様々な理由で海外からの訪日客が増加している昨今、日本を発着する航空会社は強気の姿勢を見せ、新規路線の就航にも積極的になっています。
日本を代表する航空会社の1つのJALも2019年3月31日から東京(成田)-シアトルを毎日1往復ずつ結ぶ路線の開設を予定され、路線網がより便利なものになるのは間違いありません。
目次
新規路線の開設記念で特別なキャンペーンが実施される理由
こうした新規路線の開設がされた時に頻繁に行われるものといえば、新たに開設された路線の利用者を対象にしたキャンペーンです。
新しい路線では、他社の直行便や自社の乗継便といった、それまでの既存路線との競合はもちろん、そもそも路線の知名度自体が既存路線に比べて不足していることからも、開設直後のタイミングは特に搭乗率の面で苦戦リスクがあることが大きな理由。
実際、JALが新規開設する東京(成田)-シアトル線でも、開設直後の搭乗率の下支えを目的としたキャンペーンが、開設される3月31日から数ヶ月間の期間限定で行われます。
獲得できるポイントの内容だけが異なる2つのキャンペーン
東京(成田)-シアトル線の新規開設で用意されているキャンペーンは、
- 東京(成田)-シアトル線開設記念 ダブルマイルキャンペーン
- 東京(成田)-シアトル線開設記念 ダブル FLY ON ポイントキャンペーン
の2種類。
キャンペーンの名称が似ていることからもわかるように、
- 特典航空券などに利用できるマイル
- 上級会員資格獲得・維持に必要なFLY ON ポイント(FOP)
といった獲得できるポイントが異なるだけで、それぞれのポイントが通常の2倍獲得できるという部分は共通しています。
ダブルマイルキャンペーンとダブルFOPキャンペーンのの特長と違い
通常時よりも2倍のマイルが獲得できる、東京(成田)-シアトル線開設記念 ダブルマイルキャンペーンは、
- 東京(成田)-シアトル間を結ぶJL068とJL067の有償航空券利用者を対象にしたキャンペーン
- JL068とJL067以外の便の有償航空券利用者やJL068とJL067の利用者でも特典航空券での利用は対象外
- キャンペーン期間は搭乗日基準で2019年3月31日~5月31日
- 対象者は事前にキャンペーン登録を行ったすべてのJMB会員
- 対象の予約クラスはビジネスクラス(J、C、 D 、X)、エコノミークラス(Y、B、H、K、M、L 、V、S)などの一部のみ
- キャンペーンで追加されるマイルはボーナスマイルなどが加算される前のフライトマイルを元に計算
といった特長を持っています。
一方で、通常よりも2倍のFOPが獲得できる、東京(成田)-シアトル線開設記念 ダブル FLY ON ポイントキャンペーンの特長はというと、
- 東京(成田)-シアトル間を結ぶJL068とJL067の有償航空券利用者を対象にしたキャンペーン
- JL068とJL067以外の便の有償航空券利用者やJL068とJL067の利用者でも特典航空券での利用は対象外
- キャンペーン期間は搭乗日基準で2019年3月31日~6月30日
- 対象者はJAL側にキャンペーンへの参加が認められ、キャンペーンに関する案内を事前にキャンペーン登録を行った一部のJMB会員
- 対象の予約クラスはビジネスクラス(J、C、 D 、X)、エコノミークラス(Y、B、H、K、M、L 、V)などの一部のみ
- キャンペーンで追加されるFOPはボーナスFOPなどが加算される前のFOPを元に計算
といったものになっています。
こうして比べてみると、2倍獲得できるポイントがマイルとFOPという違いの他に、
キャンペーン期間
- マイル2倍:5月31日まで
- FOP2倍:6月30日まで
対象者
- マイル2倍:すべてのJMB会員
- FOP2倍:JAL側に参加が認められた一部のJMB会員
予約クラス
- マイル2倍:エコノミークラスの予約クラスSも含む
- FOP2倍:エコノミークラスの予約クラスSは含まない
といった細かな違いもあるため、活用する場合にうっかりミスのリスクがあるキャンペーンと言えるかもしれません。
途中からのテコ入れで格段に利用しやすくなったダブルFOPキャンペーン
この2つのキャンペーンのうち、ダブルFOPキャンペーンでは、キャンペーン期間内のテコ入れが行われました。
実際、開始直後のキャンペーン内容では、対象の予約クラスが
- ビジネスクラス(J、C、 D 、X)
- エコノミークラス(Y、B、H、K)
という形で制限され、より安価な利用が可能なエコノミークラスのM、L 、Vといった予約は対象外になっていた一方で、テコ入れが行われた今現在は、
- ビジネスクラス(J、C、 D 、X)
- エコノミークラス(Y、B、H、K、M、L 、V)
というようにエコノミークラスのM、L 、Vも含めた、幅広い予約クラスがキャンペーンの対象になりました。
また、JMB会員なら誰でも参加可能なダブルマイルキャンペーンとは異なり、JAL側にキャンペーンへの参加が認められる必要のあるダブルFOPキャンペーンでは、これまたテコ入れの一貫なのか、それまでより格段に多くの会員をキャンペーンの参加対象者として認めることになったのも嬉しいポイント。
実際、私の家族や友人、知人の中には、上級会員でもないのはもちろん、そもそもJALをあまり有償で利用することがないにもかかわらず、なぜかダブルFOPキャンペーンの対象に選ばれているというケースも想像以上に多く見つかったほど。
そのため、JALホームページの「マイレージ」のタブを開いてみると、キャンペーン参加用の詳細ページへのリンクがいつの間にか表示されるようになっている可能性も十分ありますから、気になる方は念のためにチェックしてみるのは本当におすすめです。
ダブルマイルキャンペーンとダブルFOPキャンペーンで実際に加算されるポイント数
今回、ダブルマイルキャンペーンの対象になっている東京(成田)-シアトルのような長距離線の魅力といえば、それはやはり多くのマイルやFOPが獲得できること。
そこで具体的に、
- JMBダイヤモンド
- JGCプレミア&JMBサファイア
- JGC
- JAL普通カード会員
といったそれぞれ代表的な会員について、
- ダブルマイルキャンペーンの対象となる最も安価な予約クラスS(積算率50%)
- JALカードのツアープレミアム追加
という条件で、片道の距離マイルが4775マイルの東京-シアトル間を利用した場合の獲得できるマイル数の合計を計算してみた結果はというと、
JMBダイヤモンド:合計7879マイル
- フライトマイル2388マイル
- ツアープレミアム2387マイル
- JMBダイヤモンド ボーナスマイル3104マイル
JGCプレミア&JMBサファイア:合計7282マイル
- フライトマイル:2388マイル
- ツアープレミアム:2387マイル
- JGCプレミア&JMBサファイア ボーナスマイル:2507マイル
JGC:合計5611マイル
- フライトマイル:2388マイル
- ツアープレミアム:2387マイル
- JGC ボーナスマイル:836マイル
JAL普通カード会員:合計5014マイル
- フライトマイル:2388マイル
- ツアープレミアム:2387マイル
- JGC ボーナスマイル:239マイル
という、なかなか長距離線らしいマイルを獲得できることが分かります。
では、ダブルマイルキャンペーンでは、これらの獲得マイル数が単純に2倍となり、片道の利用でそれぞれ、
- JMBダイヤモンド:15758マイル
- JGCプレミア&JMBサファイア:14564マイル
- JGC:11222マイル
- JAL普通カード会員:10028マイル
といったなかなか夢のある分量のマイルが一度に獲得できる・・・わけではありません。
なぜなら、今回のダブルマイルキャンペーンで追加獲得できるマイル数は、ボーナスマイルなどが加算される前のフライトマイルを元に計算されるから。
つまり、距離マイルが4775マイルの東京-シアトル間の片道では、予約クラスごとに異なるマイル積算率によって、
- ビジネスクラス(J、C、 D 、X)の125%:5969マイル
- エコノミークラス(Y、B)の100%:4775マイル
- エコノミークラス(H、K、M)の70%:3343マイル
- エコノミークラス(L 、V、S)の50%:2388マイル
のマイルのみがダブルマイルキャンペーンのボーナスマイルとして加算。
もちろん、キャンペーンのおかげで、少なくとも2388マイル、最大で5969マイルも追加のボーナスマイルがもらえるのは嬉しいことですが、2倍のマイルという言葉から感じるよりもずっと控えめ印象の獲得マイル数になってしまいます。
こうしたがっかりなポイントは、ダブルマイルキャンペーンと同じように距離マイルと予約クラスの積算率で決まるフライトマイルを元にボーナス分のFOPが計算されるダブルFOPキャンペーンでも同様。
そのため、ダブルFOPキャンペーンでは、予約クラスごとに、
- ビジネスクラス(J、C、 D 、X)の125%:5969FOP
- エコノミークラス(Y、B)の100%:4775FOP
- エコノミークラス(H、K、M)の70%:3343FOP
- エコノミークラス(L 、V)の50%:2388FOP
というような追加のFOPが獲得できるということですね。
とはいえ、ダブルマイルキャンペーンもダブルFOPキャンペーンも対象となる予約クラスS以上を利用する限り、両方のキャンペーンの恩恵を受けられるというのは、今回の新規路線開設キャンペーンの嬉しいメリットなのは間違いありません。
ダブルマイルもダブルFOPも獲得できない予約クラスQは要注意な落とし穴
今回のようなダブルマイルキャンペーンやダブルFOPキャンペーンを利用する時の落とし穴として、警戒しておきたいのが予約クラスQのような安価なことと引き換えに制限が多く設定された運賃での予約です。
というのも、予約クラスQは、マイルやFOPの加算が同じエコノミークラスで50%の積算率の予約クラスL、V、Sよりもさらに低い30%の設定になっているだけではなく、ツアープレミアムなどのボーナスマイルや様々なキャンペーンの対象から除外されている運賃だから。
もちろん、今回のダブルマイルキャンペーンとダブルFOPキャンペーンでも対象外の予約クラスとして設定され、せっかくのマイル2倍とFOP2倍の恩恵を受けることができません。
ダブルマイルキャンペーンは対象になる一方、ダブルFOPキャンペーンは対象外の予約クラスSでも、これと同じようなことが言えそうですね。
予約クラスQと予約クラスSをあらかじめ回避するための予約方法
こうして航空券としての最安値ではなく、お得なキャンペーンへの参加を優先する場合、悩むことになるのが、希望する予約クラスの航空券を直接予約する方法。
確かに、予約クラスQの場合、JALホームページ上でも、Economy Special Saverという名称で、予約クラスS、V、L、MのEconomy Saverとは全く別の運賃として設定されているため、それを回避して予約手続きを進めるのはとても容易なことです。
しかし、問題になるのは予約クラスSを回避した予約。
なぜなら、JALホームページ上では、予約クラスがSでも、Vでも、Lでも、Mでも同じEconomy Saverという運賃として設定され、しかも、Vが予約できるのはより安価なSが売り切れた後のみだから。
予約クラスSが売り切れる前に予約クラスVを予約する方法としては、JALホームページでの予約手続きは諦め、JAL国際線の予約デスクに電話し、予約クラスVを指定した上で予約を申し込むのが一番。
こうした方法は、安価なエコノミークラスの購入だけではなく、エコノミークラスの中でも、アップグレード可能な予約クラスを指定して予約したり、ビジネスクラスの中でも発券後の制限が厳しいことと引き換えにリーズナブルな金額の予約を作成する時などにも活用できます。
また、その際、航空券取扱手数料(電話発券手数料)として、5,400円の手数料負担が航空券の合計金額とは別に必要になるのですが、この手数料については、JALへの支払いの一部または全部に航空券1冊に付き1枚以上のJAL旅行券を利用することで、ゼロ円へと無料免除も可能。
もちろん、JAL旅行券を利用する場合、JAL国際線チケットデスク(〒140-8645 東京都品川区東品川2-4-11 野村不動産天王洲ビル18F)へ、JAL旅行券の現物を送料利用者負担で送付する必要があるのですが、その費用は数百円ほどですから、リーズナブルでキャンペーン対象の予約クラスの航空券を狙い通りに予約するための必要経費としては、十分にお得だと感じています。
まとめ
新規路線の開設と合わせて実施されるダブルマイルキャンペーンやダブルFOPキャンペーン。
特に、予約状況とそれに伴う搭乗率予想があまり良好ではない場合には、テコ入れとしてキャンペーンの強化や利用条件の緩和が行われるあたりに、新路線開設という状況が特別なことが感じられます。
一方で、実際にキャンペーンを活用する場面では、特にエコノミークラスを中心に予約クラスの制限などもありますから、うっかりミスへの用心が必要なのは間違いありませんね。
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