JALが国際線の利用者を対象に用意している数多くの空港ラウンジの中でもJALファーストクラスラウンジは特別な存在なのは間違いありません。
実際世界中に、ビジネスクラスラウンジとして位置づけられているサクララウンジは、
- 羽田空港(2ヶ所)
- 成田空港(2ヶ所)
- 中部空港
- 関西空港
- ホノルル空港(2ヶ所)
- フランクフルト空港
- サンフランシスコ空港
- マニラ空港
- バンコク空港
の合計12ヶ所も用意されている一方で、より上位のファーストクラスラウンジは、
- 羽田空港国際線ターミナル ファーストクラスラウンジ
- 成田空港第2ターミナル本館 ファーストクラスラウンジ
- 成田空港第2ターミナルサテライト ファーストクラスラウンジ
- フランクフルト空港第2ターミナル ファーストクラスラウンジ
の合計4ヶ所しか用意されていないことからも、その希少性はしっかりと感じられます。
目次
成田空港JALファーストクラスラウンジ専用アプリ「JAL Lounge +」
そんなJALファーストクラスラウンジの中でも、成田空港にあるファーストクラスラウンジを対象にJALが行う実証実験として、面白い試みが2019年12月4日から開始されることになりました。
それが、成田空港にある、
- 成田空港第2ターミナル本館 ファーストクラスラウンジ
- 成田空港第2ターミナルサテライト ファーストクラスラウンジ
という2つのファーストクラスラウンジ限定で様々な機能やサービスが利用可能な専用アプリ、「JAL Lounge +」(ジャル ラウンジ プラス)の提供開始です。
この「JAL Lounge +」は、成田空港第2ターミナルにあるJALファーストクラスラウンジの利用者を対象に、
- 本館とサテライトのJALファーストクラスラウンジの混雑状況を案内
- 本館のファーストクラスラウンジ専用のシャワールームの予約サービスの提供
- 本館4階「JAL’s Table」のオーダータイプの料理の座席からのオーダーと座席までの配膳サービスの提供
- ラウンジスタッフ呼び出し機能
といったサービスが提供されるというもの。
ただし、正式なサービスではなく、あくまで実証実験という位置づけですから、
- サービス提供は2019年12月4日~2020年2月28日までの期間限定
- サービスごとに利用可能なエリアが異なる
- サービス導入開始当初は午前中の時間のみの利用を基本とするなど、時間帯や混雑状況によっては利用が制限される場合もあり
といった様々な制限が設けられているのは少しだけ要注意です。
また、そうしたお試しとしての色合いが強い実証実験が目的のサービスですから、安定性や快適性の部分でも不確定な部分も気になる部分が見られる可能性が高いと考えています。
「JAL Lounge +」の3つの機能と利用制限
成田空港のJALファーストクラスラウンジ専用アプリ、「JAL Lounge +」には、大きく分けて
- ラウンジの混雑状況や提供メニューなどの情報提供機能
- シャワーやオーダータイプの料理の予約申込機能
- ラウンジスタッフに席まで来てもらうための呼び出し機能
という3つの機能が用意されています。
ただし、1つめの情報提供機能はラウンジの外でも利用できるものの、2つめの予約申込機能と3つめの呼び出し機能の2つの機能を利用するためにはいくつかの条件を満たす必要があるのは要注意ポイントです。
具体的には、スマートフォンやタブレットへの「JAL Lounge +」アプリのインストールの完了した状態で成田空港第2ターミナル本館の3階と4階にあるJALファーストクラスラウンジ内にいることに加え、「JAL Lounge +」インストール済み端末の、
- インターネットへの接続
- Bluetooth機能のオン
- 「JAL Lounge +」アプリによる位置情報の利用への許可
といった条件を満たしている必要があります。
実際、JALファーストクラスラウンジの混雑状況は、ラウンジに到着する前から現在の状況として、本館とサテライトのそれぞれについて、状況の確認が可能です。
一方で、シャワールームの予約などのサービスの申込みは、ラウンジ内からの利用に制限されていて、ラウンジの外にいる状況では上の画像のような
「ご利用いただけません。シャワールームの予約はラウンジ内からのみとなっています」
というようなエラーが表示されるのみで、その先に手続きを進めることができないようになっています。
それはオーダータイプのメニューの申し込みでも同様です。
「JAL Lounge +」で利用可能な情報提供サービスの特長とメリット
こうしてサービスが提供されるJALファーストクラスラウンジ専用アプリ「JAL Lounge +」ですが、
- これまでよりも充実したラウンジサービスの情報提供が行われる
- より快適にオーダータイプのメニューが楽しめる
- シャワールームの予約がスムーズで無駄のないものになる
- ラウンジ内での予約などの手続きが快適に行えるようになる
といったメリットが得られるため、JALファーストクラスラウンジ利用者にとっては嬉しいアプリになるはずです。
まず、ラウンジサービスの情報提供については、これまでもJALホームページ上の食事メニューや飲み物メニューとして、PDF形式で確認することが可能だった内容がアプリの形でよりスムーズで簡単に利用できるようになりました。
しかも、料理については、従来の食事メニューでは掲載されていないオーダータイプの料理の写真がアプリでは簡単に確認できるようになっています。
もちろん、ラウンジ内にはそれらの料理の写真が掲示され、それを参考に実際の注文を行えるものの、「JAL Lounge +」を利用することで、ラウンジを訪れる前に料理の写真を確認できるため、ラウンジでの食事を楽しみにしている方には嬉しいと感じる改善になるはず。
個人的には、メニューが変更される度に、好みに合うものが提供されるのか楽しみであるのと同時に少しだけドキドキすることになる「デザートプレート」の写真が事前に確認できるというのは嬉しいサービス改善と感じています。
それ以外の情報提供としては、ラウンジ内のサービスと位置関係を案内するラウンジマップ機能が用意されたり、ラウンジと搭乗ゲートの位置関係を分かりやすく案内する空港マップ機能も搭載されています。
もちろん、これらの情報は常に活用する種類のものでもないのはもちろん、そもそも情報自体がJALホームページだったり、成田空港の運営会社のホームページなどでも確認可能ですが、分かりやすい形に加工されたものに、アプリから簡単にアクセスできるようになっているのも嬉しいと感じた部分です。
また、それ以外の情報提供としては、握りたての寿司を提供する鶴亭で活躍されている寿司職人の方々のフルネームやこれまでの経歴、寿司職人頭など鶴亭内での地位なども簡単に案内されているのも興味深いと感じました。
「JAL Lounge +」の導く将来のラウンジ像
こうしたアプリを通じて利用可能な情報提供サービスの他に、
- より快適にオーダータイプのメニューが楽しめる
- シャワールームの予約がスムーズで無駄のないものになる
- ラウンジ内での予約などの手続きが快適に行えるようになる
といったサービスも用意されている「JAL Lounge +」ですが、この実証実験の先には、今とは異なるどんな未来が期待できるのか、気になる方もいらっしゃるはず。
これについて、実際にちょくちょくJALファーストクラスラウンジを利用している私個人としては、スムーズで快適なサービスが提供されるようになると期待できるものの、極端に大きな改善にはならないと予想しています。
というのも、これらの「JAL Lounge +」で可能になる予約申し込みや呼び出しといったサービスは、オーダータイプのメニューの利用を除き、これまでも必要な手間や手順に違いはあっても、同様のことが可能だったから。
シャワールームの予約も、ラウンジ内の混雑状況によっては、ラウンジ内に常駐しているラウンジスタッフの方にお声がけし、無線で確認してもらうことで、シャワールーム受付まで実際に訪れなくても同様の手続きが可能なこともあります。
また、ラウンジ内でくつろいでいる時に、遅延や欠航などのイレギュラーが発生してしまった時も、ラウンジ受付を一度訪れて事情を話すという一手間こそ必要なものの、その後はラウンジ内の席で待っているように伝えられ、そのまま座っていると解決策が用意され次第、ラウンジスタッフや空港内の予約発券部門のスタッフが席を訪れ、その場で説明してもらえるなどの対応も可能。
そのため、実用上は今現在の状況でも困ることはないのはもちろん、アプリでラウンジスタッフを呼び出した後にラウンジ利用者の中から見つけ出してもらうことまで考えると、手間や快適性としては大きく変わらないという印象を感じる方も多い可能性も十分。
実際、これらの「JAL Lounge +」で利用可能なサービスの中には、特定の時間帯に加え、ラウンジ内が混雑しているタイミングにも利用自体が不可という制限が設けられているものもあるのも気になる部分です。
なぜなら、そもそもラウンジ内が空いている時には、素直にそのまま近くを通りかかるラウンジスタッフに声をかけて希望するサービスを伝えるのが一番スムーズな一方で、様々なサービス提供で余裕がなくなってしまうラウンジ内が混雑しているタイミングにアプリからの予約や申し込み、ラウンジスタッフの呼び出しなどのサービスは最も効果を発揮するという特長があるから。
そのため、2020年2月28日までの実証実験が終わった後の「JAL Lounge +」の正式サービス提供では、JAL側がラウンジ内が混み合っているタイミングでのサービスをどのように位置づけるのか、どの部分に妥協点を見出すのか、個人的には特に注目したいと考えています。
まとめ
2020年3月29日からの2020年夏ダイヤ開始に伴って実施される成田発着路線の羽田空港への移管大移動によって、JAL国際線ファーストクラスの発着が完全になくなってしまうことが決定している成田空港。
そうした大変動を前に実証実験として開始される「JAL Lounge +」を通じたサービス提供は、2019年10月29日から2020年3月末まで改装中で、今後JALの国際線ファーストクラス路線を一手に引き受けることが決定している、羽田空港国際線ターミナル(第3ターミナル)のJALファーストクラスラウンジで提供されるサービスの試金石として期待されているのは間違いないはずです。
その結果、成田空港の第2ターミナルの本館とサテライトのJALファーストクラスラウンジで利用可能な「JAL Lounge +」の機能やサービスを基本的なベースとしながらも、様々な改善が加えられた、より洗練された形のサービスとして提供される可能性は高くなります。
実際、「JAL Lounge +」のアプリ内には、「お客さまのアプリID」として固有のQRコードを表示する機能が搭載されていて、これを利用した新機能やサービスの拡張が可能な余地が残されていますから。
とは言え、実証実験中の「JAL Lounge +」を利用する中でも、そうした次世代のラウンジサービスの片鱗のようなものを実体験すること自体は十分可能です。
そう考えると、成田空港第2ターミナルの本館とサテライトのJALファーストクラスラウンジを利用する機会のある方は、一度専用アプリの「JAL Lounge +」をインストールし、手にとってみるのもなかなか面白いと思いますよ。
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