旅行好きの方にとって、新規開拓としてのこれまで訪れたことのない目的地を訪れることも魅力的な楽しみですが、それと同時に、何度もリピートしたくなるお気に入りの目的地を定期的に訪れるというのもまた、大切な旅との向き合い方と感じているということも多いはずです。
私にとっても、時期を変えて旅の目的地として何度も訪れたくなる場所はいくつも頭に思い浮かぶのですが、その中でも特に気に入っているのが、青森県。
もちろん、豊富な海の幸や山の幸などに支えられたグルメはもちろん、
- 春はさくら(弘前さくらまつりなど)
- 夏はまつり(青森ねぶたや弘前ねぷたなど)
- 秋はもみじ(奥入瀬渓流や白神山地の紅葉など)
- 冬は雪(スキーなど)
など、油断すると目まぐるしさすら感じかねない、あまりにダイナミックな変化を見せる青森県の季節の1つ1つが、また青森の地を訪れたいと感じさせる強力な原動力となっているのは間違いありません。
目次
便利なはずの青森県での自動車移動をおすすめできない特別な時期
そんな青森県を旅行する時におすすめしたいのが、レンタカーなどを含めた、自動車での積極的な利用です。
というのも、青森県では、一部の都市部を除いて、自動車での移動を前提とした車社会が強固に形成されていて、便利で快適な自動車の利用が手厚くサポートされているから。
一方で、そうした車社会で自動車以外の公共交通機関での移動を選択する場合、その程度に多少の差はあったとしても、自動車での移動に比べ、不便や制限を感じることは避けられないはずです。
もちろん、都市部以外にも有名な観光地などを中心に、鉄道やバスといった公共交通機関でのアクセスが整備・維持されているのも事実です。
しかし、待ち時間の少ない効率的な移動を目指したり、あるいは知る人ぞ知るタイプの知名度こそ低いものの魅力的な目的地への到達を希望する場合、紛れもない車社会の青森県で、その大きすぎる流れに逆らう形での観光は正直おすすめできないというのが、これまで何度も青森県を訪れてきた私の一番正直な感想かもしれません。
ただし、注意しなくてはいけないのが、そうした自動車の積極的な利用を自信を持っておすすめするできるのは、毎年4月から11月までの限られた期間に青森県を訪れる場合のみということ。
逆に、12月から翌年3月までの4ヶ月に青森県を訪れる場合には、レンタカーを含め、自動車での移動は慎重に判断すべき事柄になってしまっているのは忘れてはいけないポイントの1つです。
なぜなら、青森県は太平洋側を中心とした一部の地域を除いて、全国でも有数の豪雪地帯の1つとして数えられ、降雪の可能性がある12月から翌年3月までの期間は雪による交通事故のリスクが跳ね上がってしまうから。
実際、急な積雪が発生したにも関わらず、除雪も排雪も十分に機能していない状態の道路では、
- 降り積もった雪を自動車の下に巻き込み、最終的に乗り上げ動けなくなってしまう
- アイスバーン上でのブレーキ時に制動力がなくなり、コントロールできなくなる
- わだちがすり鉢状に変化した上、それ自体がすべてアイスバーンで構成されるという危険極まりないシロモノに遭遇する
といったとても危険な状況に陥ってしまうことは十分考えられることです。
しかも、これらのリスクは、仮にレンタカーとして利用する自動車にしっかりと冬用のスタッドレスタイヤが装着されていたとしても、その自動車を運転する運転者自身が持つ、雪道での運転経験やスキルが必要とされているのも要注意ポイントの1つです。
さらに、青森県に限らず、豪雪地帯とされる地域では、雪が降る時期の交通事故発生件数や死亡事故件数が大きく増加している状況からも、雪道での運転の経験やスキルがあったとしても、どうにもならない運に任せるしかないような場面に陥ってしまい、事故に至らなかったのは単に運が良かっただけということになる可能性も十分考えられます。
そうした事情がありますから、私自身を含め、私の家族も、雪の心配を除外できない豪雪地帯では絶対に自動車の運転は行わないと家訓(?)のように決めて徹底しているほど。
また、冬の時期に太平洋側以外の青森県を観光で訪れる場合も、
- 今現在も豪雪地帯在住で雪道の運転には特段の自信あり
- 豪雪地帯に住んではいないものの、雪道運転の経験は豊富で、少なくとも数年に1度は運転している
というような方以外は、できるだけ冬の青森県での自動車の運転は回避するのがおすすめだと強く感じています。
冬の時期の弘前を中心とした観光を支える弘南バスの青森空港線
では、自動車での利用があまりおすすめできない冬の時期の青森県を観光する場合、必然的に頼ることになるのがなるのが公共交通機関。
その中でも、弘前市を中心とした一帯をそのテリトリー(営業エリア)としているのが、弘南バス(こうなんばす)と呼ばれるバス会社を利用する機会が増えるはずです。
ちなみに、この弘南バスは、青森県弘前市を拠点に主に津軽地方を中心に路線バスを運行している会社なのですが、本州最北端の青森県から東京までを結ぶ路線を数十年に渡って運行してきた老舗とも知られています。
また、老舗ながらフットワークも軽く、突発的でゲリラ的なセールなども積極的に開催しているようで、期間&席数限定ながら、10時間、そして700km以上も超える移動距離ながら、3列シートのトイレ付き車両での青森県-東京間の移動が大人1名3,000円という破格の運賃で提供されたこともあったほどです。
そんな弘南バスが青森県の空の玄関口である青森空港と弘前とを結ぶ、青森空港線を運行しています。
この青森空港線は、青森空港と弘前とを結ぶ、空港バスなのですが、青森空港を出発すると、
- 青森空港(青森市)
- 浪岡駅前(青森市浪岡地区)
- 藤崎船場角(藤崎町)
- 弘前駅前(弘前市)
- 弘前バスターミナル(弘前市)
というような順番で複数の停留所が設定され、空港利用者以外の需要も取り込む路線バスとしての働きも期待されています。
2022年1月時点のものとして、運行ダイヤと運行本数は、青森空港発が、
- 青森空港 9:25 → 弘前バスターミナル 10:20 (JAL141、FDA361との接続)
- 青森空港 9:55 → 弘前バスターミナル 10:50 (JAL2151との接続)
- 青森空港 11:00 → 弘前バスターミナル 11:55 (ANA1851との接続)
- 青森空港 11:40 → 弘前バスターミナル 12:35 (JAL143、JAL2803との接続)
- 青森空港 12:35 → 弘前バスターミナル 13:30 (FDA363、ANA1898との接続)
- 青森空港 13:15 → 弘前バスターミナル 14:10 (JAL2153との接続)
- 青森空港 14:00 → 弘前バスターミナル 14:55 (FDA833、JAL2805との接続)
- 青森空港 15:00 → 弘前バスターミナル 15:55 (JAL145との接続)
- 青森空港 15:50 → 弘前バスターミナル 16:45 (ANA1853、ANA1900との接続)
- 青森空港 17:25 → 弘前バスターミナル 18:20 (JAL147との接続)
- 青森空港 18:00 → 弘前バスターミナル 18:55 (JAL2157との接続)
- 青森空港 18:45 → 弘前バスターミナル 19:40 (FDA367との接続)
- 青森空港 20:25 → 弘前バスターミナル 21:20 (JAL149、ANA1855との接続)
- 青森空港 20:40 → 弘前バスターミナル 21:35 (JAL2809との接続)
- 青森空港 21:30 → 弘前バスターミナル 22:25 (JAL151との接続)
の合計15便。
一方で、弘前バスターミナル発が、
- 弘前バスターミナル 6:00 → 青森空港 6:55 (JAL140、ANA1852との接続)
- 弘前バスターミナル 7:45 → 青森空港 8:40 (FDA362、JAL142との接続)
- 弘前バスターミナル 8:15 → 青森空港 9:10 (JAL2152との接続)
- 弘前バスターミナル 9:15 → 青森空港 10:10 (ANA1897との接続)
- 弘前バスターミナル 10:00 → 青森空港 10:55 (JAL144、JAL2804との接続)
- 弘前バスターミナル 10:45 → 青森空港 11:40 (FDA834、ANA1854との接続)
- 弘前バスターミナル 11:15 → 青森空港 12:10 (JAL2154との接続)
- 弘前バスターミナル 12:30 → 青森空港 13:25 (FDA364、JAL2806との接続)
- 弘前バスターミナル 13:15 → 青森空港 14:10 (JAL146との接続)
- 弘前バスターミナル 14:15 → 青森空港 15:10 (ANA1899との接続)
- 弘前バスターミナル 15:45 → 青森空港 16:40 (ANA1856、JAL148との接続)
- 弘前バスターミナル 16:15 → 青森空港 17:10 (JAL2158との接続)
- 弘前バスターミナル 17:00 → 青森空港 17:55 (FDA368との接続)
- 弘前バスターミナル 18:40 → 青森空港 19:35 (JAL150、JAL2810との接続)
の14便となっていて、いずれも青森空港を発着する航空便の発着時間に、飛行機-バス間の乗り継ぎ時間分の余裕を上乗せした運行ダイヤになっていて、空港利用者へのしっかりとした配慮が感じられます。
また、飛行機の発着に合わせた運行になっている関係上、青森空港到着最終便を中心に、飛行機の遅延などにも多少出発を待ってくれるなどの時間調整対応が行われるのも公共交通機関頼りでの移動を考える際には嬉しいポイントかもしれません。
弘前からの青森空港線の利用は弘前バスターミナルからがおすすめな理由
ちなみに、この青森空港線を利用する場合、青森空港から利用する場合には、元々乗り場が1つしか用意されていないため、迷ったり、悩んだりする心配はないのですが、問題になる可能性があるのが、弘前市から青森空港に向かう時です。
というのも、青森空港線は、弘前市から青森空港に向かう場合、
- 弘前バスターミナル(弘前市)
- 弘前駅前(弘前市)
- 藤崎船場角(藤崎町)
- 浪岡駅前(青森市浪岡地区)
- 青森空港(青森市)
という順番でターミナルや停留所などを経由するのですが、弘前市内に用意された、
- 弘前バスターミナル
- 弘前駅前
の2つは、距離にして数百メートルしか離れていない一方、空港バスの乗り場としては、圧倒的に弘前駅前の方が分かりやすく、そして便利という特長を持っているからです。
しかし、冬の時期の弘前駅前はバス乗り場も雪がしっかりと降り積もっていることが多く、しかもわずかな屋根があるだけの完全な屋外ですから、バスの到着まで厳しい寒さにさらされるリスクがあるのも事実です。
その一方で、青森空港線の始発となる弘前バスターミナルは弘前駅から300mほど離れたイトーヨーカドー弘前店の1階部分に位置し、乗り場のすぐ近くに暖房が完備された待合室も用意されていますから、特に冬の時期には、バスを待つまでの快適性が大きく異なるのは要注意ですね。
ちなみに、弘前市でのお得で便利な主要公共交通機関として頼りになる100円バスについても、冬の間も継続して運行される、
- 土手町循環バス
- 城東環状(大町経由)
- 城東環状(和徳経由)
の3系統全てが、
- 弘前バスターミナル
- 弘前駅前
の両方に停車しますから、青森空港線を利用して青森空港に向かうことが決まっている場合には、弘前市内をある程度カバーしている100円バスから弘前バスターミナルでの青森空港線への乗り継ぎを検討してみるのも、価値ある選択肢かもしれません。
また、タクシーで弘前市内のホテルなどから青森空港線のバスが発着する乗り場に向かう場合も、弘前駅ではなく、あえて弘前バスターミナルのあるイトーヨーカドー弘前店に向かうというのもおすすめです。
弘南バスの青森空港線の運賃
そうして運行されている弘南バスの青森空港線ですが、気になる運賃はというと大人1,200円、子供600円となっています。
また、往復割引や複数人割引、青森空港線専用の回数券などの設定はなく、さらには比較的新しいタイプのバスでの支払いでは一般的になりつつある、交通系ICカード(電子マネー)での支払いにも対応していないため、バス車内での現金による支払いが基本となるのは要注意ですね。
ちなみに、似たような運賃条件で運行される他の有名な空港バスとして、東京駅八重洲南口と成田空港の第1ターミナル間を結び、かつては、
- THE アクセス成田(JRバス運行)
- 東京シャトル(京成バス運行)
という2つの会社による全く異なる運行路線として設定されていたものの、2020年2月1日からは2つの会社による共同運行が行われる1つの路線に生まれ変わった、エアポートバス東京・成田と比べててみると、
エアポートバス東京・成田:
- 東京駅と成田空港間の約70km、約70分の運行
- 運賃は大人1,300円、子供650円
- 運行頻度は1時間に3本から4本
- 1日合計26本から27本
- JRバスと京成バスによる共同運行
弘南バス 青森空港線:
- 弘前バスターミナルと青森空港間の約30km、約55分の運行
- 運賃は大人1,200円、子供600円
- 運行頻度は1時間に0~2本
- 一日合計14本から15本
- 弘南バスによる単独運行
となっています。
もちろん、日本の首都にある主要駅と日本を代表する主要な国際空港とを結ぶ空港バスのエアポートバス東京・成田と、一地方都市と一地方空港とを結ぶ弘南バスの青森空港線とでは、元々期待されている利用者の数が極端に違いすぎるものの、実際に比べてみると運賃や利便性とのバランスの面で、なかなか健闘している路線が弘南バスの青森空港線なのかもしれないという印象を持ちました。
弘前在住の地元の方も活用する弘南バスの青森空港線のお得な乗車方法
空港と都市間を結ぶ空港バスとしては頑張っているという印象を感じさせてくれる弘南バスの青森空港線ですが、実は、弘前に在住している地元の方々も利用するという、お得な乗車方法が存在しています。
それが、弘南バスが提供する回数券を利用するというもの。
最もお手軽なものとしては、現金1,000円で販売されている1,150円分の回数券です。
この回数券は弘前バスターミナルや弘前駅などの主要な弘南バスの乗り場近くに併設された案内所や一部のバス車内で購入可能なもので、2022年1月現在、路線バスとして運行されている青森空港線でも問題なく利用可能です。
具体的な利用方法としては、青森空港線のバス降車時に、運賃箱に1,000円で購入した回数券1,150円分全てと、不足する残金分の50円を担当の運転手さんに分かりやすい形で投入するのみとお手軽なもの。
つまり、大人1名の青森空港線への乗車の場合、
- 通常利用:1,200円
- 回数券利用:回数券購入1,000円(1,150円相当)+残額50円=1,050円
というように、回数券を利用するかどうかで150円の差額が生じるということですね。
また、この1,000円で1,150円の回数券以上のお得度を求める場合に活用したいのが、弘南バスが株主に向けて発行している、弘南バス株主優待回数券です。
この株主優待回数券は、通常、弘南バスの株主しか入手できない種類の回数券なのですが、実は、弘前バスターミナルと弘前駅から150m~200mの徒歩圏の距離に位置する、日本チケットというお店でほぼ通年で潤沢な在庫が販売されているため、入手自体がとても容易です。
価格は1枚100円のものが5枚セットになった合計500円分が430円となっていて、純粋な割引率としては、14%。
しかも、この株主優待回数券は、前述の弘前市の移動に便利な100円バスの運賃支払いとしても利用できますから、冬の弘前市を100円バスを中心とした弘南バスで移動する際にも活躍してくれるはずです。
ただし、株主優待回数券は1,000円で販売され無期限で利用できる回数券とは異なり、4月1日から翌年3月31日までという1年間の有効期限が設けられていますから、せっかく入手しても使い切れずに失効してしまうなんて失敗には警戒したいですね。
また、2022年1月現在、1,000円で販売されている回数券での青森空港線の乗車はもちろん、株主優待回数券での青森空港線や100円バスの乗車が問題なく可能なことは私も確認しているものの、株主優待回数券については、新規の発行が行われるタイミングで、発行元である弘南バス側が新たな制限を自由に設けることが可能ですから、新年度になってから初めてとなる購入や利用の際には、あらかじめ弘南バスの問い合わせ窓口に確認したり、案内所のスタッフの方に質問したりした上で入手や利用を行ってみるのがおすすめです。
ちなみに、弘南バス株主優待回数券も1,000円で販売されている回数券も、弘前バスターミナルや弘前駅の近くにある金券ショップや弘南バスの案内所での購入が基本になっているため、弘前市内から青森空港に向かう際の利用がメインで、地元の方にとって便利でお得な利用方法なのは間違いありません。
しかし、青森空港から弘前市内に向かう場合にも、乗車するバスによっては、バスの運転手さんが、1,000円で販売されている回数券の在庫を用意していることもあり、その場の車内での購入も可能になっていますから、そうした幸運に恵まれた場合には、青森空港に到着した直後から、少しお得に青森空港線を利用できるということですね。
まとめ
冬の時期に青森空港から始まる青森県の観光では、雪道の運転に特段の自信のある一部の方を除き、頼ることがほぼ必須となる弘南バスが運行する青森空港線。
実際に活用してみると、青森空港線から弘前市を中心とした100円バスなどの公共交通機関網との連携も意外なまでに良好で、冬の様々なリスクが心配な時期には十分と言える品質の利便性が提供されているというのが私の正直な実感です。
また、青森空港線についても、回数券の活用というちょっとした工夫を行うことで、地元の方と同様のお得で便利な活用が可能というのも嬉しいポイントです。
確かに、レンタカーを中心とした自動車での移動を楽しみたいという方にとっては、冬の青森県の、それも弘前市を含めた日本海側というのは、ハードルが高く感じる目的地になってしまう傾向はあると思うのですが、それでも、公共交通機関をメインに活用した冬の観光も想像以上に利便性が確保されていますから、一度お試しで訪れてみるのもおすすめだと思いますよ。
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