日本から最も近いヨーロッパが感じられる年の1つとして、注目を集めているウラジオストク。
日本から最も近い外国とされる韓国の主要都市と、東京からの距離や飛行時間を比較しても、
- ソウル:758マイル / 2時間5分~2時間30分
- ウラジオストク:676マイル / 2時間15分~2時間25分
- プサン:618マイル / 2時間5分~2時間30分
というように、想像以上に身近な存在と言える目的地の1つと感じる方も多いはずです。
しかも、世界最高レベルの渡航自由度を誇る日本のパスポートすら、渡航には大使館でのビザ取得などの高いハードルが設けられていたロシアにも関わらず、ウラジオストクを含む極東ロシアなどの地域への渡航に限り、最近ではこれまでの一般的なビザよりも申し込みが格段に容易な電子ビザの利用が可能になるなど、ウラジオストクは気軽な渡航が可能になっているのは間違いありません。
目次
ウラジオストクの空の玄関口、ウラジオストク国際空港
このように近年注目を集めているウラジオストクですが、空の玄関口として航空需要を一手に引き受けている存在がウラジオストク空港(VVO)です。
このウラジオストク空港は、
- イルクーツク(IKT)
- ハバロフスク(KHV)
- クラスノヤルスク・イェメリャノヴォ(KJA)
- マガダン・ソコル(GDX)
- ノヴォシビルスク・トルマチョーヴォ(OVB)
- ペトロパブロフスク・カムチャツキー・エリゾヴォ(PKC)
- ヤクーツク(YKS)
- ユジノサハリンスク(UUS)
といったロシア国内の都市とウラジオストク空港を結ぶ国内線はもちろん、
- 東京・成田(NRT)
- ソウル(ICN)
- 北京(PEK)
- 上海(PVG)
- 台北(TPE)
- 香港(HKG)
- ベトナム・カムラン(CXR)
- バンコク(BKK)
といった東南アジアまでの中距離国際線も就航するなど、極東地域の主要空港としての地位はたしかなものになっています。
実際、そうした状況を反映してか、国際線利用者が保安検査や出国審査を終えた後、出発までの時間を過ごすウラジオストク空港の制限エリアには、
- プライオリティパス利用者
- 各航空会社のビジネスクラス利用者
- 各航空会社の上級会員ステイタス保有者
を対象とした空港ラウンジとして、「PRIMORYE LOUNGE(プライモリ ラウンジ)」も整備され、好印象を感じる方も多いはずです。
ウラジオストク空港でのチェックインから出国審査までの手順
そんなウラジオストク空港ですが、空港としては比較的コンパクトでシンプル。
しかも、とてもゆったりとした作りになっています。
実際、空港のターミナル前には駐車場が用意されているのですが、より多くの車両を効率的に収容できる立体駐車場ではなく、屋外タイプの駐車場が採用されているのは少し驚きでした。
X線による簡単なセキュリティチェックを受けてターミナル内に入ると、3階まで吹き抜けになっている開放的な空間が広がっています。
その開放的なターミナルの1階には、
- インフォメーションカウンター
- 両替店
- 土産物店
- 簡単なカフェレストラン
- SIMカードショップ
などが点在。
チェックインカウンターもこの1階にあるのですが、ターミナルの入口から入って左手に国際線利用者用のチェックインを行うための「INTERNATIONAL CHECK-IN」のカウンター。
そして、同じくターミナルの入口から入って右手には国内線利用者用のチェックインを行うための「DOMESTIC CHECK-IN」のカウンター。
つまり、同じ1つのターミナルで国際線と国内線の両方を受け持っているということですね。
ちなみに、ウラジオストク空港のターミナルの近くには別の大きな建物があるのですが、あくまでウラジオストク空港最寄りの鉄道駅であって、ターミナルではないため、利用するターミナルで悩む必要がないのも嬉しい部分です。
もちろん、PRIMORYE LOUNGE(プライモリ ラウンジ)は国際線の利用者向けの制限エリアに用意されたラウンジですから、チェックインの手続きは「INTERNATIONAL CHECK-IN」のカウンターで行います。
2020年2月の我が家でのウラジオストク空港利用では、かつてはシベリア航空と呼ばれたS7航空のソウル・インチョン空港行き13:35分発のS7 6271便を利用したのですが、チェックインカウンターを訪れた時には、同じS7航空運航便で出発時間の近い13:15分発のS7 6281便のチェックイン手続きも同じカウンターで行われていました。
チェックインの手続き完了後は上の写真のような「Departures」の案内板に従ってターミナルの中央部分にあるエスカレーターなどで2階の出発口まで進むことになります。
この時、国際線用と国内専用のそれぞれの出発口はどこにあるのか心配になるのですが、ウラジオストク空港の場合、保安検査までは国内線と共通の経路を利用し、保安検査終了後に別々の道に分かれるため、この段階では「Departures」の案内板に従って進むだけで問題はありません。
途中、カフェ、バー、レストラン、土産物店などが続く通路を進んでいくことになります。
そうした土産物店の中には、北海道の札幌に拠点を置くROYCE(ロイズ)もコンパクトな店舗ながら営業していました。
ただ、よほど少人数、あるいは1名だけでの運営が行われているのか、比較的空港利用者の多い時間帯にも関わらず、小休止中との案内板と共にシャッターが降ろされ、入店は不可になっていたのは少し印象的でした。
これらのお店が並ぶ通路の一番奥には保安検査場の入り口があり、その保安検査を終えると、国際線利用者は専用のチェックポイントで搭乗券とパスポートのチェックを受けた上で、出国審査のブースが並ぶエリアに到着します。
出国審査自体は比較的しっかりとパスポートの渡航履歴や印刷済みの電子ビザの内容がチェックされる丁寧なものですが、特に問題なく通過できるはずです。
ちなみに、出国審査に向かう際のチェックポイントでは、係員の方に唐突に現金の所持金額を問われ、少し驚いてしまったのですが、素直に日本円での換算金額を伝えると、実際に確認されることもなくすぐに通してくれました。
ウラジオストク空港の国際線制限エリアとラウンジへの行き方
出国審査を終え、出国審査場を後にすると目の前に見えてくるのが上の写真のようなアルコール度数の高いお酒だらけの免税店エリア。
ウォッカを中心とした蒸留酒(スピリッツ)の国としても有名なロシアらしく、お土産としてもそれらが前面に押し出されているのが面白いですね。
アルコールたっぷりの免税店の先に広がるのは搭乗前の時間を過ごすためのベンチなどが用意された制限エリアの一画。
大きく縁取られた窓の外にはウラジオストク空港の滑走路が広がり、利用したのがちょうど冬の時期ということもあって、巨大な専用車両で滑走路を勢いよく除雪する除雪チームの仕事ぶりも見学できました。
制限エリア自体はそれほど広くはなく、シンプルな作りのため簡単に見渡せるもの。
制限エリアの入口から出て左に進むと、ピザとワインを中心としたレストランバー。
逆に右の方に進むと簡単な免税店とレストランが用意されています。
この免税店には「SALE 30-70%」という案内が掲示されていたため、お得なお土産を買い求めようとする利用者がちょくちょく訪れていたのですが、何らかの理由で営業していないようでした。
ちなみに、ウラジオストク空港の制限エリアにあるトイレは、この免税店の近くに用意されているので、このお店を目印にするのもおすすめです。
これらのレストランや免税店を通り過ぎ、さらに進んだ先の右側にお目当てのPRIMORYE LOUNGE(プライモリ ラウンジ)の入口が見えてくるはず。
ちなみに、PRIMORYE LOUNGE(プライモリ ラウンジ)は国際線の3番ゲートの目の前ですから、迷った時には3番ゲートを目印に歩いていくと問題はありません。
PRIMORYE LOUNGE(プライモリ ラウンジ)の入室条件とラウンジインビテーションカード
こうして訪れることになるウラジオストク空港の制限エリア内のPRIMORYE LOUNGE(プライモリ ラウンジ)ですが、特定の航空会社が運営するラウンジというわけではありません。
そのため、様々な航空会社が提携することで、それぞれの航空会社の利用者が利用するのはもちろん、プライオリティパスのようなラウンジとも提携する共用ラウンジとしての特色を強く感じるラウンジに仕上がっています。
そうした事情があるため、上の写真のようにラウンジの入口にはスカイチームに所属する大韓航空利用者向けのラウンジということを示す案内板が用意されている一方、JALやS7航空といったワンワールドに所属する航空会社、さらにはANAやアシアナ航空といったスターアライアンスに所属する航空会社の利用者も、まさにここ、PRIMORYE LOUNGE(プライモリ ラウンジ)に集結することになります。
自動ドアではない手動式のドアを通ってラウンジ内に入ると、そこはラウンジエントランスと受付手続きを行うカウンター。
カウンター上には、中国を中心とした地域で活躍するラウンジカードとして有名なドラゴンパスと共に、しっかりとプライオリティパスも利用可能対象として掲示されています。
受付手続きは、
プライオリティパス利用者:
- 搭乗券とプライオリティパスカードをラウンジスタッフに提示
提携航空会社のビジネスクラス利用者:
- ビジネスクラス搭乗を示すウラジオストク発の航空券をラウンジスタッフに提示
提携航空会社の上級会員:
- 提携航空会社の上級会員ステイタスが印字された搭乗券の提示
が基本となっているようです。
しかし、少なくとも上級会員としてのエコノミークラスの利用の場合には、専用のラウンジインビテーションカード(LOUNGE INVITATION)がチェックインのタイミングで提供され、それを搭乗券と提示することで入室の受付が行われています。
これは、利用する航空会社が多岐に渡り、しかも、それぞれの搭乗券上での上級会員ステイタスの表記がばらばらで、ラウンジスタッフの方にとってもとっさの判別が難しいことがその理由かもしれませんね。
実際、午後出発のフライトだけに注目しても、
- S7航空:S7 6281 東京・成田行き
- JAL:JL7098 東京・成田行き
- S7航空:S7 6271 ソウル・インチョン行き
- アシアナ航空:OZ6576 ソウル・インチョン行き
- 大韓航空:KE982 ソウル・インチョン行き
- アエロフロート・ロシア航空:SU4033 ソウル・インチョン行き
- S7航空:S7 6261 バンコク行き
- チェジュ航空:7C5101 ソウル・インチョン行き
- オーロラ航空:HZ5462 釜山行き
- アエロフロート・ロシア航空:SU5462 釜山行き
- 大韓航空:KE5990 釜山行き
- オーロラ航空:HZ5434 ソウル・インチョン行き
- アエロフロート・ロシア航空:SU5434 ソウル・インチョン行き
- 大韓航空:KE5982 ソウル・インチョン行き
というように、コードシェア便も含め、7つの航空会社による7便もの国際線のフライトが運航されているわけですから。
PRIMORYE LOUNGE(プライモリ ラウンジ)のインテリア
こうして入室するウラジオストク空港のPRIMORYE LOUNGE(プライモリ ラウンジ)ですが、全体的にゆったりとしたインテリアの配置になっているため、過ごしやすい印象を感じるラウンジに仕上がっています。
ラウンジの立地の関係で、ラウンジ内には窓がないものの、通路も広めに確保され、混雑時にスーツケースなどを伴って移動する時にもストレスを感じることはないはずです。
また、簡単なパーティションで区切られたエリアも数多く用意され、程よい半個室感を感じながらの利用も可能になっていました。
ラウンジ内に用意された椅子はいずれも無骨なデザインながら、どっしりとした作りが特長で落ち着いて座ることができるのも嬉しい部分です。
また、ラウンジ内のあちこちに子供用の椅子も用意され、お子さん連れの家族が実際に利用している姿も見られました。
さらに、子供用のおもちゃがたっぷり用意され、利用者自身が内外から自由に鍵をかけることも可能なキッズルームも完備。
子供用の椅子にキッズルームと、子供連れに優しいラウンジという印象を強く感じました。
ちなみに、トイレはラウンジ内にラウンジ利用者専用のものが用意され、快適に利用可能になっているのも好印象でした。
その一方で、机などの用意されたビジネスセンターは改装中なのか閉鎖されており、利用不可。
倉庫のようにも利用されている部屋もありましたから、ラウンジ利用者の増加に合わせる形で今後のサービスの増強などに活用されるのかもしれませんね。
PRIMORYE LOUNGE(プライモリ ラウンジ)の料理と飲み物のサービス
国際線の利用者向けのラウンジとなると気になることの1つは、そこで提供される料理や食べ物のサービスかもしれません。
PRIMORYE LOUNGE(プライモリ ラウンジ)の場合、ラウンジ内の一画に料理や飲み物がまとめられた形で用意されています。
ただし、注意しなくてはいけないのは、そこで提供されているすべてが無料で利用可能なわけではないという部分です。
実際、ラウンジ内には、ロシア語で記載された料金表が掲示されていて、一部の飲み物やデザートを中心に追加の支払いが必要な有料サービスが存在していることが分かります。
とはいえ、アルコールや一部の高価格ソフトドリンクといった有料の飲み物が保管された冷蔵庫には、数字の書かれた値札も一緒に用意されているため、少し用心するだけで、うっかり有料の商品を知らずに口にしていたというミスは防ぐことができるはず。
そういった注意点こそ存在しているものの、有料サービス以外にも、
- ホットミール
- コールドミール
- 飲み物
のそれぞれについて、無料で楽しめるものも用意されているため、ラウンジ内で出発までの時間を過ごすことは可能です。
まず、ホットミールとしては、
- 白米のご飯
- お粥
- トマトソースのパスタ
といった主食系。
主食系のホットミールの他には、
- 野菜のポタージュスープ
といった気軽に楽しめるスープも熱々状態で用意され、これから極東地域の寒さに別れを告げる多くの利用者が口にしていました。
一方のコールドミールとしては、様々な野菜やトッピングの用意されたサラダコーナー。
このコーナーには、各種ドレッシングの他に香辛料や調味料も用意され、旅行中に不足しがちな野菜を補給している方の姿も見かけました。
それ以外のコールドミールとしては、
- 各種フルーツ
- マフィン
- クッキー
- クレープ
- 各種パン類
- 各種シリアル
などがコンパクトに並んでいます。
こうしてホットミールやコールドミールを見てみると、ロシアらしい料理は見かけない一方で、好みの分かれにくい料理や食べ物が用意されていることがわかりますね。
続いて飲み物ですが、プライオリティパスや航空会社のラウンジとしては珍しく、アルコールが基本的に有料の提供となっているという事情もあり、グラスやカップで楽しむソフトドリンクが中心となります。
具体的には、
- オレンジジュース
- りんごジュース
- ベリージュース
- コーヒー
- 紅茶やフルーツティーなどの各種お茶
といったラインナップが用意されていました。
個人的には、コカ・コーラなどの一般的な炭酸飲料も自由に冷蔵庫から手に取れる無料提供ではないというのはなかなか衝撃的で、これもある意味でロシアらしいと言えるのかもしれませんね。
まとめ
ロシア極東のウラジオストク空港にある、PRIMORYE LOUNGE(プライモリ ラウンジ)。
コンパクトな空港に用意され、どこか質実剛健な印象すら感じるラウンジですが、
- プライオリティパス利用者
- 提携航空会社のビジネスクラス利用者
- 提携航空会社の上級会員
といった様々な利用者が一堂に会する事になるユニークなラウンジとして仕上がっています。
もちろん、ラウンジ内でサービスとしては、アルコールなど他の一般的なラウンジでは無料で提供されているサービスが有料扱いになっているなど、スタンダードというよりもややシンプルな印象も感じるのですが、
- ちょっとした軽食で小腹を満たす目的での利用
- ペットボトル入りのミネラルウォーターや各種お茶などでの水分補給
- ラウンジ利用者専用のトイレの利用
- キッズルームの利用
といった部分で出発までの時間を快適に過ごす助けになるのは間違いありません。
特に、ウラジオストク空港国際線の制限エリアは想像以上にコンパクトにまとまっていて、そのサイズ感は制限エリアの端から端まで容易に見通すことができるほどですから、搭乗ゲートまでの移動に必要な時間も予想しやすい以上、出発までにゆるりと過ごす目的での利用はなかなかおすすめだと思いますよ。
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