飛行機を利用する頻度が高いほど、それに比例するように遭遇してしまう確率も高くなってしまうトラブル。
特に、夏から秋の時期には台風が襲来し、残念ながら毎年その大きな爪痕を残されていくのが当たり前となりつつある日本で暮らす限り、その時期に飛行機を利用した旅行を計画する以上は、台風が原因のトラブルに不幸にも巻き込まれるのか、幸運にも回避できるのかは、まさに運次第。
もちろん、台風の影響が考えられる時期には、そもそも旅行に飛行機を利用するタイプの旅行を計画しないというかなり効果的な対策は存在するものの、台風のリスクがある時期にだけ楽しめるイベントや目的地も存在する以上、そうした選択がどこか後ろ向きな対策と感じてしまうのも正直な部分です。
そのため、台風の影響を受けてしまうかもしれない時期の旅行も計画しつつ、残念ながら実際に台風に遭遇してしまった時にはそのダメージを最小限に抑えるための努力を頑張ってみるという方針が、私自身も気に入っています。
目次
予約変更とキャンセルのどちらを希望するのか
楽しみにしていた旅行の出発日が近づいてきたタイミングで、その出発日に台風が出発空港に接近する見込みであること知ってしまった場合、最初に考えなくてはいけないのは、
- 別の日程への予約変更
- 航空券をキャンセルし、支払った代金などの払戻
の2つ。
もちろん、元々の旅程で計画通りに旅行を楽しめるのが一番ですが、台風の影響はその規模と強さに左右されるものの、少なくとも最接近の前後数時間から十数時間もの間、悪影響が生じる可能性が高いのは要注意。
そうした事情がありますから、
- 台風の予想針路
- 台風の強さ
- 台風の影響範囲の大きさ
- 空港の位置
- 予約している便の出発時間
などの組み合わせによっては、せっかく楽しみにしていた元々の予定を取りやめることになっても、対策として予約変更やキャンセルの検討を始めるのがおすすめなケースも確実に存在しています。
特に、最近は空港と都市部を結ぶ公共交通機関も、台風の影響があらかじめ予測できる場合には、積極的な計画運休を実施していますから、無事に予定通り飛行機が飛ぶことに期待して空港に向かったとしても、空港では欠航や大幅な遅延の発生という最終決定を案内されただけとなり、厳しい状況の中で帰宅することになってしまうリスクも高くなっているのは要注意ですから。
国内線での予約変更とキャンセル
台風が原因の欠航や遅延が見込まれる時、後述する国際線に比べ、大きく優遇されていると感じるのが国内線です。
というのも、すでに予約している航空券で発着する空港に対し、台風が原因の運航への影響が見込まれるとJAL側が判断した時点で、
- 同じ区間の別の日時の便への無料での予約変更
- 手数料無料でのキャンセルと払い戻し
といった特別な対応が、仮に無料での予約変更とキャンセルが制限されている種類の航空券に対しても行われるから。
実際、2019年10月の台風19号の襲来時には、10月9日の段階で台風の予想針路から直撃が予想されていた羽田空港や成田空港を10月11日~13日発着する便を中心に影響の見込まれる空港として設定されていました。
そのため、最長で出発の4日前から台風のリスクを回避するための行動が取れたということになります。
ちなみに、国内線の予約変更の手続き期限は、
- 航空券の有効期限
- 元々の出発日+30日
のどちらか長い方の期限内であれば基本的には普通運賃に空席がある限り無料での変更が1回のみですが受け付けてもらえるようになっています。
一方で、国内線のキャンセルによる払い戻しの手続き期限は、
- 航空券の有効期限+10日
- 元々の出発日+40日
のどちらか長い方の期限内となっていて、その期間内であれば、航空券予約・発券時に支払った運賃やマイルを無料での払い戻し手続きを受け付けてもらえます。
つまり、元々予定していた出発日から30日から40日以内なら問題なく手続きが行えますから、数日先の台風の影響がなくなった直後の便に予約変更したいなどの特別な事情がない限りは、予約変更を希望する場合でも、払い戻しを希望する場合でも、あえて欠航や遅延が決定した直後の大変な時期に頑張って手続きを行う必要はないということですね。
具体的な手続きの方法ですが、基本的には、
- JALホームページの「国内線」タブの「予約確認/購入」を選択。
- 「予約一覧」から欠航や遅延などのトラブルの発生している予約を選択。
- 「予約詳細」から「予約内容の変更・取り消しする」を選択し、手続きを進める。
という流れになり、手続きとしては想像以上に簡単です。
その一方で、JALホームページ上で予約変更やキャンセルが受け付けてもらえない予約だけではなく、それ以外の予約についても、JALの国内線向けの電話予約デスクで同様の手続きを受け付けてもらえますから、手続きに不安を感じる場合には利用してみるのも十分価値あり。
ちなみに、台風などが原因の欠航や遅延を理由に国内線特典航空券のキャンセルを行なった場合、新たに3年の有効期限が設けられたJALマイルが払い戻されますから、有効期限切れによる失効を恐れずにキャンセルできるのも嬉しいですね。
国際線での予約変更とキャンセル
利用する空港が台風の影響を受ける見込みとJAL側が判断した時点で、予約変更に制限のある航空券に対しても、
- 同じ区間の別の日時の便への無料での予約変更
- 手数料無料でのキャンセルと払い戻し
といった特別な対応の提供される国内線ですが、運賃が高額になりやすい国際線では、同じ予約変更に制限がある航空券に対して、かなり厳しい対応が基本となっていることだけは要注意です。
なぜなら国際線では、運航に影響のある見込みという状況だけでは、
- 予約変更に制限のある運賃での予約では、元々予定していた出発日の前後5日間で予約時と同じ予約クラスに空席のある便への予約変更のみ無料で可能
- 欠航や遅延が確定するまでは無料でのキャンセルによる払い戻しは不可で、通常通りのキャンセル手数料の負担が必要
という形での特別な対応が行われているから。
つまり、同じ台風の影響を受ける見込み時点で提供される対応でも、
国内線の予約変更:
- 「航空券の有効期限内」か「元々の出発日+30日以内」なら「普通運賃に空席のある限り」無料での予約変更可能
国際線の予約変更:
- 「元々の出発日の前後5日以内」の「予約時と同じ予約クラスに空席がある便に限り」無料での予約変更可能
国内線のキャンセル:
- 「航空券の有効期限内」か「元々の出発日+40日以内」なら無料でのキャンセルによる払い戻しが可能
国際線のキャンセル:
- 欠航や遅延が確定するまでは無料でのキャンセルが不可で、それ以前のキャンセルを希望する場合には通常通りに数万円の手数料負担が必要
というように、想像以上に大きな差が生じていることがわかります。
国際線の無料キャンセルに立ちふさがる難敵
このように同じ台風を原因とした欠航や遅延などのトラブル発生時でも、国内線で提供される特別な対応に比べると大きく制限されている国際線の最大の注意点は、やはり国内線と同等の特別な対応が得られるようになるのは、実際に欠航や遅延が決定してからのみという部分です。
しかも、肝心の欠航や遅延の判断は基本的には元々の運航日の前日以降に行われるという原則があるため、運が悪いと、出発当日の空港にようやく到着した出発の数時間前に欠航が発表されるというケースも考えられるということ。
また、国際線の利用では、24時間以内に発着する国内線から乗り継ぐ場合もあるのですが、先に利用する国内線の出発時間まで国際線の欠航や遅延が決定せず、国内線を利用して旅行を開始してしまった後に、肝心の国際線の欠航や遅延が決定し、空港などの旅先で途方に暮れてしまう可能性もあるほど。
しかも、その場合は、予約便の運行が確定していない状態では、オンラインチェックインを含め、全ての搭乗手続きができないという条件によって、制限エリア内に入ることができず、その結果、その中にあるJALが運営するラウンジを利用しながら待つこともできないという、なんとも悲しい状況になってしまうのは避けられません。
さらに、同じ空港で同じ出発日の便でも、出発する時間帯によっては早い時間帯に欠航が公表される便もあれば、逆に出発直前まで、
- なんとか通常通り運航されるのか
- 遅延しても最終的には運航されるのか
- 結局欠航するのか
といった判断結果について公表されないこともあるなど、国際線での対応の厳しさには色々と考えさせられるものがあります。
2019年10月の台風19号での国際線航空券の特別な対応
そんな厳しさを感じる台風などのトラブル発生時の国際線航空券の対応ですが、2019年10月の台風19号では、いつもとは異なる変化が見られました。
具体的には、
- 日本列島に上陸する10月12日の2日前となる10月10日から欠航便の公表を行われた
- 日本列島に上陸する10月12日の1日前となる10月11日には、欠航の確定/未確定を問わず、影響を受ける空港を発着する全ての便での特別な対応が開始された
というもの。
ただ、国際線でのこのような対応が行われたのは、台風19号が
- 日本列島に上陸する台風としての異例の強さと規模だった
- JRや私鉄、高速バスなど空港へのアクセスを担う公共交通機関が計画運休を予定していた
- 航空行政を管轄する国土交通省が台風が上陸する日の羽田空港と成田空港の着陸をあらかじめ禁止した
などの異例としか言えないような特別な台風だったことも、大きな原因だったはずですから、こういうこともあるとは考えつつも、あくまで例外的な出来事と捉えた方が良いかもしれませんね。
台風での航空券以外のホテルやレストランなどのキャンセル
こうしてJAL側の特別な対応を利用することで、航空券に関しては無料での予約変更やキャンセルが可能になるのですが、忘れてはいけないのが、旅行先で利用するために予約していたホテルやレストラン、スパなどの航空券とは別の予約の存在です。
台風などが原因で、航空券を別の日時に予約変更する場合でも、航空券自体をキャンセルする場合でも、元々の予定通りの旅行は不可能になるという点では変わりはありませんから、利用できなくなった分の予約は予約変更やキャンセルしなくてはいけません。
その時に問題になるのが、それぞれの予約のキャンセルポリシーの問題。
なぜなら現地払いなどのキャンセル可能なタイプの予約でも、事前決済必須などのキャンセル不可なタイプの予約でも、そのまま何も手続きを行わなければサービスを利用していないにも関わらず、料金だけは請求されてしまうことになってしまうから。
さらに、航空券を無料で予約変更やキャンセルできるようになるタイミングが、国際線よりも優遇されている国内線でも、かなり出発の直前期になっていることも問題です。
というのも、航空券に対する特別な対応が開始されるのを待っている間に、本来は航空券以外の予約を無料で予約変更やキャンセルできる期間を無駄に過ごしてしまうリスクも考えられるから。
こうした場合におすすめしたいのが、ホテルやレストラン、スパなどの予約担当者に電話やメールで、
- 無料での予約変更やキャンセルが可能な期限内に、今後の状況によっては台風が原因で旅行自体がキャンセルになってしまう可能性が高いことを伝える
- 無料での予約変更やキャンセルができない時期になってからの連絡になったとしても、できるだけ早めに台風という不可抗力が原因で旅行自体がキャンセルになってしまったことを伝える
というものです。
このように直接の連絡を行うことで、本来は無料での予約変更やキャンセルができない条件の予約だとしても、無料での特別な対応を提供してもらえる可能性が残るのは嬉しいポイント。
また、ホテルなどの方針として、例え台風などの不可抗力のトラブルが原因だとしても、無料での特別対応は行わないとしている場合でも、仮にそのホテルが加盟するホテルグループの上級会員としての予約では、非公式な上級会員特典として、特別に無料での予約変更やキャンセルを受け付けてくれるケースもありますから、欠航や遅延が心配される時期には、上級会員としての利用が可能なホテルを選択するというのもおすすめと言えそうですね。
まとめ
できることなら遭遇したくはない台風による欠航や遅延。
しかし、遭遇してしまった時には、できるだけ早くJAL側の公表する情報を元に適切な手続きを開始するなど、そのダメージを最小限に抑える方法が存在しているのも事実です。
とはいえ、国内線に比べ、台風などのトラブル時に提供される特別な対応のハードルが格段に高い国際線利用時には、航空券の予約だけではなく、ホテルやレストランなど、他の予約にも気を配りつつ、そこでも特別な対応を提供してもらえるような少しの努力が重要になるのも要注意ポイントかもしれません。
個人的には毎年1年に2~3回ほど台風が原因のトラブルに遭遇し、帰宅したその瞬間にはもうコリゴリとは思うものの、
- この時期だからこその旅行の楽しみを味わえること
- ちょっとした頑張りで実際の悪影響を実質的に気にならない範囲に軽減できていること
などもあって、つい魔が差して(?)魅力的なプランが思いつくと、今でも懲りずに台風シーズンのこの時期にも旅行に向けた予約を入れ続けています。
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