お金で支払う有償の航空券でも、マイルを利用して予約する特典航空券でも、国際線を利用する時に気になる負担といえば、燃油サーチャージの存在。
この燃油サーチャージは、極端な原油安と円高が進行しない限り、国際線の航空券を予約・発券する度に請求される残念なコストです。
しかも、直近2ヶ月間の原油価格に連動する形で取引されるジェット燃料の市場価格と外国為替相場の円とドルの取引価格によって、次の2ヶ月間の燃油サーチャージの有無とその金額が決定されるという性質を持ちます。
そのため、値上げが予想される時には、値上げ前の早急な予約・発券がお得になり、逆に値下げが予想される時には、あえてすぐの手続きは行わず、値上げが行われてからの予約・発券がお得という、ちょっとしたタイミングを選んだ上での駆け引きが重要になることも。
目次
燃油サーチャージ値上げ時の海外発券
じわりじわりと国際線航空券予約のコストを押し上げることになる燃油サーチャージの値上げが行われる時に、意外に頼りになるものの1つが海外発券と呼ばれる国際線航空券の存在です。
この海外発券の航空券とは、お金で支払った有償航空券でもマイルで予約した特典航空券でも、日本国内の都市ではなく、海外の都市をスタート地点とした国際線区間を含む航空券のことで、日本発の国際線航空券の燃油サーチャージとは少し異なる値上げの動きを見せるという特長があります。
具体的に、2019年1月31日までと2月1日から3月31日の燃油サーチャージを海外発と日本発の国際線航空券で、片道ごとで比べてみたのが下の表。
日本発 1月31日まで | 日本発 2月1日以降 | 海外発 1月31日まで | 海外発 2月1日以降 | |
韓国、極東ロシア | 1,000円 | 1,500円 | USD 6 | USD 6 |
東アジア | 3,500円 | 4,500円 | USD 31 | USD 31 |
グアム、フィリピン パラオ、ベトナム | 4,000円 | 5,000円 | USD 37 | USD 37 |
タイ、シンガポール マレーシア | 6,500円 | 8,500円 | USD 55 | USD 55 |
インドネシア、インド スリランカ、ハワイ | 8,500円 | 11,000円 | USD 74 | USD 74 |
北米、欧州、中東 オセアニア | 14,000円 | 17,500円 | USD 129 | USD 129 |
こうして見ると、
- 日本発は2月1日以降に燃油サーチャージの値上げが行われる一方で、海外発は燃油サーチャージの金額が変わらず
- 日本発と海外発では、値上げが行われる前の日本発でさえ、海外発よりも割高な燃油サーチャージが必要
といったことが分かります。
つまり、同じ区間を予約発券する場合でも、日本発の国際線航空券よりも海外発の国際線航空券の方が、燃油サーチャージの部分で安価になることが予想できるということです。
実際、燃油サーチャージの値上げが行われる前の2019年1月31日の日本発国際線特典航空券の東京-パリ間ビジネスクラス往復でさえ、空港税や燃油サーチャージなどの合計金額は43,950円。
それに対して、海外発国際線特典航空券の東京-パリ間ビジネスクラス往復の空港税や燃油サーチャージなどの合計金額は41,210円となっています。
しかも、値上げ後にはこの差がさらに広がるのは避けられません。
海外発券の本当の実力を遠ざけた海外発で海外が目的地の国際線特典航空券の廃止
こうした海外発の国際線航空券の燃油サーチャージの安さが特に際立つ活用方法といえば、それは間違いなく海外から日本を経由して海外に向かう航空券での利用。
この場合、燃油サーチャージの負担が必要になる国際線区間が増え、同時にその移動距離も長くなる傾向があるため、利用する旅程によっては、海外発と日本発で比べた時の差は2倍以上に広がることもあるほど。
ただし、2018年12月4日に実施されたJAL国際線特典航空券PLUSの導入によって、海外発日本経由海外が目的地の特典航空券はそのサービス提供自体が廃止されてしまいましたから、これまでお得で便利に活用できていた特典航空券は活用不可に。
そのため、本当の意味でも海外発の航空券の凄さを実感するためには、残された海外発券海外が目的地の有償航空券を利用するしかないということですね。
特典航空券だからこそ可能な片道ずつの予約
このようにして、燃油サーチャージの面で海外発の予約・発券がお得だとわかっていても、そもそも海外発の国際線航空券を利用するためには、最初に海外に向かう国際線航空券を別途用意しなくてはいけません。
また、最終的に海外発の国際線航空券の利用を終える時に、日本に帰ってくるための国際線航空券もさらに用意しなくてはいけないなど、特殊な一手間が必要になってしまうのは要注意ポイントです。
そのため、海外発の航空券の燃油サーチャージのお得度を手軽に利用する手段としておすすめしたいのが、マイルで予約する国際線特典航空券の片道利用。
これは通常は
- 日本-海外-日本
という日本発の往復国際線特典航空券1冊分として予約・発券するものを、
- 日本-海外
- 海外-日本
というような日本発の片道国際線特典航空券と海外発の片道国際線特典航空券の合計2冊分として予約・発券するということです。
こうすることで、
- 海外-日本
の片道分だけは予約を片道ずつに分けて手続きを行うという簡単な操作で海外発の安価な燃油サーチャージの恩恵が受けられことになります。
実際、日本発の東京-パリ間ビジネスクラス往復国際線特典航空券の1冊では43,950円だった空港税や燃油サーチャージなどの合計金額も、東京-パリ、パリ-東京と分けると
- 東京-パリ:17,870円
- パリ-東京:24,710円
- 合計42,580円
というように、安価な結果に。
もちろん、この金額は最もお得な海外発の41,210円には及ばないものの、手続き自体の手軽さや今後、燃油サーチャージの値上げが継続的に実施された時にはさらにお得になることから考えると、なかなか魅力的なテクニックの1つになるはずです。
片道ずつ特典航空券を発券するデメリット
このようにして、燃油サーチャージの面で有利になる片道ずつ発券にも忘れてはいけないデメリットが存在しています。
それが手数料負担の増加リスク。
なぜなら、予約・発券を完了した特典航空券をキャンセルしてマイルを払い戻してもらう場合、
- 往復で1冊の航空券として発券:手数料は航空券1冊分の3,100円
- 片道ずつで合計2冊の航空券として発券:手数料は航空券2冊分の6,200円
というように、手数料が最大2倍にもなってしまう可能性があるから。
そのため、燃油サーチャージがお得な海外発券を活用した片道ずつの予約・発券は、基本的にキャンセルによる払い戻しの可能性がとても低い、あるいはその心配がまったくない旅程での利用がおすすめです。
逆に、キャンセルの可能性自体が排除できない場合には、万が一のキャンセルでの手数料負担を抑えることができる往復予約をそのまま利用するのが安心ですね。
まとめ
日本発と海外発でそれぞれ異なる設定になることもある燃油サーチャージの金額。
特に、燃油サーチャージの値上げや値下げが行われる時には、いつどんな形で予約するのかによって、意外に大きな損得が生まれてしまうのも事実です。
そのメリットを手軽に活用できる存在としておすすめできるのが特典航空券の片道利用。
もちろん、この利用方法にも、キャンセル時の手数料負担増加のリスクはあるのですが、手軽に利用できることと合わせて、元々キャンセルの可能性が低い予約では積極的に活用してみるのも面白いと思いますよ。
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