例え遠く離れた目的地でも他の交通機関よりも圧倒的に短時間での到着が可能な飛行機での移動。
しかし、その飛行機を利用するために必要な保安検査では、
- コートやジェケットなどの上着を脱がなくてはいけない
- 空港によっては靴まで脱いで靴下状態にならなくてはいけない
- 金属のバックルを持つベルトは外さなくてはいけない
- PCやタブレット、スマートフォン、液体物をバッグなどから取り出さなくてはいけない
といった一手間に加え、混雑時には特に長く伸びる順番待ちの列に並び続けなくてはいけないこともあります。
そのため、私も含め、飛行機での旅行は便利だと思う一方、保安検査にはあまり良い印象を持っていないという方も意外に多くいらっしゃるはずです。
目次
保安検査をスムーズに完了できる優先保安検査
そんな保安検査をできる限りスムーズで快適なものにしてくれるのが優先保安検査と呼ばれるサービス。
このサービスは、それぞれの空港ごとに、
- ファストトラック
- ファストレーン
- プライオリティレーン
といった様々な名前で呼ばれているものの、内容は殆ど同じで、対象となる利用者限定で優先的な保安検査を受けられる専用の列を提供してくれるものです。
ちなみに、優先保安検査と言っても、一部の例外を除いて列に並んだ先にある検査機械やそこで受ける検査内容は一般の保安検査と変わりなく、あくまで保安検査の列に並んでから、終了するまでの時間が通常よりも大きく短縮されるというもの。
実際、国際線の搭乗前に行う保安検査では、検査終了後には何事もなかったように、その他の利用者の方と合流し、出国審査などの列に並ぶことになります。
優先保安検査の対象者と利用条件
保安検査を通過するために必要な時間の短縮と通過時の快適性が魅力の優先保安検査ですが、気になるのはその対象者や利用条件。
これについては、空港ごとに異なるのですが、
- ファーストクラスやビジネスクラスの上位クラス利用者
- 航空会社の上級会員
- 小さなお子様連れの方やお年寄り、お身体の不自由な方
などが一般的な対象となっています。
ただし、この区分は本当に空港ごとに異なり、
- ファーストクラスやビジネスクラスは対象でも航空会社上級会員は対象外(バンコク・スワンナプーム国際空港など)
- ファーストクラスと航空会社上級会員は対象でもビジネスクラスは対象外(東京・羽田空港など)
など、他の空港とはかなり異なる優先保安検査の運用が行われている可能性もあるので、油断大敵なポイント。
特に、スムーズで快適なサービスを維持する目的のために、優先保安検査の入り口では利用条件がしっかりチェックされているため、このちょっとしたうっかりミスで思いがけず空港の係員の方に注意や指摘を受け、残念な気持ちになってしまうリスクがあるので要注意。
また、多くの優先保安検査では、その入口で上位クラスでの搭乗や上級会員ステイタスの保有などの利用条件を満たすことが印字された搭乗券の提示するだけで通過可能ですが、空港によっては、あらかじめ空港のチェックインカウンターなどで配布される専用の利用券などの提出が必要になることもあるので、この部分でも少しだけ用心が必要ですね。
羽田空港国際線ターミナルでの優先保安検査と対象者の条件
JALが国際線運航の拠点とする、羽田空港の国際線ターミナルでも、利用対象者の利便性を高める優先保安検査目的で、Fast Track(保安検査優先レーン)が用意されています。
ただし、この羽田空港の優先保安検査では、JAL運航便利用者の場合、
- ファーストクラス搭乗者
- JMBダイヤモンド
- JGCプレミア
- JMBサファイア
- JGC
に限られているという事情があるため、少し要注意。
というのも、ファーストクラスほどではないものの、高額なコスト負担の必要なビジネスクラス利用者が優先保安検査の対象外となることはもちろん、JAL以外の他社によるワンワールドエメラルドやワンワールドサファイアでは、JAL運航便での優先保安検査の利用も制限されてしまうから。
個人的には、空港サービスの観点からも、
- 上級会員ステイタスなしのビジネスクラス利用者
- 同じアライアンス内の上級会員ステイタス保有者
には付加サービスとして優先保安検査を提供した方が良いとは思うものの、こうした運用はJALだけではなく、羽田空港の国際線ターミナルを出発する航空会社間でほぼで共通した運用ルールになっていることから考えても、航空会社側の頑張りではすぐに改善が難しい種類の空港運営会社側との一括した取り決めが制限の原因と思わせる残念な部分です。
ちなみに、羽田空港国際線ターミナルの保安検査場や出国審査場の入口は、「中央」と「北」の2ヶ所用意されているのですが、優先保安検査についてはそのどちらでも問題なく同じ利用条件で活用できるようになっていますから、
- タイミング的に空いている
- 利用予定のゲートに近い
- 利用可能なラウンジに近い
など、その時その時で便利な方を選択できるのも嬉しいポイントかもしれません。
しかし、「北」の保安検査場や出国審査場の入口については、早朝や深夜の利用者数自体が極端に少ない時間帯のみ、入口自体が完全に閉鎖され、利用自体ができなくなることもあるため、そうした時間帯の利用では、「北」ではなく常に利用可能な「中央」の方に最初から向かうべきですね。
成田空港第2ターミナルでの優先保安検査と対象者の条件
JALの国際線拠点空港としての地位を保ち続ける成田空港第2ターミナルでも、羽田空港と同様、優先保安検査のサービスが提供されていることに違いはありません。
ただし、成田空港の場合、羽田空港の「中央」と「北」の保安検査場入口と同じ様に、「JAL ファストセキュリティレーン」と「プレミアムレーン(ファストトラック)」の2種類の優先保安検査場の入口が用意されているものの、それぞれのレーン間で対象者が異なるという少しだけ要注意な運用が行われています。
まず、「JAL ファストセキュリティレーン」はJAL運航便に搭乗する、
- ファーストクラス
- JMBダイヤモンド
- JGCプレミア
- JMBサファイア
- JALグローバルクラブ会員(JGC)
- 他社ワンワールドエメラルド
- 上記対象者の同行者1名まで
といった利用者が対象という条件が設けられています。
そのため、JAL運航便の利用でも、
- ビジネスクラス搭乗者
- 他社ワンワールドサファイア
を対象に制限が存在することが分かりますね。
一方、同じ成田空港第2ターミナルに用意された優先保安検査用の「プレミアムレーン(ファストトラック)」では、上の写真のように、
- ファーストクラス
- ビジネスクラス
- ワンワールドエメラルド
- ワンワールドサファイア
に加え、
- 車椅子の方
- お年寄りの方
- お身体の不自由な方
- お子様連れの方
なども問題なく優先保安検査が利用可能になっています。
そのため、「JAL ファストセキュリティレーン」では利用対象外として優先保安検査を利用できなかったJAL運航便利用の
- ビジネスクラス搭乗者
- 他社ワンワールドサファイア
も、「プレミアムレーン(ファストトラック)」の方に移動するだけで、問題なく優先保安検査サービスを活用できるということですね。
ちなみに、「JAL ファストセキュリティレーン」は保安検査場の南口、「プレミアムレーン(ファストトラック)」は保安検査場の北口にそれぞれ隣接する形で立地しているのですが、保安検査場間の移動はゆっくり歩いても数分の時間も要しないお手軽なもので、成田空港第2ターミナルから出発するのであれば、どちらの入口から制限エリアに入ることも可能です。
そのため、「JAL ファストセキュリティレーン」の利用対象外の方が優先保安検査を利用する目的で「プレミアムレーン(ファストトラック)」に移動するのはもちろん、どちらの入口も利用できるという方にとっても、
- タイミング的に空いている
- 利用予定のゲートに近い
- 利用可能なラウンジに近い
などの条件に合わせて、その時その時で便利に利用できる方を選ぶなど、積極的に使い分けるというのもなかなかおすすめだと思います。
優先保安検査での同行者の同伴制限
こうして利用が可能になる優先保安検査ですが、少しだけ悩むことになるのが一緒に旅行する同行者が優先保安検査の利用条件を満たしていない場合に、その同行者は優先保安検査を利用することができるのかという問題です。
これについても、空港ごとに設定している利用条件に加え、優先保安検査の入り口で利用の可否を実際に判断している係員次第というのが正直な実感。
そのため、同行者と一緒に優先保安検査が利用できるかどうか分からない場合には、チェックインカウンターの地上係員の方はもちろん、実際に利用の可否を判断している優先保安検査入り口のスタッフに質問してみるのがおすすめ。
実際、これまでの私自身の経験としては、特に明文化されているものを除いて、
- 優先保安検査用のチケットが必要な空港では同行者の同伴は不可
- 保安検査用のチケットが不要な空港では、1名程度の同行者の同伴は可能
といった運用が行われていると感じています。
そのため、元々勝算の低い専用のチケットが利用者1人1人に用意されているケース以外は、とりあえず実際の運用を聞いてみるなどのチャレンジだけでも挑戦してみる価値はあるはずです。
優先保安検査の利用方法
対象者限定で提供される優先保安検査は、あくまで一般の利用者に対する優先的な扱いが行われるサービスという事情もあってか、その入口自体があまり目立つ形で用意されず、空港の出発エリアにこっそりと控えめに設置されている案内板に気づいてからようやく見つかることもあります。
そのため、チェックの手続きの時などに、カウンターの航空会社スタッフの方に、前述の優先保安検査の利用条件と合わせて、あらかじめ優先保安検査の入り口の場所も質問してみるのがおすすめです。
そうして見つけた優先保安検査の入り口では、搭乗券を提示するだけで通常は通過できるのですが、マイルの加算先などを変更しているなどの理由で搭乗券だけでは利用条件を満たしていることが確認できない場合、航空会社の上級会員を証明するステイタスカードの提示が求められることもあるので、少し変わった手続きをしている方は要注意。
ちなみに、航空会社のスタッフの方にその空港での優先保安検査について問い合わせることで、混雑の状況次第では、
- 複数ある列のうち、より空いている別の優先保安検査の入り口を案内してもらえる
- 最も空いているパイロットや客室乗務員用のクルーレーンに連れて行ってもらえる
といった、少し特別な対応を受けられることもあります。
こうして簡単な質問だけで、よりスムーズな保安検査の通過が可能になることもありますから、その空港での優先保安検査の取り扱いが気になった時や初めて利用する空港を訪れた時などには、チェックインカウンターなどに常駐している地上係員の方などにとりあえず質問してみるのは大切なことかもしれません。
優先保安検査をあえて避ける理由
こうして、便利なサービスとして提供されている優先保安検査ですが、常に優先保安検査の利用が最適なのかというと、実はそうとは限りません。
なぜなら、優先保安検査が一般の利用者用の保安検査よりも混雑してしまうケースも存在するから。
確かに、通常は優先保安検査の方が、一般の保安検査よりも空いていることが多いのですが、タイミングによっては優先保安検査だけが混雑し、一般の保安検査はガラガラということも、全く考えられないわけではありません。
実際、チェックイン開始直後の時間帯などは、優先され早くにチェックインの手続きが完了した上位クラス利用者や上級会員が優先保安検査に殺到するかのように集中し、まばらにしか手続きが完了しないそれ以外の利用者を対象にした一般の保安検査は逆にかなり空いているという状況も意外に見かけるものです。
そういった時には、思い切って優先保安検査の利用を避け、一般の保安検査をそのまま利用するというのも、最終的な通過時間の短縮目的にはなかなかおすすめです。
ただし、優先保安検査では、様々な理由があるのか、一般の保安検査よりも検査を行う荷物の係員の方による取り扱いや利用者に対する接客が丁寧で落ち着いていると感じるケースが多いのも事実。
そのため、そうした部分に魅力を感じる場合には、多少混雑していたとしても優先保安検査を利用するメリットになるかも知れませんね。
まとめ
確かに便利で快適な優先保安検査ですが、少しだけ注意が必要なサービスとして提供されているのも事実。
とはいえ、そうした要注意ポイントは、空港のチェックインカウンターや優先保安検査の入り口で待機している係の方に問い合わせてみることで、いずれもあっさり解決するものばかりですから、せっかくのサービスを少し積極的に活用してみるのも、なかなかおすすめだと思いますよ。
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