高頻度で利用する顧客を対象に、それぞれのホテルグループごとに用意される上級会員サービス。
そうして獲得できた上級会員資格は、その到達難易度によって優遇の内容は異なるものの、
- 各種手続きの優先扱い
- 本来は対象外となる料金での利用時でもラウンジなど飲食サービスの無料提供
- 無償での上位サービスへのアップグレード
- 有償利用時のポイント還元率アップ
- トラブル発生時の優先的な救済
など、重要な顧客囲い込みツールとして機能しているのは間違いありません。
実際、そうしたホテル側の思惑の通り、我が家でも、国内外での宿泊時に利用するホテルは、
- 朝食の無料提供
- エグゼクティブラウンジへのアクセス保証
- ルームアップグレードの無料提供
- 有償での獲得ポイント数増加
といった特典の提供が約束される上級会員の中では最上位のダイヤモンド会員を維持中のヒルトン系を最初の選択肢として、ついつい検討してしまっているほどです。
目次
上級会員資格は優遇が受けられる理由の1つでしかない
では、このようなホテルでの滞在で、様々な特典の提供を受けるために、上級会員資格が必須なのかというと、実はそうとは限りません。
なぜなら、そのホテル自体を高頻度で利用している顧客に対しては、仮に上級会員資格を保有していなくても、
- 朝食
- ルームアップグレード
- ラウンジアクセス
といった、本来は有料のサービスがホテルからの厚意として無料で提供されることもあるから。
実際、私自身、とある馴染みのホテル滞在時には、そのホテルが加盟するホテルグループの上級会員資格を保有していないにも関わらず、何度も何度も繰り返し宿泊しているという理由で上級会員と同様に朝食が無料で提供されるようになったいうことはこれまで経験し、活用もしています。
つまり、ホテルにとっては、その宿泊客が高頻度の利用を継続しているなど、特別なサービスを提供するだけの合理的な理由さえ存在するのであれば、上級会員向けにあらかじめ用意されたサービスと同様のものを上級会員ではない利用者に提供することも可能ということですね。
お得意様サービスの具体例
そのホテルを多頻度で活用する利用者はそこに程度の差はあってもお得意様としてホテル側に認識されるようになります。
その結果、提供されるようになるのはお得意様向けに用意された少し特別なサービスです。
具体的には、
予約時の特別サービス:
- 予約時点でのルームアップグレード、アーリーチェックイン、レイトチェックアウトの確定
- 部屋番号指定での宿泊予約
- 一般予約受付開始前の先行予約
チェックイン時の特別サービス:
- チェックイン後の特別なスタッフによる部屋へのアテンド
- ウェルカムギフトのアップグレード
レストラン利用時の特別サービス:
- 入店時の優先案内
- 良席の確保
- 料理&飲み物のアップグレード
などのサービスが提供されるようになり、滞在が快適になるのはもちろん、実質的な宿泊コストから見てもとてもお得なものになるのは間違いありません。
予約時の特別サービス
これらのお得意様サービスで最も安心感を提供してくれる存在といえば、それは間違いなく予約時の特別なサービスです。
というのも、チェックイン時やチェックイン前日など、通常は宿泊直前の時期に確定するような
- ルームアップグレード
- アーリーチェックイン
- レイトチェックアウト
の可否や結果はもちろん、それらを踏まえた上で決定されるはずの部屋番号すらを指定した上での予約も可能になるから。
もちろん、極端な繁忙期やホテルにとってより優先度の高いお得意様と競合してしまった時にはリクエストベースに切り替えられてしまうこともあるのですが、それでも通常期にそれらの事柄が予約時に確定した状態になるというのは想像以上に安心感を感じるものです。
実際、部屋の窓からの眺望を重視したい場合はもちろん、エレベーターやラウンジへのアクセスの面でこだわりたい時にも心強いと感じるメリットになります。
しかも、
- ルームアップグレード
- アーリーチェックイン
- レイトチェックアウト
はいずれも追加コストを支払った上で有料での利用も可能なサービスですから、それが予約時に確定するということは、実質的な割引を受けた状態での予約が可能になるというのも嬉しいポイントですね。
チェックイン時の特別サービス
他の特別なサービスに比べると、
- チェックイン後の特別なスタッフによる部屋へのアテンド
- ウェルカムギフトのアップグレード
といった内容で提供されるチェックイン時の特別なサービスには、比較的控えめな印象を感じるかもしれません。
しかし、チェックイン後の少し上位のホテルスタッフによる部屋へのアテンドは、ホテル内の移動が純粋にスムーズになるというメリット以上に、後述するホテルとの関係をメンテナンスする意味でもとても重要な場面の1つです。
実際、部屋に案内されるまでの長いとは言えない時間に、
- これまでの滞在でお世話になったスタッフの近況
- 他のホテルに異動されたスタッフの簡単な近況
- 前回の滞在の後に生じたホテルサービスの変更点
- その時点では公表されていない今後予定されているサービス変更の内容
- 宿泊者側の今回の滞在時の予定
- 宿泊者側から見たホテルサービスへの好みや感想
などの情報交換ができるのはとても大切なことだと感じています。
また、ウェルカムギフトのアップグレードについても、通常提供されているものから高品質なものに変更されるのはもちろん、利用者の好みに合ったものや実用的なものが提供されるようになるなど、より魅力的な内容になるのも嬉しく、滞在自体がもっと楽しみになるポイントになるはず。
レストラン利用時の特別サービス
上級会員の中でも上位に位置する上級会員資格に到達した場合、ホテル内に用意されたエグゼクティブラウンジやクラブラウンジといったラウンジサービスを無料で利用できるホテルも多く、つい油断するとそこでの飲食でお腹がいっぱいになってしまい満足してしまうこともあるほど。
しかし、それは時に、せっかくレストランで提供してもらえるはずだったお得意様サービスを手放してしまうという、とてももったいない選択をしている可能性もあるという意味で要注意です。
実際、お得意様として認識された上でランチやディナーなどのレストラン予約を行うと、
- 入店時の優先的な案内
- 眺めや雰囲気に優れた良席の確保
- 料理&飲み物の無料アップグレード
などの案内されていない特別なサービスに出会うことも多くなります。
特に、料理や飲み物の無料アップグレードでは、結果的にメニューに掲載されていない種類の特別なサービスが提供されることもあり、ホテル内のレストランの魅力をより深く知るとても嬉しいチャンスになるのも気に入っている部分です。
ちなみに、こうしたレストランでの特別サービスの提供は、お得意様として認識される前でも、上級会員であれば提供してもらえることも意外に多いと感じますから、気に入ったホテルでは少し積極的にホテル内のレストランを利用してみるというのもおすすめだと考えています。
上級会員からお得意様への具体的なステップアップ方法
このように様々なメリットのあるお得意様を対象とした特別なサービスですが、それらの提供を受けるためには、そのホテルでの宿泊回数を重ねることが基本です。
しかし、それだけではなく、ホテルでの予約に加え、滞在中のこと全てを取り仕切ってくれる窓口となるホテルの担当者との信頼関係を築き上げていくことがとても重要だと感じ、我が家でも特に大切にしている部分になっています。
では、実際にどういったホテルスタッフの方とどうやって信頼関係を作り上げていくのかということですが、最も難しいファーストコンタクトのステップは、
- 宿泊前のタイミングでホテルにメールで問い合わせを行った時の返信メール
- ホテル滞在中にいただいた名刺
- チェックアウト後に滞在のお礼メールを送った後の返信メール
- 既知のホテルスタッフからの紹介
などのチャンスを活かして連絡を取り合うことから始まります。
ちなみに、担当者となってくれるホテルスタッフの方ですが、ホテル内での立場や役職、地位が純粋に高ければ高いほど良いというわけではありません。
というのも、ある程度の権限や裁量を有している立場の方に担当してもらえるケースの方が、お得意様向けに提供されるサービスの幅も広がるのは間違いないのですが、その反面、あまりに上位の方に担当してもらうと、そうした方特有の忙しい業務の合間に行うことになる細やかなやり取りの継続が難しくなる心配もあるため、立場的には最前線の現場を統括することもある責任者といった役職の方が最も心地よく担当してもらえるというのが我が家の正直な実感です。
個人的には、そうした立場の方の中でも、緊急連絡先としても活用可能な、ホテルから貸与されている携帯電話番号が記載されている名刺を持っていらっしゃる方が担当してくれた場合、これまでの経験から快適な対応が期待できることが多く、安心感のようなものすら感じています。
ホテル担当者の異動で発生したピンチをチャンスに変えるテクニック
ホテル側に担当者を用意してもらうことで、様々な特別なサービスによる快適で安心な滞在が可能になるのですが、そうした状況が常に続くわけではないのは要注意です。
なぜなら、外資系のホテルグループで比較的頻繁に同じホテルグループ内での転勤が実施されているため、せっかく担当者として活躍してくれたホテルスタッフも、別のホテルにして異動してしまう可能性は除外できないという問題を抱えているから。
では、そうした担当者の異動によって全てのお得意様サービスが失われるピンチが到来するのかというと、実はそうではありません。
というのも、これまでの担当者が異動する前に後任の担当者を選出してもらい、その方を紹介してもらうことで、お得意様サービスのほとんどが継続して活用可能になるため、大きく困ってしまうような事態になりにくいはずです。
逆に、これまで担当してくれた気心の知れたホテルスタッフが別のホテルに異動することで、その別のホテルでも、一部お得意様サービスの提供が期待できるようになるなど、ピンチと思われた状況でも意外に新たなチャンスに結びつくことも多く存在していますから、担当者の異動をそれほど極端に恐れる必要はないというのが私の正直な印象です。
お得意様サービスに対する上級会員サービスの立ち位置とメリット
こうした形で様々な特別なサービスの得られるお得意様サービスに対し、上級会員サービスは、得られる特典的にお得意様サービスの下に感じてしまうかもしれません。
確かに、公表されている上級会員サービスの特典に対し、非公開のお得意様サービスの内容はより優遇されていると感じるものが大半で、お得意様サービスの方に魅力を感じるという方もいらっしゃるはず。
しかし、忘れてはいけないのは、あくまでお得意様サービスは何度もリピート滞在を繰り返した特定のホテルだけで受けられるものであって、上級会員サービスのように例え初めて宿泊するホテルであっても同じホテルグループに加盟しているのであればすべてのホテルで公表されている特典が提供されるわけではないことです。
また、お得意様を目指す過程での最初の滞在でも、上級会員としての宿泊予約とそれ以外の一般利用者としての宿泊予約では、ホテル側の注目度合いはどうしても異なりますから、上級会員資格を保有していることが無駄になるということはありません。
さらに、お得意様サービスに魅力を感じていたとしても、ホテルの担当者との人間関係を構築・維持していくことに抵抗感を感じ、シンプルに快適な滞在を楽しみたいという方には、スムーズに決められた内容のサービスが提供される上級会員サービスの方にスマートな魅力を感じるはずです。
実際、我が家でも、特に気に入っていて何度もリピートするのはもちろん、最大限快適な滞在を楽しみたいホテルでは担当者とのやり取りを楽しみながら継続していますが、そうではないホテルでは、必要最低限のやりとりは維持するものの、それ以外は上級会員サービスで用意される特典だけを活用するなど、ある程度のメリハリをつけながら使い分けています。
まとめ
気に入ったホテルにリピート滞在し、そこでの担当者との信頼関係を作り上げることで初めて提供されるようになるお得意様サービス。
もちろん、かなり特別な立場を有するVIPとカテゴリーされる方は別として、一般的な立場の利用者が快適なホテルステイを特別なサービスでますます楽しむための方法や道筋としては十分現実的なものです。
確かに、一部のお得意様サービスは上級会員サービスでの代替も可能だったり、ホテル側の担当者と信頼関係を構築していく必要があるなど、全ての方におすすめできるものではないものの、一度利用してみると、なくてはならないと感じるほどの魅力が実感できる方もいらっしゃるはず。
特に、好きなホテルでのお得意様サービスを受けられるようになったのなら、ますますリピート滞在の頻度に拍車がかかること間違いなしですから、チャレンジしてみるのもなかなかおすすめだと思いますよ。
コメント
JAL機内から投稿しますね。
はい、今回の記事、私も同感です。
私どもは、シンガポールと香港に贔屓にしているホテルがあります。
シンガポールでは、特にこちらからリクエストしなくとも、往復の空港送迎がつくようになりました。もちろん可能な限りのおもてなしもあります。
一方、香港のホテルは、日本人スタッフがほぼ専属でつきます。しかも、近々訪問予定がありますが、このご時世ですから、現地情勢もかなり細かく情報提供してくれます。メールのやり取りが中心ですが、重要な情報は、国際電話で直接提供されます。
これも、同じホテルをリピートして泊まり、スタッフとの関係を重視して宿泊した結果かもしれませんね。
おがさん、こんにちは。
JAL機内からの投稿、ありがとうございます。
お得意様サービスとして提供される空港送迎もとても魅力的なものですね。
また、香港のホテルのように、手間を要するものの、利用者の安心感や満足感を大きく高めてくれる役割を持つ、より親身でカスタマイズされた形での情報提供は、お得意様向けサービスらしさを感じる、この種のサービスの真骨頂とも感じました。
とても良い関係を構築・維持されているのですね。
私自身は、それぞれ同じエリア内にある新たなホテルもチャレンジしなくてはと考えているものの、お得意様サービスを提供してもらえるホテルでの滞在があまりに快適すぎて、ついついそうした計画が思惑通りになかなか進まないことが最近感じている少し贅沢な悩みかもしれません。