15,000年前から2300年頃まで続いたとされる縄文時代。
その頃の遺跡の中でも特別な価値のあるものとされているのが青森県にある三内丸山遺跡で、今から5,000年ほど前に栄えたとされる集落の跡です。
そんな三内丸山遺跡には、10月の3連休を利用した青森旅行の目的地の1つとして訪れることにしました。
一年近く前に予約していたブリティッシュエアウェイズでのJAL国内線特典航空券を利用しての訪問でしたが、同じように9月の連休に計画していた札幌行きは台風の直撃で無念のキャンセルになったため、今回の青森行きはそのリベンジとしても楽しみにしていた旅行の1つです。
目次
三内丸山遺跡へのアクセス
三内丸山遺跡は青森県の県庁所在地、青森市の中心部から直線距離で約4kmほど離れた山間部にあります。
ただ、国の特別史跡に指定されているためか、整備や遺跡活用に十分な予算と熱意が供給され続けているようで、市の中心部のJR青森駅前はもちろん、新幹線が乗り入れる新青森駅からのシャトルバスや市営バスが高頻度で運行されているため、アクセスには困りません。
一方で、青森の空の玄関口となる青森空港から直接シャトルバスは利用できないものの、遺跡周辺には無料で利用できる駐車場が潤沢に用意されていますから、レンタカーなど自動車でのアクセスも安心です。
我が家では、青森市にある三内丸山遺跡だけではなく、近隣にあたる弘前市の藤田記念庭園、五所川原市の立佞武多の館など、あちこち自由に楽しむために青森空港からレンタカーを利用したのですが、秋の青森路をゆったりドライブできたのも好印象でした。
ただし、秋以降の冬の時期には、青森空港からの道路はもちろん、三内丸山遺跡周辺もアップダウンが多く、雪道での運転はかなりの困難が予想されますから、安全重視でシャトルバスなどの公共交通機関の活用が安心かもしれません。
三内丸山遺跡の入場料金
三内丸山遺跡は屋外に点在する遺跡部分とミュージアム機能を備えた建物部分の2つで構成されています。
上の写真は、建物部分の縄文時遊館の正面玄関を撮影したものですが、奥まで続くかなり大きな建物でした。
この三内丸山遺跡を訪れて最初に驚くことになったのは、入場料金が完全に無料という事実。
肝心の遺跡部分はもちろん、ちょっとした博物館よりもしっかりと充実した展示物を並ぶ縄文時遊館すら無料で楽しめることには本当にびっくりしました。
入り口を中に入った吹き抜けのあるエントランスホールにも、総合案内があるだけで、チケットカウンターなどはありません。
充実した無料の見学サポートサービス
無料での入場が可能にも関わらず、遺跡見学のためのサポートは充実しています。
まずは雨天時見学用のしっかりとした作りの傘。
コインが戻ってくるタイプの無料コインロッカー。
十分な数と大きさのものが用意されているのはもちろん、ロッカー室の中心にはちょっとしたテーブルも用意され、荷物の入れ替えなどの整理も快適。
また、スーツケースなどのロッカーに入らない大きさのものも、総合案内でこれまた無料で預かってくれるため、荷物の心配をせずにお手軽に遺跡見学を楽しめるのも嬉しいですね。
この手のちょっとした気遣いは建物内のいろんなところで見られました。
そんな無料サービスの中でも面白いと感じたのは長靴(スノーブーツ)の貸出。
雨で地面がぬかるんでいる時はもちろん、雪が降る冬の時期に遺跡を見学する時にも活躍してくれる重要アイテムかもしれませんね。
利用しないのはもったいない無料の遺跡案内ツアー
さらに、最も重要な無料サービスとして見逃せないのが、約1時間毎に開催される専門のガイドによる無料の遺跡案内ツアー。
1時間にも及ぶツアーだけあって、内容がとても充実している実力派。
逆に、せっかく三内丸山遺跡に来たのであれば、遺跡案内ツアーを楽しまないのはとても損だとすら感じる品質でした。
実際、自分たちだけで遺跡を歩いたのであれば、絶対に気づけないことや考えなかったことも見逃さずに済みますから。
しかも、遺跡案内ツアーに参加する場合でも、事前の申込みや追加料金の負担は不要で、開始予定時刻に、エントランスホールや遺跡入口などの集合場所で待っているだけのお手軽さも嬉しいですね。
縄文時遊館から遺跡へ
館内は木材を要所要所に多用した温かで優しい作りになっていて、遺跡入口まで続く回廊を進んでいきます。
遺跡内にもトイレは用意されていますが、遺跡内は広く、必ずしもアクセスの良好な中心部付近に用意されているわけではないので、遺跡入口に向かう途中のトイレを利用しておくのがおすすめかもしれません。
そのまま進んでいくと、左手に遺跡の復元予想模型が展示されているホールが見えてきます。
そのホールの先には遺跡へのアクセスを行うためのトンネル。
トンネルの壁面や床には、三内丸山遺跡で発掘された土器や土偶をデザインに利用したタイルが埋め込まれていて、気分を盛り上げてくれます。
トンネルを抜けるとそこは三内丸山遺跡。
大小様々な展示用のドームと復元された住居跡。
そしてこの遺跡を特別なものとして位置づける最も特長的な六本柱建物跡や大型竪穴式住居跡が復元されたものも遠くから確認できるはず。
ゆったりと展示物が点在する三内丸山遺跡の魅力
こうした三内丸山遺跡の風景を最初に見て関心したのは、それぞれの展示物がとてもゆったりと配置されていること。
遊歩道と芝生で整備された遺跡群をゆったりと歩きながら見て回るのは、1つの遺跡を見るたびに程よいインターバルが確保されるため、次々と目の前に表れる展示物や遺跡を前に消化不良になりにくく、とても快適でした。
また、ガイドによる解説も遺跡案内ツアーの参加者の年齢や理解に合わせて臨機応変に切り替えているようで、じっくり理解を積み重ねられたのも良かったです。
そうしたゆったり感は、目玉の1つといえる六本柱建物跡も同様。
実物の柱を埋まっている状態のままで保管するために、湿度などが一定に保たれたドーム状のパビリオン。
その中は、「シュコー・・・、シュコー・・・」というどこかSF映画の世界で聞いたような音が聞こえる不思議な空間で、5,000年前の建造物の痕跡を風化させずに維持し続けるための努力やその難しさを実感するためには十分でした。
そのパビリオンの隣には、縄文時代当時の技術を元に復元した実物大の建物。
あまりの大きさと存在感に驚くしかないのですが、クレーンもトラックもない時代によくぞこんな大きさのものを作り上げたと感心するしかありません。
貝塚や盛土と呼ばれる土器などが集積していたエリアも見やすい形で別のパビリオンに展示されています。
特に、それが層状に並んでいる様子が分かる地層タイプの展示が行なわれているパビリオンは圧巻。
土から一部だけ顔を出しているの1つ1つの土器にはじっくり眺めたくなる不思議な魅力がありました。
さらに、遺跡で発掘された縄文時代の遺物を元に、多くの住居も復元され、当時の生活の様子を具体的に知るにはとても良い機会。
特に、当時の住居が、
- 茅葺き
- 樹皮葺き(木の皮を利用)
- 土葺き
のいずれかで構成されていたことはとても興味深く、貧富の差が生まれたとされる弥生時代を前に、縄文時代の終わりにはすでにそうした差が生まれ始めていたのかもしれないと考えると、縄文時代へのイメージが大きく変わっていくような実感もありました。
遺跡見学の後に楽しみたい縄文時遊館の設備
そうして遺跡見学を終えた後に時間を確保して楽しみたいのが、縄文時遊館内の設備です。
遺跡をより詳しく解説したミュージアム機能を持つ、さんまるミュージアム。
縄文に関するクラフト体験を楽しめる専用コーナー。
青森県の郷土料理や縄文時代の食べ物をアレンジした料理を楽しめるレストラン。
リンゴジュースのみ明らかに別次元の充実度を誇る青森県のお土産が販売されている売店コーナー。
地元で取れたりんごも冷蔵された状態で販売されていました。
まとめ
国の特別史跡に指定されているだけあって、遺跡としての規模や質、そして充実した設備など、子供はもちろん、大人でも十分楽しめる内容を誇る三内丸山遺跡。
特に、そうした充実した内容をお手軽に無料で楽しめるのはもちろん、ゆったりとした敷地とそれを活かした展示配置によって、自然な形で時間的に遠く遠く離れた縄文時代に思いを馳せることができるのは、なかなか重要なチャンスと言えるはず。
確かに三内丸山遺跡は、分かりやすい華やかさや面白さといったものを期待するタイプの目的地とはいえません。
しかし、普段の生活を続けるだけでは絶対に交わることのない縄文時代を一度身近に感じることができる点で、唯一無二に近い魅力を持ち合わせているのも事実。
もし、歴史に興味を感じるのであれば一度訪れて見る価値は十二分にあると思いますよ。
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