パリを訪れた時には必ず宿泊するお気に入りのホテル、インターコンチネンタル パリ ル グラン。
このホテルは、ルーブル美術館などの中心とした主要目的地から十分徒歩圏のオペラ通りに面し、メトロのオペラ駅のまさに目の前にある立地の良さ、シャルル・ド・ゴール空港から直行するロワシーバスによるアクセスの良さに加え、開業から150年以上を誇る歴史的建造物の持つ優雅さ、洗練されたホテルスタッフによるサービスなど、ついついリピートしたくなる魅力がたっぷり。
目次
クラブラウンジで気楽に楽しむグルメの国の実力
そんな魅力の中でも忘れてはいけないのは食事のおいしさです。
特に、ホテル内のレストランはもちろん、クラブラウンジもその品質はとても良好。
朝食、アフタヌーンティー、ディナーのそれぞれの時間ごとにラウンジで提供されている特色あるメニューからは、グルメの国としてのフランスの実力を手軽に楽しめるため、ル グランに滞在する時は必ずクラブラウンジへのアクセスを追加しているほど。
クラブラウンジの閉鎖と代替サービス
そんなラウンジサービスに異変が生じたのが2017年7月末の滞在。
7月24日から8月3日までの期間限定でル グランのクラブラウンジが完全に閉鎖され、そこで提供されていたサービスのすべてが中止されるとのこと。
実際、クラブラウンジのある5階(日本式の数え方では6階)を訪れてみると、上の写真のようなフランス語と英語が併記された案内が設置され、ラウンジへ通じるドアは固く閉ざされていました。
ここで気になるのは、このクラブランジ閉鎖で元々ラウンジアクセスを追加していた宿泊者はどのような対応を受けることになるのかということ。
結果的には、
- 朝食の代替サービスとして、通常有料のカフェ・ド・ラペでのフルブレックファスト(7時から10時30分)を提供
- アフタヌーンティーやディナーの代替サービスとして、カフェ・ド・ラペ営業中(11時から23時)に全メニューを自由にフリーオーダーできるインビテーションカードを提供
という、カフェ・ド・ラペをフル活用した代替サービスの提供がチェックイン時にレセプションの担当者から伝えられました。
その説明の後に手渡されたのが人数分×宿泊日数分のカフェ・ド・ラペの朝食券。
そして、2枚のカフェ・ド・ラペのインビテーションカード。
最悪のケースとして、ラウンジアクセス分の差額のみの返金も覚悟していただけに、この対応には一安心。
ラウンジ代替サービスの価値
さて、この2つのラウンジ代替サービスは通常時のラウンジサービスに比べ、お得だったのか、それとも損だったのか。
ル グランでの滞在を終えた今、冷静に振り返ってみると、信じられないくらいお得で幸運な代替サービスだったと考えています。
まず、カフェ・ド・ラペの朝食でさえ、通常は大人1人税・サービス料込みで45ユーロ。
さらに、カフェ・ド・ラペ営業中にフリーオーダーできるメニューというのが凄まじいものでした。
それらのページをいくつかリストアップしてみたのが下の写真。
サラダ(20ユーロ~25ユーロ)、サンドイッチ(19ユーロ~29ユーロ)
アペタイザー(18ユーロ~230ユーロ)、メインディッシュ(25ユーロ~)
チーズ(18ユーロ)、各種スイーツ(14ユーロ)
コース料理(39ユーロ~)
アイスクリームカップ(14ユーロ)、各種カクテル(22ユーロ~)
各種ワイン(14ユーロ~540ユーロ)
各種ハードリカー(17ユーロ~)
各種食前酒・ビール(9ユーロ~16ユーロ)
ミネラルウォーター(5ユーロ~10ユーロ)、各種ソフトドリンク(8ユーロ~15ユーロ)
確かにクラブラウンジで期待するサービスはカバーされているものの、提供されている内容は完全にそれ以上。
特に、アルコールやコース料理の中には100ユーロを当たり前のように超えるかなり高額なものも当然のようにラインナップされていて、それらをオーダーしてしまうとあっという間に宿泊料金すらオーバーしてしまいます。
しかも、チェックイン時に手渡される2枚のインビテーションカードは使った後にレセプションを訪れると何度でも無料で補充されるため、カフェ・ド・ラペの利用回数に制限はありません。
これにはさすがに不安を感じて、チェックイン時と実際にカフェ・ド・ラペを利用する前の2回、別々の担当者にインビテーションカードの制限を尋ねてみました。
しかし、いずれの担当者もメニューに書いているものならなんでもOKで、安心してどんどん利用して欲しいとのこと。
つまり、11時から23時までのいつでも好きな時にカフェ・ド・ラペでの飲食を楽しめるということに。
これは、ラウンジでのサービスが、
- 朝食:7時30分から11時
- アフタヌーンティー:15時30分から18時
- ディナー:18時30分から21時
という風に時間帯でしっかりと区切られていたことから考えると、信じられないくらい自由度が高くなっています。
実際、アフタヌーンティー以外の時間でもカフェ・ド・ラペさえ営業しているのなら、自由に飲み物と一緒に名物のおいしいスイーツが楽しめるなど、活用の幅は格段に広がるわけですから。
さらに、アルコールが好きな人なら昼間からのんびり高級なシャンパンのグラスを傾けながらゆったりとパリでの非日常を楽しむなんてこともできたはずです。
屋内テラスエリア、レストランエリア、バーエリア
このインビテーションカードが利用できる場所も自由度が高くなっていました。
まずは、ガラス張りの天井が美しい屋内のテラスエリア。
フランス第2帝政時代を思わせる落ち着いたインテリアが特長のレストランエリア。
最も奥に面していて、落ち着いた雰囲気のバーエリアも営業中で開放されているタイミングなら、自由に席を用意してもらえます。
この中では屋内テラスエリアの開放感と雰囲気の良さが素晴らしく、ちょっとした水分補給休憩やアフタヌーンティー、夕食など、様々なタイミングで好んで利用したお気に入りの場所です。
カフェ・ド・ラペでの朝食
朝7時からのカフェ・ド・ラペでの朝食はレストランエリアのみで提供されています。
まず、待ち構えるのは、ホテルで食べられるパンの中では別格のおいしさを感じるパン類。
特に、クロワッサンとパン・オ・ショコラはサイズが大きいものの、バターの風味と旨味、口に含んだ時の食感のバランスのすべてが高次元で両立していて、「やっぱりフランスはすごいなー・・・」という当たり前すぎる感想しか口にできないほど。
ハムやサラミ、チーズ、ヨーグルトなどのコールドミールも種類こそ多くはないものの、いずれも品質は高く、少しずつ試したくなるおいしさがあります。
特に、コールドミールの中でも見事なのはスモークサーモン。
バラの花をイメージした盛り付けだけではなく、その味わいや風味にもこだわりが感じられるおすすめの一品。
ホットミールはエッグステーションを中心に、スクランブルエッグ、ベーコン、ソーセージ、焼きトマト、マッシュルーム炒めなどオーソドックスなもの。
その中でも、ル グラン特製ソーセージは素朴なおいしさながら、香草の使い方など細かな部分でのかなりのこだわりを感じる一品で、これまたフランスの底力を感じるには十分。
その他には、野菜と肉の柔らか煮込みシチューが想像を絶する人気を集め、鍋の中の量が少なくなる度にどんどん追加されていました。
フルーツやサラダも潤沢に用意されているのは食物繊維が不足しがちな海外の旅行先では嬉しいポイント。
特に、メロンなど、一部のフルーツは甘みの面で一種の完成の域にたどり着いている日本製を基準にしても十分美味しいと感じられるものも用意されていて、朝食はおいしいフルーツだけをたっぷりという方の要求にもかなりの部分で応えられるラインナップだと感じました。
もちろん、最近の健康志向を意識したシリアルやミューズリーも品質の良いものを中心にしっかり完備。
そうした健康志向の延長なのか、飲み物コーナーにはフルーツスムージーも。
季節の果物を贅沢に使ったフルーツフレーバーウォーターもその飲みやすさとおいしさからか、人気を集めていました。
そうした健康志向から完全に外れてしまい、少しだけ恥ずかしいのですが、ル グランでの朝食で私のお気に入りといえば、ホットチョコレート。
チョコレートとそこに合わせるミルクもおいしいものが用意されているためか、満足度が異常に高く、食後のひとときにこれまたおいしいカヌレと合わせて楽しむため、忘れずに注文したい一品になっています。
カフェ・ド・ラペのフリーオーダー
カフェ・ド・ラペのフリーオーダーではちょくちょく訪れては、いろんなものを楽しんだのですが、時間帯によっては、カメラを取り出して撮影することができるような雰囲気ではなく、写真に残っているのは、限られたものだけ。
その中でも多く残っているのは、比較的写真の取りやすい時間帯に楽しんだスイーツ類。
カフェ・ド・ラペのスイーツといえば外せないのは名物のミルフィーユ。
一見パリッとした食感を思わせる生地とそこにサンドされたなめらかなクリームの組み合わせは絶妙で、口にすると溶け合ってしまうと感じるほど。
また、高級&高品質なチョコレートの魅力を余すことなくしっかりと活かしきっているオペラも絶品。
私が最も好きな種類のスイーツだけあって、こんなのを無料でオーダーしてしまっていいのかと罪悪感のようなものを一番感じたのはこのオペラを食べたときでした。
意外に、日本に帰国してから一番恋しく感じ、もう一度食べたいと思っているのが、このピスタチオ&ストロベリーのケーキ。
大胆すぎるピスタチオのディスプレイながら、ストロベリーの酸味とこれ以上ないくらいにマッチする食感と風味にびっくりしながらも、まっとうに・・・というか限りなく真剣に計算され尽くしたおいしさにそのまま魅了される方も多いはず。
確かに華やかさはないものの、安定感のおいしさをしっかり楽しめるオーソドックスなエクレアも、食べやすさや控えめなボリューム感もあって、手軽に試せる一品。
また、夏の暑い時期らしく、フルーツパフェも多くのテーブルを華やかに彩っていました。
特に、中心部にトッピングされた各種フルーツジェラートはフルーツのおいしさをそのまま味わえるジュースを思わせるシャーベットに近い高品質な仕上がりで気に入りました。
続いてコースで提供された料理の写真をいくつか。
最初に提供される軽めの日替わり前菜。
カフェ・ド・ラペのシグニチャーメニューの1つ、オニオングラタンスープ。
日替わりスープとして人気を集めていた夏野菜の冷製グリーンスープと付け合せ。
メインの定番メニューの1つ、ブラックアンガス牛のステーキ。
これ以外のメニューもどれもがおいしく、コースメニューはもちろん、昼食や夕食に合わせる形でお気に入りの料理をアラカルト的に組み合わせて、存分に楽しめました。
まとめ
クラブラウンジの閉鎖が原因の今回の対応では、
- ラウンジよりも長い利用可能時間
- ラウンジよりも高いメニュー選択の自由度
- ラウンジよりも高級&高品質なメニューの提供
など、宿泊者が想像している以上に手厚く満足の行く代替サービスの提供が実施されました。
しかも、歴史と由緒のあるレストランでフリーオーダーで食事やサービスを楽しめるという幸運はなかなか出会えるものではなく、そうした形でカフェ・ド・ラペでの時間を自由にのんびりと過ごせたのはなかなか忘れられないパリでの貴重な思い出です。
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