それぞれの航空会社の戦略によって、様々なクラス構成の飛行機が実際に運航されています。
例えば、JALの国際線フラッグシップと言えるボーイング777-300ERの場合は、
- ファーストクラス
- ビジネスクラス
- プレミアムエコノミー
- エコノミークラス
といった現代の飛行機におけるクラス構成でのフルラインナップといった様相の4クラスで運航される機材です。
この4つのクラスの中で、我が家が予約時の段階であまり積極的に選択しないものの1つと言えば、それはプレミアムエコノミー。
というのも、ビジネスクラスとエコノミークラスとのサービスの面での差を埋めるために、比較的最近になって設定されるようになったクラスという事情もあって、どうしてもサービス面でのどっちつかずな印象と共に割高という感触を持っているから。
また、JALの上級会員として満席近い便を予約している場合、エコノミークラスからビジネスクラスへよりも意外に高確率でプレミアムエコノミーへの無料のインボラアップグレードが提供されることも、消極的とは言え、そうした選択を選ぶ理由の1つになっています。
そんな中、2018年5月の渡米では、アメリカン航空からアメリカ発日本行きの片道分のプレミアムエコノミーがエコノミークラスとあまり変わらない料金で販売されているのを発見。
さらに、以前、アメリカン航空での旅行時に遭遇したトラブルのお詫びとして200ドル分のお詫びクーポン、エレクトリックトラベルバウチャーも提供され、それが未だ手元にあったため、とてもお得にアメリカン航空のプレミアムエコノミーを体験する機会に恵まれました。
目次
ロサンゼルス-東京・羽田間を結ぶAA27
そんな事情でアメリカからの帰国便として選んだのはアメリカン航空27便。
通称AA27と呼ばれ、ロサンゼルス国際空港(LAX)と東京・羽田空港(HND)をボーイング787-9という
- ビジネスクラス
- プレミアムエコノミー
- エコノミークラス
の3クラス構成の比較的新しい機材で結ぶ路線です。
現地ロサンゼルス出発時間は10時25分、目的地東京には14時25分に到着予定となっていて、偏西風を向かい風に飛ぶ東から西への飛行になるため、飛行時間はスケジュール通りでも西から東へ向かう時よりも少し長い11時間40分ほど。
ちなみに、実際に支払った金額は料金は燃油サーチャージや空港税込みの金額の金額に200ドルのバウチャーによる割引を含め5万円弱と太平洋を10時間以上の時間を要してプレミアムエコノミーで移動することを考えると十分お得だったように思います。
アメリカン航空プレミアムエコノミーの優先搭乗
国内線だけではなく国際線でも普段からJALを愛用している私にとって搭乗前から驚きを与えたのがAA27での優先搭乗。
というのも、アメリカン航空の優先搭乗は、
- ConciergeKey:アメリカン航空の最上級会員コンシェルジュキー会員のみ
- グループ1:ファーストクラス搭乗者、軍関係者、2クラス制ビジネスクラス搭乗者など
- グループ2:ワンワールドエメラルド、3クラス制ビジネスクラス搭乗者など
- グループ3:ワンワールドサファイアなど
- グループ4:ワンワールドルビー、プレミアムエコノミーなど
という区分で搭乗の順番がグループごとに分かれていて、プレミアムエコノミーでも、しっかりとワンワールドルビー相当の優遇を受けることができるから。
一方のJALではプレミアムエコノミーはエコノミークラスと同様の扱いで優先搭乗の対象に加えられていない状況とは対照的です。
このあたりから、アメリカン航空のプレミアムエコノミーはJALのプレミアムエコノミーと一味違うかもしれないという感触のようなものを感じ始めました。
ちなみに、利用したAA27は優先搭乗の利用を希望する方がなかなか多く、搭乗開始予定時間の5分ほど前にグループ1まで案内が行われた段階で数十人が機内へと吸い込まれていきました。
これは搭乗口の付近にゆったりと席を確保してくつろげるタイプの店舗が少なく、肝心の搭乗口にもあまり多くのベンチが用意されていないため、そんなゆったりと待てない搭乗口で待つよりは優先搭乗を利用して早めに機内に乗ってしまおうと考える利用者が多いのかもしれませんね。
ちなみに、我が家の場合は、私がJMB ダイヤモンドによるワンワールドエメラルド、家族がJGCの家族会員によるワンワールドサファイアという状況ですが、私が家族を同伴者として申告することで、プレミアムエコノミー用のグループ4用の優先搭乗の順番を待つことなく、グループ2の優先搭乗が行われるタイミングでゲートを通過することができました。
アメリカン航空プレミアムエコノミー右最後尾の11J&11Lのシート
アメリカン航空のプレミアムエコノミーは横の1列が2-3-2の配列になっていて、3-3-3の配置になっているエコノミークラスよりは十分に余裕が確保されています。
そんなプレミアムエコノミーの席で選んだのが11Jと11Lというプレミアムエコノミーのエリアの中でも右側最後尾にあたる2席。
シートの上にはナイロンで圧着するように、ブランケットや枕、ノイズキャンセリングヘッドホンにアメニティポーチが加えられた状態でパッキングされたアメニティセットが用意。
アメリカン航空のアメニティですから、もちろんアメニティポーチ内には赤と黒のストライプがデザインされた靴下も含まれています。
一方、シートポケットには、使い捨てにしては十分な厚みを持った使い心地の良いスリッパも収納されていました。
また、前の席の背もたれの間のスペースも十分で、足を十分に伸ばして過ごすことができるようになっていました。
しかも、アメリカンサイズ過ぎないのか、設置されている高さや角度がちょうど良いフットレストも実用性が高く、なかなかお気に入り。
JALなどの利用で普段はフットレストを使わないという方も一度試してみるのはおすすめです。
ただ、食事の時などに利用するテーブルなどは隣の席と共有のアームレストに収納されているなど、隣の席との間のスペースの確保はJALのプレミアムエコノミーの方がもう少し配慮されていると感じました。
実際、アメリカン航空のプレミアムエコノミーでは、家族や友人、知人同士の利用ならともかく、全く知らない相手と隣同士になった時には、譲り合いなどの配慮が必須でしょうから。
さらに、リクライニングもシート全体が倒れる一般的な仕様ですから、こちらもJALのシェル状になっていて、後ろの席に影響を与えない形でのリクライニングが利用できるシートに魅力を感じる方も多いかもしれません。
とは言え、シートのゆったりとした横幅はもちろん、クッション性もなかなか良好で、10時間を超える搭乗時間でも特に苦もなく過ごせたのはとても好印象でした。
アメリカン航空プレミアムエコノミーの機内食
アメリカン航空のプレミアムエコノミーでは、シートポケットの中にしっかりと個人用の機内食やドリンク用のメニューが用意されていました。
ちなみに、AA27の場合、
- 出発後の昼食(離陸の約2時間後)
- フライト途中の軽食(離陸の約6時間後)
- 到着前の朝食(離陸の約10時間後/着陸の約1時間30分前)
といった3種類の機内食を提供中。
上の写真は、メインディッシュに「ポルチーニ茸のトルテッリーニ、カチョエペペ、レッドソース」を選び、それ以外は他のメニューと共通の「季節のグリーン、バルサミコヴィネディクト、和風ポテトサラダと共に」と「トリプルチョコレート」が付いてきたもの。
ここで注目したのは、すべて陶器製の食器が利用され、料理が盛り付けられていたこと。
JALの場合、ビジネスクラスならまだしも、機内食が基本的にエコノミークラスと共通のプレミアムエコノミーでは、プラスチック製の容器が利用されていますから、食事を楽しむ時の食べやすさや質感に対する力の入れようは、しっかりとした食器を利用した提供をしているアメリカン航空のほうが優れていると感じました。
ただ、肝心の味は、味付けがなかなか大味な印象に感じてしまい、完食には至らず。
上の写真は軽食の「パストラミサンドイッチ、ケールとブロッコリーのスロー、オルゾとフェタチーズのサラダ」ですが、そうした状況は、昼食の後も変わることなく続きます。
もちろん、上の写真に写っている到着前の朝食、「牛丼、ミックスグリーンサラダ、ご飯、チーズケーキ」でも同じ。
確かに、アメリカン航空で提供される機内食はいずれもボリューム&食べごたえも十分でお腹が一杯になるものです。
ただし、個人的には好みに合うものが多く、同時に当たり外れも少ない無難なものが提供されるという意味では、正直JALのエコノミークラスの機内食の方が好きと感じました。
ちなみに、機内食用のメニューの裏面にはドリンク用のメニューが印刷されています。
ラインナップ的には、あくまでエコノミークラスに準じていることがわかるものですが、機内で楽しむ飲み物として、ソフトドリンクやビール、ハードリカーなどはある程度の充実を見せています。
ただ、ワインにはシャンパンを含めたスパークリングワインの取り扱いがなく、スパークリングウォーターもペリエではない製品が選択されているなど、細かな部分でのビジネスクラス以上の上位クラスとの差別化はしっかりと行われている印象を感じました。
アメリカン航空の長距離線でプレミアムエコノミーを利用するマイル面でのメリット
我が家では、JALを飛行機の搭乗でたっぷりマイルを貯めることができる航空会社として認識しています。
なぜなら、一部の例外的な格安割引運賃を除いて、ほとんどすべての割引運賃でも、飛行距離の100%分のマイルが付与されるJAL便名のついた路線への搭乗を対象とするツアーマイルプレミアムというサービスに加え、上級会員向けのボーナスマイル、マイルアップボーナスサービスが存在しているからです。
この上級会員向けのマイルアップボーナスはJAL限定のツアーマイルプレミアムとは異なり、多くのワンワールド加盟航空会社を対象にしたサービスなのですが、そのボーナスが最大となるJALとアメリカン航空の利用時には、
- JMB ダイヤモンド:130%
- JGCプレミア&JMBサファイア:105%
- JMBクリスタル:55%
- JGC:35%
となっていて、特に、基本となる獲得マイル数よりも多くのボーナス追加されるJMB サファイア以上での威力はなかなか凄まじいもの。
具体的に、今回のAA27のプレミアムエコノミーをJMB ダイヤモンド会員として利用し、そのマイルをJALに加算した場合を考えてみると、ロサンゼルス国際空港(LAX)と東京・羽田空港(HND)間の飛行距離は5,458マイルで、プレミアムエコノミーでは割引運賃での利用でも飛行距離の100%分のマイルが加算されますから、基本獲得マイル数は5,458マイル。
その5,458マイルの基本獲得マイル数に対して、JMB ダイヤモンド会員は130%分のボーナス、7,095マイルが追加されるため、合計マイル数は12,553マイルにもなります。
ちなみに、利用する日によって異なるものの、数千円から1万円程度の差しかないエコノミークラスの割引運賃利用では、基本獲得マイル数は50%まで下がってしまうのが一般的ですから、ボーナスマイルを含めた最終的な加算マイル数も6,277マイルと半分になってしまうのは避けられません。
そのため、利用する路線やタイミングによって、もしエコノミークラスとプレミアムエコノミーの料金に大きな差がない時には、積極的にプレミアムエコノミーの利用を考える価値があると感じました。
特に、JAL以外のツアーマイルプレミアムの恩恵を受けられませんから、飛行距離の100%分のマイルを基本獲得マイルにできるプレミアムエコノミーのメリットがキラリと光りますね。
まとめ
ビジネスクラスとエコノミークラスとの間に挟まれた比較的新しいクラスという事情もあって、サービス面での差別化に航空会社ごとの工夫や試行錯誤が見られるプレミアムエコノミー。
今回利用したアメリカン航空AA27のプレミアムエコノミーは、全体的にエコノミークラスよりは確実に快適という基本線は変わらないものの、JALをメインとしている私にとって身近なJALのプレミアムエコノミーと比べ、優れている面もあれば、少しだけ気になる面もあるというのが正直な印象です。
ただ、アメリカン航空のプレミアムエコノミーの場合、なぜか時々マイル面でのお得度といったメリットまで考えると、全く気にならないエコノミークラスとの価格差でプレミアムエコノミーの快適性を確保することも可能。
少なくとも、アメリカン航空でプレミアムエコノミーを搭載して運航する区間を利用する時には、念のためにプレミアムエコノミーとエコノミークラスを比べようにする良いきっかけになったように思います。
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