飛行機を利用する空の旅の機会が増えるほど、それに伴ってどうしても増大してしまうのがトラブルとの遭遇リスクです。
もちろん飛行機自体が数多くの部品で構成された繊細で複雑な機械であるだけではなく、天候などの刻々と移り変わる自然を相手にしつつ運航を行わなれている以上、
- 機材変更
- 遅延
- 欠航
- 出発空港への引き返し
- 他の空港への着陸
- 他の空港での運航打ち切り
といったトラブルの発生は利用者側で気をつけたとしても回避できる種類のものではなく、ある程度仕方ありません。
その一方で、飛行機を利用する空の旅において、利用者側の警戒がとても重要な役割を果たす種類のトラブルが存在しているのも事実。
それが、航空券購入時に正しい料金よりも割高で高額な請求をクレジットカードに行われるトラブルです。
目次
常に警戒だけは怠れないという意味で地味にイヤな高額請求トラブル
こうしたクレジットカードの請求に関するトラブルは、本来の正しい金額での請求が行われず、実際にはより高額な請求が行われてしまうという性質上、トラブルの発生を知ることになるのは、クレジットカード会社が発行するクレジットカードの利用明細を確認した時になります。
逆に、利用者自身が発見する必要がある以上、
- 請求金額の合計のみ確認して、そもそも1つ1つの取引内容を確認していない
- 取引内容は確認するものの、請求金額を確認していない
- 日本円での請求金額しか確認せず、外貨建ての取引で元々の外貨での請求額を確認していない
という場合には、余程高額な請求が行われない限り見過ごしてしまう可能性が高いのも厄介なポイント。
しかも、この種のトラブルは発生する可能性自体は極端に高くはないものの、発生リスクは間違いなく常に存在するため、警戒だけは怠れないという意味で、個人的には地味にイヤだなと感じる度合いの高いトラブルの1つになっています。
また、クレジットカードを利用した取引でのトラブルということで、
- 利用者
- クレジットカード会社
- 航空会社
というように複数の関係者が関わるため、トラブルの解決まである程度の時間が必要になってしまうという性質上、「問い合わせの電話1本でその場での解決!」とはならず、その後、最大数ヶ月にわたって経過確認なども必要な部分も、個人的に「巻き込まれたくないなー・・・」という苦手意識を感じる理由と言えるかもしれません。
クレジットカード高額請求で特に要注意なのは電話での国際線航空券の予約と発券
とは言え、こうしたクレジットカードでの請求金額に関するトラブルが高頻度で発生するようでは、利用者が不便なのはもちろん、航空会社もクレジットカード会社もお金を扱う企業としての信頼を失ってしまいますから、一般的なものではありません。
しかし、こうしたトラブルの発生リスクが高く、特に警戒するだけの価値があるポイントが存在しているのも事実です。
それが航空会社に電話して行う、有償国際線の予約と発券です。
というのも、電話での有償国際線の予約・発券では、
- 電話発券担当者の権限、技量、知識が異なることもある
- 航空会社公式サイト上などの主要予約システムと異なる予約システムが利用されることもある(AmadeusとSabreなど)
- 旅程によってオーダーメイドに近い形で予約が作成されることもある
などの理由から、今や航空券購入の主流となっている航空会社の公式サイトなどでのオンライン発券ではあまり考えられないトラブルに遭遇してしまうことがあるからです。
実際、我が家の場合も、これまでの数百件の国際線航空券の発券で、購入時に元々確認していた金額よりも高い金額がクレジットカードに請求されたケースが5件ほどあったのですが、そのうち4件が電話での発券で、しかも残り1件もオンライン発券ではあったものの、航空会社側による運賃設定エラーに起因するもので例外的なものと考えられるケースでした。
そのため、電話での発券に警戒する価値は十分だと感じています。
ちなみに、電話での発券でも、
- 経由地が多いなどの複雑な旅程での予約
- クーポンやバウチャーなどを支払いの一部に利用する予約
- 他の一般的な有償航空券の相場より極端に安価な運賃が提示された旅程での予約
- フライトの検索や運賃計算のタイミングで担当者のPCがフリーズしたり、処理に時間がかかる予約
- 様々な要素から担当者があまり熟練していないと感じた時の予約
などは、後で思い返してみるとトラブルの発生リスクが高くなっていますから、注意を要するサインの1種と言えるかもしれません。
高額請求トラブルをできるだけスムーズに解決するための対策と事前準備
このように警戒すべき予約方法と考えられる電話での発券ということもあって、トラブルに遭遇しないためにはできるだけ利用は避け、可能な限り航空会社の公式サイト経由のオンライン発券を利用するのが対策としては最も建設的で安心なものです。
しかし、様々な事情で電話での発券を利用しなくてはいけないという状況も存在しているのも事実。
そうした時、クレジットカードへの高額請求トラブル自体は発生してしまったとしても、その後、スムーズに解決できるように、電話での予約・発券の段階から可能な範囲で準備しておくのが大切です。
その準備というのは、
- 可能なら簡単な許諾を取った上で、担当者との電話を録音し、後で確認できるようにする
- 録音を行わない場合でも、通話内容の要点をメモに残しておく
というもの。
個人的には、担当者に許諾を取った上での録音があれば、何があっても大抵は安心だとは思うのですが、実際には通話内容の要点を押さえたメモだけでも十分で、私自身もできるだけ丁寧にメモを残すことで対応し、問題なくクレジットカードへの高額請求トラブルも解決しています。
具体的には、
- 通話を開始した日時
- 担当者名
- 予約確認番号(6桁の英数字)や航空券番号(13桁の数字)
- 利用区間や出発日時、搭乗クラス、搭乗者名などの旅程内容
- クレジットカードに請求される予定の合計金額(日本円と外貨を問わず)
- 利用したクレジットカード情報(主にブランドやカード番号の一部、名義人など)
といった情報です。
特に、電話での予約・発券の場合、数字は聞き取りの部分での間違いが発生しやすいポイントの1つですから、確実に担当者の伝えるクレジットカードに請求される予定の合計金額を聞き取り、それをさらに復唱する形で確認するのが大切です。
また、電話での手続きが終わった後に、
- 登録したメールアドレスに届けられる航空券詳細
- 航空会社の公式サイト上などでの表示可能な航空券情報やEチケット控えの金額欄
を確認することで、この時点で誤った金額での請求が行われていないか、簡易的とは言え、チェックすること自体は可能です。
とは言え、実際の高額請求トラブルでは、これらの金額が元々の正しい金額だったとしても、クレジットカードに請求される金額だけが異なり、思わず「その金額は一体どこから出てきたの!?」とつっこみたくなることばかりでしたから、油断は禁物。
最終的な請求金額がクレジットカードの明細上で確定するまでは警戒を解除するべきではありません。
高額請求トラブル発生をできるだけ早めに確認すべき理由
こうして万が一の高額請求トラブル発生に備え、念のために準備する電話での予約・発券に関する情報ですが、最も良いのは全く利用されることもないのが一番なのは間違いありません。
しかし、残念にもクレジットカードの利用明細上で、クレジットカードへの高額請求が確認できた場合、それらの情報を元に、できるだけ早いタイミングで手続きを開始する必要があるのは要注意です。
というのも、
- 発券を完了したタイミング
- 航空会社の請求タイミング
- クレジットカード会社の利用明細反映タイミング
- 利用者側でのクレジットカード利用明細確認タイミング
- 利用者側での高額請求トラブル報告タイミング
によっては、高額な請求のままクレジットカードの引き落としが行われ、本来は支払う必要のない金額が立て替えることになるだけではなく、引き落とし後の返金も数カ月後になってしまうことも現実にはありえてしまうから。
特に、高額請求トラブルでクレジットカードに請求される金額は、元々の航空券代金に数千円から数万円を追加した金額のこともあれば、元々の航空券代金の数倍というように、なぜその金額が請求されたのか全く理解できないほど大きな金額のこともあります。
そのため、航空会社に結果的に正当な理由もなく数カ月間も無償でお金を貸してしまう事態を避けるためにも、電話での予約・発券を行った後は、可能な範囲内で、クレジットカード会社が提供するオンラインでの利用明細確認サービスを利用するなどでして、できるだけ早いタイミングで高額請求トラブルの発生を確認できるようにするのが大切だと考えています。
ちなみに、クレジットカードの引き落としは、
- 利用者によるクレジットカードの利用
- 航空会社からクレジットカード会社への請求
- クレジットカード会社による利用明細への反映
- クレジットカード会社による締め日での引き落とし金額の確定
- クレジットカード会社から利用者への利用明細と引き落とし金額の案内(郵便での明細送付やオンライン明細の発行)
- 利用者の銀行口座からの引き落とし
となりますから、クレジットカード会社から引き落とし金額が記載された利用明細が郵便などで届けられた時点で、正式な利用金額としての確定と銀行口座からの引き落としの手続きが完了している以上手遅れで、誤った金額だとしても、基本的に一度銀行口座からの引き落としが行われてしまうことになります。
高額請求トラブルが発覚した時の手続きの種類と解決までの流れ
では、高額請求の発生を確認した場合、どのような手続きを行うことになるのか。
それには大きく分けて、
- 航空会社への問い合わせ
- クレジットカード会社への相談
の2つがあります。
高額請求が行われてしまったことが分かった場合、まず最初に問い合わせを行うことになるのは、間違いなく航空会社です。
この方針は、電話での発券でも、オンライン発券でも基本的に変わることはありません。
というのも、そもそも誤った金額で利用者のクレジットカードへの請求を行っているのが航空会社である以上、請求金額の訂正を最もスムーズに行えるのは航空会社だから。
逆に、航空会社への連絡を行う前にクレジットカード会社に連絡しても、とりあえず航空会社に連絡するように案内されるだけで、金額の訂正や請求の取り消しをクレジットカード会社側で行ってくれることはないはずです。
そのため、高額請求を行った航空会社に連絡することになるのですが、この場合、最初にコンタクトを取るのは、電話での発券を行った予約窓口。
もちろん実際には、こうした誤った金額での請求トラブルに関しては、別の窓口が用意されていることも多く、
- 別のカスタマーサービス窓口に繋がる電話番号
- 公式サイト上の問い合わせフォームのアドレス
などが案内されるだけで、そのまま予約窓口での手続きが受け付けてもらえるとは限りません。
しかし、一度予約窓口に問い合わせることで、
- トラブル解決のために最も適切な窓口と問い合わせ方法を確認できる
- 海外の航空会社の場合、問い合わせフォームによる文字での問い合わせが必須とされた場合でも、日本語での問い合わせが可能かどうか確認できる
というようなメリットもありますから、個人的にはとりあえず予約と発券の手続きを行った予約窓口への問い合わせをおすすめしたいと考えています。
意外にも電話での日本語対応を行っていない航空会社でも、文字による文章での問い合わせでは、日本語での問い合わせも対応している場合もありますから、より手軽に確実な形で手続きを進める意味でもうまく利用したいですね。
実際の問い合わせでは、電話でも、問い合わせフォームでも、日本語対応でも、英語対応でも、伝える内容は大きく変わらず、
- 購入した有償航空券で案内され同意した金額よりも高額な金額でのクレジットカードへの請求が行われたこと
- 元々の金額は〇〇で、実際に請求された金額は□□だったこと
- お金に関することなので早急に正しい金額での請求に訂正してほしいこと
といったことを簡潔に正確な状態で伝えるようにします。
その際、航空会社側からの求めに応じて、
- 通話を開始した日時
- 担当者名
- 予約確認番号(6桁の英数字)や航空券番号(13桁の数字)
- 利用区間や出発日時、搭乗クラス、搭乗者名などの旅程内容
- クレジットカードに請求される予定の合計金額(日本円と外貨を問わず)
- 利用したクレジットカード情報(主にブランドやカード番号の一部、名義人など)
などのあらかじめ記録していた情報も伝えると、その後の航空会社による確認作業もスムーズに進むはずです。
その後、利用する航空会社や休日などを含めた問い合わせ時期によるものの、数日から2週間程度で航空会社の担当者からメールなどで回答が届きます。
この時、特に、航空会社側で追加での情報が必要としていなければ、当日から数週間程度で請求金額の訂正や返金の手続きが開始されることと、実際のクレジットカードへの訂正処理や返金処理が完了するまで数ヶ月の時間を要することを了承してほしいと案内されるのが基本です。
ちなみに、今年2022年に我が家で実際に遭遇したケースでは、日本時間での時系列として、
- 1日目:電話での予約と発券完了
- 16日目:クレジットカード会社のオンライン明細上で高額請求の反映を確認
- 17日目:航空会社に高額請求に関して問い合わせ完了
- 24日目:航空会社から金額訂正を行う旨の回答が到着
- 25日目:クレジットカード会社のオンライン明細上で高額請求の差額分が返金分として反映
という流れになりました。
今回のケースでは、かなりスムーズに手続きが進んだ好例と言えるのですが、それでも、クレジットカード会社の締め日の関係で、発券時に元々の了承していた金額よりも高額な金額が一度引き落とされてしまうのは避けられませんでした。
高額請求トラブルの発生時のクレジットカードの支払停止の抗弁の利用
こうして可能な限りスムーズに訂正や返金の手続きが進んだとしても、一度は誤った金額を引き落とされてしまうことが避けられないケースもある高額請求トラブルですが、何らかの事情で極端に解決までの時間を要したり、航空会社が不誠実な対応を取ったり、あるいはあまりにその金額が高額な場合などに利用を検討したいクレジットカードの制度が1つ存在しています。
それが、支払停止の抗弁という制度です。
この制度は、「支払停止の抗弁権」とも呼ばれ、
- 契約時の各種合意が守られていない取り引き
- 支払期間が2ヶ月以上の取り引き
- 一定金額以上の取り引き
などの条件を満たした場合に、対象の利用分についてクレジットカード会社への支払い、つまり、利用者の銀行口座からの引き落としを止めることができるというもの。
支払停止の抗弁の利用には、
- 利用したクレジットカード会社独自の運用ルール
- 航空券購入時の利用金額
- 支払い回数
などの条件をクリアする必要がありますから、少しでも利用したほうが良いと感じた場合には航空会社への問い合わせと並行して、高額請求を受けたクレジットカードを発行したクレジットカード会社の問い合わせ窓口にも事情を伝え、「支払停止の抗弁」の利用についても相談する価値があるかもしれません。
ちなみに、支払停止の抗弁の利用でネックになりがちな支払い回数についても、クレジットカード会社によっては、元々1回払の利用分であっても、誤った高額の請求が発覚した後に、2回以上の分割払いに変更することで、支払停止の抗弁の利用対象にしてくれる場合もありますから、とりあえずクレジットカード会社に相談してみるのはおすすめです。
もちろん、支払い回数の変更内容によっては分割手数料を要することがあるものの、それでも万が一何らかの事情や航空会社側による不誠実な対応で解決まで時間を要するような場面では、それ以上のメリットを得られるケースも考えられますから。
まとめ
高度に発達した予約システムに厳密に管理され、ミスなど起こりそうに思えない航空会社での航空券予約。
しかし、実際には、電話での有償国際線航空券の発券というように、システム的に不利と思われる様々な状況が複数重なることで、より高額な金額が誤って請求されてしまうというトラブル自体、すべての利用者にとって完全に無縁なものではありません。
その悪影響を回避するためには、できるだけ航空会社の予約システムが苦手だったり不利な状況での予約を避けるのが、本来不要な解決なための手間を削減する意味で重要だと感じています。
また、残念にもそれが難しい場合には、クレジットカードの利用明細や引き落とし金額の確認を徹底し、早期に解決への手続きを開始することで、高額請求トラブルに巻き込まれたことによる傷口をできるだけ広げないというのも基本的なことながらとても大切なのは間違いありません。
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