JALの理想に最も近い形でサービスが構築され、それらが惜しみなく提供されているのが国際線ファーストクラス。
広いシート専有面積によって生み出される快適性はもちろん、機内食と呼んで良いのか戸惑うような高品質な食事に加え、手厚く行き届いた客室乗務員の方々によるサービスなど、そこで提供されるものの全てがビジネスクラスを含めた他のクラスとの大きすぎる違いを実感させるには十分です。
目次
客室乗務員のチームごとにサービス満足度が異なる理由
そんなJAL国際線ファーストクラスのサービスを楽しむ時に満足度を大きく左右するのが、サービスを担当してくれる客室乗務員チーム。
なぜなら、近年のJAL国際線ファーストクラスでは、JALのファーストクラスらしいサービスが保証される一定の範囲内であれば、それぞれのチームごとの個性を出すことが認められているから。
それは、サービス提供のタイミングや間隔からアルコールごとの利用するグラスの種類、利用者との接し方や距離感に至るまで多岐にわたります。
そのため、どのチームに担当してもらったとしてもJAL国際線ファーストクラスとしての条件を満たしたサービス品質には出会えるものの、そこからさらに満足度の上乗せが実現し、素晴らしいと感じるフライトになるのかどうかは、どんなチームにサービスを担当してもらうのかに左右されてしまいます。
最もチームごとの差の出る機内で調理された炊きたてご飯
ファーストクラス搭乗後、チームごとの差がはっきりと感じられ、最初の判断基準として頼りにしているのが、メインの食事で和食を選択した時や、洋食を選択した時でもメインと一緒に別途リクエストした炊きたてご飯。
高度1万メートル以上で地上よりも気圧が低いのはもちろん、調理するタイミングごとの気圧が変化し、さらに気流の良し悪しによっては調理の中断や提供タイミングの遅れなども発生しかねない状況で、ふっくら美味しい炊きたてご飯を安定して提供するというのは想像以上に難しいもの。
実際、条件が悪い時に提供されるご飯は、「芯が残り、固くなってしまうよりはまし」という選択の結果なのか、どうしても柔らかすぎる結果になることも多々あります。
しかし、客室乗務員の中でも調理を一手に引き受けるスカイシェフの中には、利用者側としてただただ舌を巻くしかないような技術と情熱、さらには食への熱量を持った方がいらっしゃるのも事実。
幸運にもそうした方に担当してもらえたフライトでは、明らかに調理条件の悪いフライトだったとしても、違いがはっきりと表れる炊きたてご飯に限らず、他の料理でも素晴らしい香りと風味、食感まで楽しめる品質で提供されます。
それはまさに職人といった様相。
そのスカイシェフによる違いは想像以上に大きく、他のフライトで提供され、その時には確かに美味しいと感じていた料理の満足度をあっさり上回るため、本当に同じものなのかと疑問に思ってしまうほどです。
チーム完成度の目安として簡単に活用できるギャレーディスプレイ
利用しているフライトでサービスを実際に提供してくださるチームの完成度を間接的に推し量る助けとして私が活用しているのが、メインとなる1回目の食事の後、ファーストクラス専用のギャレー周辺に用意されたディスプレイ。
なぜなら、このディスプレイはJALが会社として用意しているものではなく、それぞれのフライトを担当する客室乗務員の方々の中でも主に責任者の方を中心に、自ら用意した私物を利用したものだから。
そのため、フライトごとの目指すサービスの方向性やチームとして色を決定する客室責任者の方の個性、さらにチームごとの違いがはっきりと感じられる部分です。
実際、このディスプレイで細かな部分へのこだわりやセンスの良さ、温かみが感じられたフライトでは、全体的にしっかりとした好印象と満足感を感じるなど、サービス品質との相関性も高く、これまでのファーストクラス搭乗ではとても頼りにしている判断基準の1つになっています。
もちろん、こうしたギャレーのディスプレイがきれいだったり、手が込んでいるからといって、それが機内で提供されるサービス品質の高さに直結する根拠になるとは限りません。
しかし、少なくともギャレーディスプレイのように、別に手を抜いてもかまわないような細部にまでこだわりや品質の高さを維持できるということは、それ以外の部分でもチームとしての連携の確立や完成度の高さを保持し、それらをそのまま抜かりなく提供できるチームということが、ある種の不思議な相関性として表れた結果なのかもしれないと感じています。
同じファーストクラスの食事でも搭乗時期によって楽しめる細かな違い
JAL国際線ファーストクラスで提供される料理は例え同じような位置づけのメニューでも、利用する時期によってディスプレイや提供方法が異なるのもちょっとしたお楽しみの1つです。
例えば、和食で提供される「季節の小皿 五彩」は日本のミニサイズの国旗が掲げられた厚焼き玉子を基本に、季節を代表する小皿が並べられるのですが、春の時期にはたけのこの皮。
秋には紅葉やイチョウ、松など、日本の季節感を重視しているのも楽しいですね。
ただし、これらのメインの食事はかなりしっかりとディスプレイ方法が決まっているようで、利用するフライトごとの違いはあまり感じられません。
逆に、スカイシェフ間の個性の違いが爆発するのがアラカルトをオーダーした時。
例えばアラカルトで同じようにアイスクリームをオーダーした時でもその結果はかなり違います。
最もスタンダードにアイスクリームだけを用意してくれるパターン。
チョコレートやフルーツを添えてくれるパターン。
メインの食事の洋食のデザートにちょっとしたアレンジを加えて用意してくれるパターン。
また、同じ路線で同じようなメニューを用意していても、アラカルトとして注文を行うと、フライトを担当するチームやそのスカイシェフの方によって、提供される最終結果に意外な違いが表れることもあります。
上の写真はチョコレートを注文した時のものですが、3つの生チョコレートが小さな器に分かれて用意されたパターン。
一方、上の写真は1つの食器に一緒に並べられたパターン。
さらには、甘いものとしてお菓子をアラカルトでお願いした時の違いも印象に残っています。
上の写真はお菓子の提供としては一般的なもの。
かりんとうとフィナンシェに一口大のチョコレートが追加されています。
一方で、お菓子のアラカルトの中で、最も個性的だったものが上の写真。
かりんとうとフィナンシェは共通しているものの、あたりめのさきいかが追加されたセットになっています。
では、同じお菓子のアラカルト注文でも、あたりめが追加された方が奇をてらったおかしいものなのかというと、実はそうとは言えません。
なぜなら、チョコレートが追加されていた時にはコーヒーを楽しんでいたのに対し、あたりめが追加された時にはアルコールを楽しんでいたという違いがあるから。
逆に、利用者の状況や好みなどを確認した上で、客室乗務員の方によるサービス上の細かなアレンジが行なわれていることが分かる写真といえるかもしれませんね。
そういった事情もあって、どのディスプレイが良いのかは、実際に食べる利用者の状況や好みによる差もある以上、一概に判断はできないものの、それぞれの担当者のちょっとした個性や目指す方向性が感じられるという意味で、ファーストクラスでのアラカルトの注文もメインの食事と同様、楽しみにしています。
まとめ
日本を代表する航空会社の1社としてふさわしい高品質なサービスが魅力のJAL国際線ファーストクラス。
そんなファーストクラスの利用の中でも、優れた完成度を誇る客室乗務員チームに出会えた時のフライトは一生の中でも忘れられないほど、鮮やかな記憶として残る可能性すらあります。
そうしたフライトにJAL国際線ファーストクラスを利用した機内で再び出会いたいと思っていることが、私がJALをメインの航空会社として利用を続ける最大の理由なのかもしれません。
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