイミングで取得するアライバルビザのみでの入国が認められる
といった特別扱いを様々な国で受けることができます。
そんな特別扱いを提供してくれる国の中で、我が家が入国を前に慎重な準備や手続きを行うようにしている国があるとすれば、それは間違いなくアメリカ合衆国(United States of America、USA)です。
なぜなら、アメリカは様々な歴史的な背景や国際情勢もあって、去る者は追わずの様相でほぼノーチェックと言える出国時とは対照的に、入国時には強固で厳格な審査を行い、好ましくない存在の侵入を水際で排除することに力を入れているから。
また、その方針の延長線上で、何らかの手続き上のミスが原因だとしても、過去の入国で怪しいと疑われてしまった場合には、その後も継続的に慎重な審査が課されることで、スムーズな入国が望めないばかりか、今後一切の入国が認められなくなるといった絶対に避けなくてはならないリスクも十分に考えられるほど。
そのため、我が家のアメリカへの旅行に関する手続きは、油断をせずに本当に慎重に行うようにしています。
上級会員の国際線ファーストクラス利用でも手渡されるSSSS搭乗券
そんなアメリカの入国するものに対する厳しいセキュリティーの一端を体験することになったのは、家族2人でJAL国際線ファーストクラス利用の海外旅行に出発しようとした時のことでした。
JALの発着する成田空港第2ターミナルの中でも、ファーストクラス利用者に加え、一部の上級会員の利用が認められているファーストクラスチェックインカウンターで、家族との2枚分の搭乗券を受け取った時、すぐさま目に入ってきたのが大きく印刷されたSSSSの4文字。
このSSSS(フォーエス、エスエスエスエス)は、Secondary Security Screening Selectionの略で、日本語では「2次的セキュリティー検査の対象」という意味で、通常の保安検査に追加する形で、搭乗ゲートなどで行われるさらに厳格な検査を通過しない限り、アメリカ行きの飛行機に搭乗できないことを意味します。
幸い、SSSSが印刷されていたのは私用の1枚の搭乗券のみ。
それでも、普段は全く必要のない追加の検査で時間がロスしてしまうことは確実ですから、嬉しいものではありません。
ちなみに、私も家族も、
- JALの提供する上級会員ステイタスの1つ、JMBダイヤモンドを保有
- 特典航空券で同時に2人分を予約した国際線ファーストクラスを利用
- 過去にESTA取得後の初回入国を経験済み
- これまでの複数回のアメリカ出入国時などにSSSSの経験無し
といった条件を満たしていることから、
- 上級会員ステイタスや利用クラスはSSSSの回避に無意味
- ほぼ同じ条件での予約でも当落が分かれるランダム選択の可能性が高い
ということが分かりますね。
日本発のアメリカ行きのフライトで行われるSSSS追加検査
その気になるSSSSの追加検査ですが、搭乗ゲートの奥に用意されたちょっとしたパーティションの影で行われることになります。
正直、実際の追加検査が行われるまでは、
- 上着や靴はすべて脱ぐように言われる
- 身軽な格好になった状態で全身のX線検査を受ける
- 機内に持ち込む荷物はすべてバッグやスーツケースから取り出すように言われる
- 取り出した荷物はすべて1つ1つX線検査を受ける
- 指先や服、バッグ、スーツケース、それらの中身の1つ1つに専用のシートによる化学検査が行われる
というような、最長30分程度のほぼフルコースの追加検査を覚悟していました。
しかし、実際はというと、
- 上着や靴を脱がずに服の上から、同性の係による簡単なボディーチェック
- バッグやスーツケースを開けることなく、取っ手部分などだけを専用のシートでの化学検査
- 指先や服も専用のシートでの化学検査
といったとても簡単なもの。
そのため、ファーストクラスのシートが待つ機内に到着したのは、追加の検査が開始されてから約3分後で、少なくとも大きな負担を感じるものではありませんでした。
もちろん、利用する空港の搭乗ゲート付近に備えた設備や利用する時間帯、そのフライトでSSSSの追加検査対象者の人数などによって多少の変動はあるかもしれないと思うものの、日本発のフライトでのSSSSが原因の追加検査はそれほど身構えなくてはいけないものではないのかもしれないと考えています。
SSSS搭乗券で到着後のアメリカ到着後の入国審査
では、日本発のフライトで搭乗券にSSSSが印刷されても全く恐れる必要がないのかと言えば、そうとは言えないと考えています。
なぜなら、SSSSの印刷された搭乗券でのアメリカ入国時には、通常これまでにESTAで入国した経験のある入国希望者が利用可能なAPCと呼ばれる自動入国審査用の機械での事前審査とその後の有人ブースでの簡易的な審査といった一連のスムーズな流れが利用できなかったから。
具体的には、APCでの手続き終了時に印刷される顔写真入りのレシートのような用紙に、正常に手続きが完了したことを示すきれいなものではなく、大きくバツ印が印刷されていました。
つまり、搭乗券にSSSSが印刷されてしまうと、ESTAでの2回目以降の入国で提供されるスムーズな入国手続きの恩恵は受けられず、アメリカに初めて入国する時に近いほぼフルサービスの入国審査を受けなくてはいけなくなるリスクがあるということですね。
実際、このフルサービスの入国審査は、審査手続きに時間を要するのはもちろん、その入国審査を受けるまでの順番待ちの列も長く、全体的な待ち時間も簡単に長くなってしまうのはとても大きな残念なポイント。
そう考えると、どんなに日本でのSSSS対象者向けの追加検査が容易だとしても、アメリカに到着してからの入国審査待ちでの時間ロスの悪影響はなかなか大きなものですから、当然ながら搭乗券にSSSSと印刷されないのが一番と言えそうです。
まとめ
入国に対して慎重な対応が求められるアメリカ合衆国。
そのアメリカへの入国でドキッとしてしまう搭乗券へのSSSSの印刷は、日本で行う追加検査という観点からは、それほど気になる影響を持つことはないものの、アメリカへの入国審査を含めた全体的な負担感としては、やっぱり避けられるものなら避けたいというのが正直な部分です。
とは言え、このSSSSはアメリカ側があやしいと認定し、追加検査が必須と判断した対象だけではなく、不幸にもランダムで選ばれてしまった対象も少なからず含む以上、そのランダムでの対象に当たってしまったら諦めるしかない性質のものですから、そうした事態に巻き込まれ、想定していたよりも時間を要した時でも問題が発生しないように、ある程度スケジュールに余裕を確保しておくのが大切かもしれませんね。
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