旅行者自身が航空券などの予約・発券やホテルなどの宿泊予約の手配を行う個人旅行では、旅行会社が計画し、利用者を募集した上で催行するツアーと比べて、一般的にお得度や自由度が高くなりやすいというメリットがあります。
それは日本国内を楽しむ国内旅行でも、海外を楽しむ海外旅行でも大きく変わることはありません。
実際、我が家の場合も、好きな場所に好きなタイミングで好きなだけ滞在できるという個人旅行の特長に魅了されていることもあって、国内でも海外でも個人旅行で楽しんでいます。
目次
外貨での請求が行われる海外発の航空券
そうして個人旅行で海外を楽しむ場合、時々遭遇することになるのが、外貨での購入が必要な海外発の航空券。
この海外発の航空券というのは、具体的に、
- ソウル-東京
- シンガポール-東京
- 香港-東京
- ロンドン-東京
- パリ-東京
- ニューヨーク-東京
というように、出発地が日本以外になっている航空券のことで、購入時の決済に採用される通貨は出発国で利用されている、現地通貨(Local currency)が選択されるのが一般的なルールになっています。
そのため、前述の具体例の場合、
- ソウル-東京:韓国ウォン(KRW)
- シンガポール-東京:シンガポールドル(SGD)
- 香港-東京:香港ドル(HKD)
- ロンドン-東京:イギリスポンド(GBP)
- パリ-東京:ユーロ(EUR)
- ニューヨーク-東京:(USD)
というように、目的地がすべて日本の東京だとしても、出発地が異なるのなら決済時の通貨も全く異なってしまうのは少しだけ注意が必要です。
もちろん、日本を出国し、日本に帰国するまでの航空券を
- 東京 → ロンドン → 東京
というようにすべての旅程を一括で予約・発券できた場合は全く無縁の存在と言えるのですが、
- 東京 → ロンドン / パリ → 東京
- ロンドン → パリ
というように、別々に予約・発券した航空券を一緒に組み合わせて利用する場合などで、お世話になる方もいらっしゃるはずです。
特に、飛行機を利用した旅行が安価で身近な存在となっているエリア間の移動ほど、様々なリスクに気をつける必要はあるものの、上手に活用できた時の旨味は十分という特長がありますから。
ちなみに、航空会社によっては、出発地で利用されている現地通貨以外にも、日本円も含めた利用者の希望する通貨で決済が行えるサービスが提供されていることもあるのですが、その場合、そのまま現地通貨でクレジットカード決済した時の為替レートよりも割高な、航空会社やカード会社による手数料を上乗せされた金額が請求されることもあるため、基本的には現地通貨で決済を行うのがおすすめです。
外貨で請求される航空券のキャンセルで発生するクレジットカードトラブル
こうして現地通貨での決済を行うことになる海外発の航空券ですが、ちょっとしたトラブルに巻き込まれるリスクがあります。
そのリスクというのは、クレジットカードで海外通貨決済を行い、予約・発券まで完了した航空券を手数料無料でキャンセルした場合、
- クレジットカード利用分として請求される金額
- キャンセル分として返金される金額
に差額が生じる可能性があるというもの。
こうした差額が生じる理由については、
- クレジットカード利用時の外国為替レート
- キャンセル手続き時の外国為替レート
の間に違いが存在することが理由なのですが、少しシンプルな具体例として、1,000USドルの航空券を1USドル=110円の時に購入し、その分の引き落としもすでに完了した2ヶ月後の1USドル=100円になった時にキャンセルを行う場合を考えると、
- 購入時(1USドル=110円):1,000USドル×110円=110,000円
- キャンセル時(1USドル=100円):1,000USドル×100円=100,000円
というようになるため、すでに銀行口座から引き落とされた110,000円のうち、100,000円しか返金されず、残りの10,000円は返金されない差額ということになってしまいます。
もちろん、このケースは日本円とUSドルの外国為替レートが10円も変動するかなり極端な条件を元にしたものですが、これほどダイナミックではないとしても、外国為替レートは絶えず変化している以上、金額の多い少ないはあったとしても、引き落とし金額と返金金額に差額が発生した結果、損をしてしまっているというトラブルに遭遇している可能性は考えられるのも事実です。
外貨建航空券キャンセル時の返金で発生する要注意ポイント
実際に日本円以外の外貨で請求された海外発の航空券を手数料無料でキャンセルした場合、少し特殊なことが発生するため、クレジットカードの利用明細を確認する時に注意しなくてはいけないポイントが存在しています。
まず、その1つが利用内容の分割の発生です。
上の画像のクレジットカード利用明細は、2019年12月8日に大韓航空の航空券2名分(2冊)を現地通貨の韓国ウォン建てで購入したもの。
それに対し、上の画像の利用明細は、前述の2019年12月8日に購入した航空券を2019年12月18日に手数料無料でキャンセルしたものですが、1つの明細にまとめられていた購入時とは異なり、利用者1名分毎(1冊毎)に分けられてしまっています。
もちろん、日本円に計算される前の韓国ウォンでの請求金額は、購入時の1つにまとめられていた現地通貨での金額も、2つに分けられたものを足し合わせた現地通貨での合計金額も全く同じですが、元々1つだったものが2つに分割されることで明細として表示される金額も変化するため、
- どのタイミングの利用分だったり、返金分だったのか
- 外国為替レートによる差額が発生したのか、発生しなかったのか
などが一見分かりにくくなるのは要注意ですね。
また、キャンセルに伴う返金としてクレジットカードの明細に表示される日付が、利用する航空会社によって、
- キャンセルなどの手続きを行った日付に変化する
- 最初の利用日のまま変わらず表示される
といった2つのパターンが存在することも、明細の内容を簡単に確認することが妨げられるという意味では気をつけたいポイントです。
実際、大韓航空を元にした上の具体例では、
- 購入:2019年12月8日
- 返金:2019年12月18日
というように、日付が変化していますから、キャンセルなどの手続きを行う度に利用日とは異なる日付が表示されるパターンということが分かります。
しかし、キャンセルなどの手続きを行ったとしても、最初から最後まで元々の利用日のまま変わらないケースが存在することも、事態を少し複雑にしています。
その具体例と言えるのがキャセイパシフィック航空。
上の画像は、1月16日~2月15日までの利用分が3月10日頃に銀行口座から引き落とされる締日が採用されているクレジットカードの利用明細の一部。
その中で、キャセイパシフィック航空の利用分の明細の前後が同じ締日の期間に含まれる2月15日と2月14日の明細ですから、同じ請求月の明細として特に不自然な点はないということが分かるはずです。
その一方で、上の画像では、キャセイパシフィック航空のキャンセルに伴う返金分として1月20日の日付が表示されているのは変わらないものの、その前後の明細は3月15日と2月18日という本来は2月16日から3月15日の締日の期間に含まれるものですから、これらの明細と一緒に1月20日の利用分が掲載されているのは不自然な状況です。
つまり、キャセイパシフィック航空のキャンセルを行った場合、クレジットカードの明細上で元々の利用日から変化することはなく、最初の利用日のままで、返金が行われるということですね。
ちなみに、このキャセイパシフィック航空のキャンセルでも、大韓航空と同様、購入時には2名分が1つの明細にまとめられていたものが、返金時には1名ごとで2つの明細に分けられていますから、航空券のキャンセルに伴う返金では、複数名一緒の予約だとしても、返金では1名ずつに分けた状態での手続きが基本ということかもしれません。
クレジットカードのキャンセルでの損失を返金してもらう時の具体的な手続き
このようにクレジットカードの利用明細をチェックする上で、
- 複数名が一緒の利用分から1名ずつの利用分への分割
- 利用日とキャンセル日の日付の変化の有無
などの注意点は存在するものの、返金金額が引き落とし金額より少ないことの確認さえ完了したのなら、実際の手続きは簡単でスムーズなものです。
というのも、クレジットカードの裏面などに記載されているクレジットカード会社の問い合わせ窓口に電話し、担当のオペレーターにこうした事情やトラブルの内容を伝えるだけで、必要な手続きはすべてクレジットカード会社の方で行ってくれるから。
すると、多くの場合、数日でクレジットカード明細上に差額を補填するための金額が返金という形で反映され、締日を経た次の引き落とし日までには、実質的な返金は完了します。
実際、前述のキャセイパシフィック航空のキャンセルに伴う返金での差額調整では、
- 4月1日:クレジットカード会社の問い合わせ窓口に電話
- 4月5日:クレジットカード会社側での差額調整手続きが完了し、利用明細上にも反映
- 4月15日:5月10日引き落とし分の締日
- 5月10日:差額調整として返金が完了
という流れになっていました。
ただ、利用しているクレジットカードによっては、
- クレジットカードのサービスや問い合わせを担当するカードデスク
- 旅行など予約や商品などの購入、各種情報の提供などのサービスを提供するコンシェルジュデスク
というように、異なる電話での問い合わせ窓口が用意されていることもあるのですが、今回のケースでは、基本的にコンシェルジュデスクではなくカードデスクの方に問い合わせを行う必要があるのは少しだけ注意が必要です。
また、問い合わせ電話では、
- キャンセルに伴う返金で引き落とし金額よりも少ない金額しか返金されないトラブルに遭遇していること
- 元々の利用内容と利用日、利用分が引き落としされた引き落とし月
- キャンセルを行った内容と日付、返金が行われた引き落とし月
- 引き落とし金額と返金金額の差額
- 航空会社でのキャンセル手続き時には返金金額に差額発生する可能性の案内はなかったこと
の5点の情報が必要になりますから、これらの5点についてはスムーズに伝えられるように、あらかじめ利用者側でメモなどの準備をしておくのがおすすめだと考えています。
特に、この5つの中でも気になると思われる、
- 元々の利用内容と利用日、利用分が引き落としされた引き落とし月
- キャンセルを行った内容と日付、返金が行われた引き落とし月
について、前述の大韓航空でのキャンセルを具体例にすると、
- 2019年12月8日に購入手続きを行い、2020年1月に〇〇円の引き落としが行われた大韓航空利用分
- 2019年12月18日にキャンセル手続きを行い、2020年2月に△△円の返金が行われた大韓航空
というような形で情報提供できるように準備しておくと安心できるはず。
また、最後の5点目となる「航空会社でのキャンセル手続き時には返金金額に差額発生する可能性の案内」については、これをあらかじめ問い合わせ時に伝えることでクレジットカード会社側の手続きが格段にスムーズになると感じているため、忘れずに付け加えるようにしています。
キャンセル時の差額分の返金をクレジットカード会社にお願いする時の注意点
こうした形で、引き落とし金額と返金金額との差額に対し、クレジットカード会社に返金を希望する場合、どういったクレジットカード会社が差額の調整を行ってくれるのか、気になるかもしれません。
これについては、私自身がこれまでに、
- JALカード(DCカード)
- MUFGプラチナアメックス(MUFGカード)
- 三井住友VISAカード プラチナ(三井住友カード)
について、実際に電話での問い合わせを行った上で返金手続きをお願いした経験があるのですが、いずれのクレジットカードでも快くスムーズな対応をしてもらえました。
また、そうしたこれまでの経験から、今後仮に他のクレジットカード会社が発行するクレジットカードで同様の返金に伴う差額で損失が発生してしまった時には、とりあえず他のクレジットカード会社では問題なく対応してくれたことを伝えた上で事情を説明し、対応をお願いするはずです。
ただし、クレジットカード会社によっては、返金を担当する部署が24時間営業していないことも多く、9:00~17:00のように限られた営業時間内に電話での問い合わせを行う必要があるなど、ちょっとした手間や工夫を要することもありますから、差額がそれらに見合うかどうかを考える必要もあるはずです。
実際に我が家でも、差額による損失が確認できたとしても、その金額があまりに少ないと感じた時は、仕方ないことと考えて諦める一方で、キャンセルを行った元々の購入金額が高額で、しかもキャンセル手続きを行った時の外国為替レートがあまりに急激にキャンセル利用者に不利な円高方向に動いてしまった結果、数万円から十数万円の差額による損害が生じてしまった時には、しっかり忘れずに回収するように気をつけています。
まとめ
日本円ではない外貨での決済が必要となる海外発の航空券。
その航空券をキャンセルした場合の返金では、例えキャンセル手数料が無料だとしても、購入時からキャンセル手続きまでの間に、現地通貨と日本円との間の外国為替レートに変化が生じた結果、引き落とし金額と返金金額の間に差額が生じ、利用者側が損をしてしまうリスクがあります。
しかし、この損失については、必要な情報をあらかじめ準備した上で、クレジットカードの問い合わせ窓口に電話するだけで、想像以上スムーズな解決を見込めるのは嬉しいポイントです。
特に、購入した航空券の金額や購入したタイミング、さらにはキャンセルをしたタイミングの組み合わせによっては、かなり大きな損失が気づかぬ内にこっそり発生してしまっている可能性もありますから、念のため注意し、不幸にも大きな差額な生じてしまった時には、手間を惜しまずにクレジットカード会社に問い合わせをしてみるのは本当に大切なことだと思いますよ。
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