様々な地上交通機関よりも短時間での移動を可能とする飛行機の持つデメリットの1つといえば、遅延や欠航などのトラブル。
もちろん、飛行機自体の不具合や故障に加え、出発空港と到着空港の天候などの制限、さらには急な機材繰りの失敗なども思わぬ遅延や欠航を招く原因となってしまいます。
そんなトラブルに遭遇してしまった時に注意したいのが、どのような対応が可能なのか理解した上でできるだけ早くに行動に移すこと。
なぜなら、解決策として活用されやすい振替便としての他の便の空席はもちろん、新幹線や特急などの代替地上交通機関の空席、さらには宿泊を要するほど深刻な時に頼ることになるホテルの空室に至るまで、トラブルの発生が発覚した瞬間から時を追うごとに、それらの選択肢はどんどん消え去っていっているからです。
つまり、トラブルに遭遇した多くの利用者の気づかぬところで、選択肢の争奪戦はいつの間にか始まって、そして終了してしまっているということも。
目次
遅延や欠航のトラブルが発生した時に把握したい2つのこと
遅延や欠航のトラブルは様々な原因で発生するため、何の前触れもなく、空港内のアナウンスで案内されることも多くなります。
そうした形でトラブルの発生を知ったのならば、できるだけ早いタイミングに確認したいのが、
- トラブルの原因はJAL事由なのか、それ以外なのか
- 遅延も欠航もどの程度の遅れで運航されるのか
の2点です。
この中でも最も重要なのはどの程度の遅れで運航されるのかということですが、もし仮に数時間以上の遅れが発生したり、それよりもさらに深刻な状況に陥りやすい欠航が決定してしまったり、あるいはそれらが公共交通機関の選択肢がぎゅっと狭くなる夜遅くの最終便で発生してしまった時などは、そのトラブルの原因がJALが原因のJAL事由と呼ばれるものなのか、それ以外の原因なのかが、とても重要度の高い確認事項になります。
なぜなら、結果として同じ遅延や欠航が発生した場合でも、利用する飛行機の故障や乗務員による遅刻といったJAL側の管理に責任のある原因の場合にはより自由度の高い代替便や宿泊施設の提供などのかなり手厚い補償が提供される一方、台風や吹雪などの悪天候に加え、滑走路や空港の管理システムでの異常発生など、JAL側の努力ではどうしようもなく、責任のないトラブルが原因の場合には、基本的に利用者側が様々な追加負担を負う必要があるなど、その差は天と地ほども違うから。
そのため、トラブルの原因がJAL事由なのか、それともJAL事由以外なのか、その判断に迷った時には、迷わず早めのタイミングで、カウンターやゲートなどのJAL地上係員に問い合わせてみるのがおすすめです。
機材故障などJAL事由の遅延や欠航とその対応
実際に私がこれまでに何度か遭遇したJAL事由での遅延や欠航としては、搭乗直前の飛行機にすぐには修理できない少し深刻な故障が見つかったといったものがあります。
こうした場合に遅延が30分以上に及ぶことが発覚したのなら、各種カウンターやゲートなどで1人に500円や1,500円などの喫茶券やお食事券としてクーポンが配られるため、このトラブルの原因がJAL事由のものと分かりやすいのがポイント。
また、トラブル発生による悪影響をできるだけ小さなものにするため、通常の予約変更や払い戻し対応以上の自由度の高い振替便の提供や手数料負担なしでの払い戻しに加え、常識的な範囲内での地上交通機関や宿泊施設の提供も視野に入ってきます。
特に、振替では深刻度に応じて、本来のチケットでは利用できない便へのダイナミックな変更が行われることもあるため、思わず驚くケースもあるはず。
ただし、仮にそうした特別な対応の対象となる状況だったとしても、振替便の空席も、地上交通機関の空席も、あるいは宿泊施設の空室も、JAL側に手続きを行ってもらう時に物理的な空きが無い場合、活用不可になってしまうのは避けられません。
そのため、トラブルが発生した時にはできるだけ早く動き始めることは間違いなく重要です。
悪天候や空港トラブルなどJAL事由以外の遅延や欠航とその対応
トラブルの悪影響を軽減するためなら、かなり思い切った対応を行ってくれるJAL事由の遅延や欠航に対し、悪天候や空港トラブルなどのJALが原因ではないJAL事由以外の遅延や欠航では状況がかなり変わったものになります。
具体的には、
- 台風の直撃
- 積雪とその除雪作業
- 離着陸限界を超える強風
- 暑さや落雷が原因と思われる滑走路表面の破損
- 国土交通省管轄の空港管理システムのエラー発生
- 他の航空会社運航便の滑走路上での故障発生
など原因は様々ですが、いずれもJAL側の努力ではどうしようもないトラブル原因ということでは共通。
もちろん、こうしたJALに責任のないケースでも、現実に遅延や欠航が発生するわけですから、本来予約変更ができない予約でも別の便への振替変更や手数料なしでの払い戻しは受け付けてくれます。
しかし、JAL事由以外のトラブルが原因で遅延や欠航が発生している時には、他社運航便もそのトラブルに巻き込まれていることが多いため、それらの他社便への振替が選択肢として積極的に提示されることはあまり期待できません。
そういうことも含め、巻き込まれた利用者自身が頑張って判断をしながらなんとかする必要があるのはもちろん、新幹線やタクシーといった別の地上交通機関利用時に発生した差額負担や翌日以降の移動に備えるための宿泊費など様々な追加コストを負担しなくてはいけないという意味で、なかなか厳しいトラブルと言えます。
とは言え、JALを含めた航空会社の多くは、基本的に利用者と場所から場所へ運ぶ契約を結んでいるだけで、遅延や欠航のない定時到着厳守を約束しているわけではないため、私自身も心情的に納得しているわけではないものの、こうした冷たいと感じる対応を基本とするのは仕方がないと考えています。
JAL事由以外のトラブルでもケースバイケースで提供される救済処置
では、JAL事由以外のトラブルでは、全くJALによる救済処置が提供されないのかというと、実はそんなことはなく、ケースバイケースという表現がぴったりな状況になっています。
具体的には、搭乗予定だった羽田空港からとある地方空港に向かうその日の最終便にJAL事由以外の理由で1時間を超える遅延が発生したため、空港から市街地に向かうエアポートバスへの接続が困難になってしまったことがありました。
もちろん、JAL事由以外の遅延ですから、市街地までのバスが利用できず割高なタクシーを利用することになっても、その追加分のコストは利用者が負担すべきものとして扱われます。
しかし、実際には、JALによるタクシー代行の提供という救済処置が行われました。
もちろん、こうした対応はあくまでJAL側が厚意のサービスとして提供したもので、それ以降、すべてのケースで同様の救済処置が用意されるわけではないことは要注意ですが、こうした形でのサポートが行われる可能性も頭の片隅に留めておく価値はあるはずです。
カウンターやゲートで最新の情報収集を行うメリット
遅延や欠航など、こうしたトラブルに巻き込まれた時には、とにかく最新の情報を収集し、それを判断材料とした上で、早め早めの手続きが重要になります。
それはJAL事由でも、それ以外でも変わることはありません。
その最新情報を集める情報源としては、
- チェックインカウンター
- ラウンジの受付カウンター(一部ラウンジを除く)
- 搭乗ゲート(搭乗開始前の時間帯)
- 電話予約センター
といった4種類が考えられるのですが、基本的には、利用できるものの中で最も空いている窓口を活用するのがおすすめ。
実際、予約センターに電話をかけて担当オペレーターにつながるのを待ちながら、カウンターに並ぶこともできるわけですから。
ちなみに、これらの窓口の中でも、空港の中にある
- チェックインカウンター
- ラウンジの受付カウンター(一部ラウンジを除く)
- 搭乗ゲート(搭乗開始前の時間帯)
では、問い合わせるタイミングによって、様々なお知らせを伝えるアナウンスや出発時刻などを案内する電光掲示板ではまだ公表されていない、
- 現状○分遅れと案内済みだが、さらに△分遅れる予定
- 少し前まで欠航を決定済みだったが、運航を行う予定に変更
というような最新情報も入手可能ですから、地上係員の方に負担や迷惑を極力かけない形で頼りにしてみるのも、より早い状況把握と方針決定にも有効です。
逆に、電話で問い合わせる形になる予約デスクは、現場にいないという制限があるため、常にタイムラグを感じるのは避けられない上、担当オペレーターが基本的に1人で対応するしかない以上、空港にあるカウンターのように複数のスタッフが協力するというような数の力には一歩及ばないケースも間違いなく存在しています。
そうした事情から、空港に到着しているタイミングでトラブル発生を知った場合には、可能な限り空港内のカウンターでの手続きを希望しているのも正直な部分。
遅延や欠航時の上級会員優遇
遅延や欠航などのトラブルが発生した時に気になるのは上級会員資格保有者にだけ用意されている優遇が存在するのかということかもしれません。
これについては、結果的に上級会員資格を保有している場合には、一般の利用者とは異なる対応になることもあると考えています。
なぜなら、トラブルが発生した場面でも、上級会員には、
- 上級会員用の専用のチェックインカウンターなどのデスクを利用できるため、早くに対応を開始できる
- つながりやすさの面で優遇されている専用の電話窓口が利用できるため、早くに対応を開始できる
- ラウンジなどではラウンジスタッフがわざわざラウンジ内にいる利用者を探し出し、アナウンスで公表される前の段階で遅延や欠航などのトラブルが発生したことを教えてくれることもある
- すでにJAL側としておすすめと考えるベターな旅程の振替便などの代替手段に席が確保され、後はJAL側からの説明後の利用者による承認待ち状態になっていることもある
- 深刻度や緊急度に応じて複数人の2~4人程度のスタッフが集中的に振替手続きなどの対応し、スピード感重視で解決してくれることもある
といった優遇が与えられるから。
こうした優遇が存在している以上、上級会員はより早いタイミングに多くの選択肢が残された状況の中で解決策を選べるのは間違いありません。
その結果、トラブルの影響範囲が広く、対象者が多い場合などは特に、最終的な対応に大きな隔たりが生じてしまう可能性がゼロになることはないはずです。
まとめ
飛行機を利用する限り、完全にゼロにすることは困難な遅延や欠航のリスク。
しかも、そのリスクはJALを含めた航空会社事由のものなのか、それ以外なのかによって、その後の対応の手厚さに大きな違いが生まれるというのもなかなか難しさを感じる部分です。
とは言え、そこにはより良い条件でトラブルに向き合うための対応策やテクニックも存在していますから、万が一の時にこんなはずじゃなかったということにならないようにするためにも、準備しておくのはおすすめだと思いますよ。
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