JALが運航する国際線の中で、同じ空港に対して最も多くのフライトが用意されている目的地といえば、それはタイのバンコク。
そのバンコクの玄関口となるスワンナプーム国際空港には、
羽田空港:
- JL33(羽田発深夜便) 羽田00:40 → バンコク05:00
- JL31 (羽田発昼行便)羽田11:20 → バンコク15:40
成田空港:
- JL707(成田発夕方便)成田18:20 → バンコク23:00
中部空港:
- JL737(中部発昼行便)中部10:25 → バンコク14:15
関西空港:
- JL727(関西発深夜便)関西00:55 → バンコク04:40
というように、日本の主要国際空港からの様々なフライトが毎日運航されています。
これだけ多彩なフライトが運航されていると、
- 仕事が終わった後にそのまま空港に向かい、バンコク到着後はホテルのアーリーチェックイン活用前提で、現地での滞在時間をフル活用する目的での深夜便のJL33やJL727を利用
- 午前中の早い時間に日本を出発し、バンコク1日目はゆったりとしたホテルチェックインでスタートする目的でのJL31やJL737を利用
といった旅行の目的や予定ごとの使い分けも容易になります。
目次
成田発昼行便JL707を気に入っている理由
そんな日本からバンコクに向かうフライトの中では、他とは全く異なる時間帯に運航されているのが、成田空港を夕方18:20に出発し、バンコクには日付が変わる直前の23:00に到着するJL707。
一見、深夜便とも昼行便とも別物の、中途半端とも感じかねない時間に運航が行われているため、現地バンコクに到着した当日は深夜のホテルでチェックインした後、そのまま眠るだけの旅程になってしまうことは避けられず、なんだか損なフライトと感じてしまうかもしれません。
しかし、
- 他のフライトに利便性などで劣るためか、有償航空券は直前期まで比較的安い運賃設定が提示され、特典航空券も空席が残りやすい
- 他のフライトに比べ、ゆったりと空港でのラウンジサービスを楽しむことも可能
- 日本出発時間とバンコク到着時間の組み合わせの関係で、機内での寝不足や現地到着後の時差ぼけのリスクが回避しやすい
- 全体的にゆとりのある機内サービスが楽しめる傾向がある
- 利用する機材が機内の気圧や湿度などの快適性が高いボーイング787
という特長もあって、最も愛用する機会の多い羽田発の深夜便JL33に次いで、我が家がバンコクを訪れる時にちょくちょく好んで利用するフライトの1つになっています。
JL707の搭乗から成田空港からの離陸
JL707は成田空港の第2ターミナルのサテライトからの出発を基本とするフライトです。
搭乗開始予定時刻は出発時刻20分前の18:00。
実際には、お子様連れや車椅子を利用されている方など、特別なお手伝いを必要とする利用者を対象とした事前改札が18:00に開始され、それが完了した18:02に、JMBダイヤモンドやJGCプレミア、ワンワールドエメラルドなど向けの最優先搭乗が開始されました。
機内に向かうボーディングブリッジの窓から見えるのは、これから利用する機材、ボーイング787の姿。
飛行機に接続されているボーディングブリッジは1本のみで運命の分かれ道はないため、
- ビジネスクラス
- エコノミークラス
のいずれの利用者も同じ1つだけの入口から機内に入ります。
JL707のビジネスクラスシート
機内は羽田発で利用されるようなボーイング777のような大型機ではない中型機ですが、その差を特段感じることはないなど、スペース面でのゆとりは十分。
また、採用されているシート自体もビジネスクラス、エコノミークラス共に最新版ではなく、ビジネスクラスにおいては完全に水平までリクライニングできるフルフラットではない、ライフラット方式ということを残念に感じる方も多いかもしれません。
しかし、日本を夕方に出発し、現地バンコクに夜遅くに到着することを前提に、機内ではあえて睡眠を取るのではなく、起きて過ごすのであれば、座り心地にこだわりを感じる良好なシートという印象を強くしています。
そんなボーイング787を利用するJL707ビジネスクラスのお気に入りの席といえば、ビジネスクラス一列目に位置する
- 1A
- 1C
- 1D
- 1G
- 1H
- 1K
の6席。
というのも、これらの6席には、
- 機内食が最初に選択でき、その提供自体も早い
- 森伊蔵の提供時期にはより確実な確保が可能
- 足元のスペースが広く、仮に窓側利用時に隣の通路側利用者がリクライニングしながら就寝していてもなんとか起こすこと無く通路に出られる
といったメリットが有るため、可能であれば積極的に選びたい席です。
ただし、最も前方のコンパートメントの中でもさらに最前列ということで、
- 据え置きタイプのモニターが無く、離着陸時には利用不可
- ペットボトルホルダーなどの収納機能に一部制限がある
- 中央部の1Dと1Gは頭上の荷物入れが利用不可
といったデメリットはあるのは要注意。
特に、1Dと1Gの頭上には、長距離線運航時に交代用のパイロットが休息するためのベッドを備えた休憩室、クルーレストが用意されている関係で、荷物入れが利用不可になっているのは要注意です。
なぜなら、最前列の席を利用する場合、足元に荷物を置くことが制限されているため、元々数少なくなっている頭上の荷物入れのスペースを共有する必要があるから。
そのため、最前列の席を指定する場合には、優先搭乗などをしっかり利用して早めに機内に入るのがおすすめです。
JL707ビジネスクラスの離陸から機内サービス提供
JL707の出発準備が完了し、飛行機のドアが閉じられるドアクローズが行われたのが18:21。
飛行機が後ろ向きに動き出すプッシュバックが始まったのが定刻から6分経過した18:26。
そこからすぐに離陸するのかというとそうではなく、夕方の成田空港名物の長い長い誘導路移動と離陸許可待ちの時間が始まります。
結局離陸したのは18:53。
離陸までが長いと有名な成田空港とは言え、ドアクローズから離陸まで32分もの時間が経過していました。
巡航高度に到達し、シートベルトサインが消えたのが19:05。
機内食が提供されたのが19:35でした。
ちなみに、バンコク線も含め、日本を出発する中距離線では長距離線とほぼ同様の機内食が提供されるのは嬉しいポイント。
特に、深夜便を除き、日本発の中長距離線で和食を選択した時に味わえる、「くろぎ」のシェフ監修によるお膳形式の前菜は、鮪のお造りなど、いずれもよく考えられた一品が提供されることが多く、ビジネスクラス利用時の大切な楽しみです。
ちなみに、長距離線と中距離線の違いとしては、長距離線の方が、上の写真のような和食と洋食の監修シェフ共同による前菜が1品ずつ追加されたり、1回目の食事の後に自由に注文可能なアラカルトの種類が多く充実しているといった差が設けられているものの、メインとなる機内食を味わう意味では、中距離線との差はそれほど大きくありません。
通常、和食のコースとしては、メインディッシュとなる台の物が続くのですが、機内食の在庫に余裕がある場合など、台の物だけを洋食のメインディッシュに切り替えてもらうなどの対応も可能。
個人的には、JALのビジネスクラスの和食では、そのクライマックスは台の物ではなく、前述のお膳タイプの前菜にあると感じているため、邪道とは思いつつも当たり外れのない洋食のビーフステーキに切り替えてもらう方が好みです。
その際には、洋食に追加されているパンではなく、そのかわりに炊きたてご飯を追加してもらうのもお気に入り。
和食でも洋食でも、最後にちょっとしたデザートが提供され、一連のコースが終了。
その後、片付けが開始されたのは20:24。
機内食の提供開始から約50分の時間が経過していました。
ちなみに、こうして1回目の機内食が終了した後は、好きな時に注文できるアラカルトとして、
- チーズセレクション
- ちゃんぽんですかい(ちゃんぽん風味のラーメンタイプのカップ麺)
- うどんですかい(うどんタイプのカップ麺)
- そばですかい(そばタイプのカップ麺)
の4種類が提供されます。
また、2つあるビジネスクラスのコンパートメントの間に位置するギャレーには、ちょっとしたお菓子や飲み物が用意されたコーナーも準備。
中にはジャンポールエヴァンのショコラも定番としてラインナップされ、人気を集めている一品です。
到着前のシンプルな軽食
1回目の機内食提供が終了した後の機内は消灯。
到着前の軽食として提供される2回目の機内食直前のタイミングに照明が点くまでは、利用者はシートをリクライニングして睡眠を取ったり、モニターで映画などを楽しんだりと、思い思いの時間を過ごすことになります。
個人的には、ここで眠ってしまうと睡眠時間と起床時間のバランスが崩れ、睡眠の質自体も低下してしまう罠のような役割を果たすことを経験しているので、あえて起きたまま過ごすのがお気に入りです。
機内が明るくなり、到着前の食事が提供されたのが日本時間23:30(タイ現地時間の21:30)。
つまり、1回目の機内食が終了して約3時間が経過した頃に、2回目の機内食が提供されるということですね。
内容としては、
- 中華ちまき
- ハーゲンダッツアイスクリーム
の2つ。
これにアラカルトとして用意されていた
- チーズセレクション
- ちゃんぽんですかい(ちゃんぽん風味のラーメンタイプのカップ麺)
- うどんですかい(うどんタイプのカップ麺)
- そばですかい(そばタイプのカップ麺)
などを追加することも可能です。
ちなみに、これまでには、同じ2回目の食事として、中華ちまきの代わりに一般的なおにぎりがハーゲンダッツと一緒に提供されていたことも。
個人的には、この中華ちまきの味付けや食感などが意外にあなどれない仕上がりなので、おにぎりからの変更は嬉しいと感じているポイントの1つです。
こうしてみると、機内食としてはあまりにシンプルで組み合わせ的にも少しだけ疑問を感じる内容ですが、しっかりとした機内食の提供が行われてから3時間しか経過していないことを考えると、十分な分量と感じるのも正直な部分です。
やや気怠げな機内の雰囲気の中、2回目の機内食の片付けが行われたのが日本時間23:59(タイ現地時間の21:59)。
プレミアムレーン用チケットと着陸後の入国審査
機内食の片付けが行われてから約25分後となる日本時間00:25(タイ現地時間の22:25)にはシートベルトサインが点灯し、飛行機はバンコクのスワンナプーム国際空港への着陸に向けて、高度を下げていきます。
その2回目の機内食の片づけからシートベルトサイン点灯までの間に、ビジネスクラスの利用者限定で無料で提供されるのが、優先入国用のチケット。
このチケットは、バンコクのスワンナプーム国際空港の優先入国レーンとして用意されているプレミアムレーンを利用するために1人につき1枚必要なものです。
慢性的に入国審査が混雑し、運が悪いと信じられないくらいの長い待ち時間を必要とすることもあるスワンナプーム国際空港では、意外に貴重なビジネスクラス限定特典の1つ。
そうしたチケットですから、様々な事情で定期的にデザインが変更されているのですが、最新のものには、しっかりとJALのスタンプが押印されていることがわかります。
その後、スワンナプーム国際空港に無事に着陸したのがタイ現地時間の22:41(日本時間00:41)。
飛行機とボーディングブリッジの接続後、実際にドアが開き、降機が開始されたのはタイ現地時間の22:52(日本時間00:52)。
出発時には長い長い離陸までの待ち時間で遅延を心配したものの、最終的には無事、定刻の23:00よりも10分近く早い早着になりました。
ちなみに、JL707が到着するタイの現地時間で23時前後の時間帯はそれほど到着便が集中しないのか、他のフライトに比べて入国までに必要な時間が短いと感じています。
そのため、仮にエコノミークラスで到着し、プレミアムレーンが利用できない場合でも、特に待ち時間が長いと感じることなく、一般の入国審査を通過できるのも嬉しいと感じるポイントです。
実際、ビジネスクラスを利用し、手元にプレミアムレーン用のチケットがある場合でも、あまりに一般向けの入国審査待ちの列が空いている時には、そのさらに先にあるプレミアムレーンまで歩くのではなく、そのまま一般向けの入国審査待ちの列に並ぶこともあるくらいですから。
まとめ
中距離線としてはスタンダードなビジネスクラスのサービスをゆったりと楽しめるJL707。
日本からバンコクに向かうフライトの中では、他と比べて特別目を引く特長や華やかさには正直乏しいものの、全体的な安定感を感じるのが嬉しく、我が家では気に入っているフライトの1つです。
また、快適な入国審査を始め、時差ぼけ対策や睡眠の質の確保目的でも、現地での時間も無理なく楽しめフライトという個性を持っていますから、それを重視したい時などにあえて、JL707を選択してみるのもなかなかおすすめだと思いますよ。
コメント