同じ目的地に同じ飛行時間を要して向かう飛行機の中でも、
- ファーストクラス
- ビジネスクラス
- エコノミークラス
というように分かれているキャビンクラス。
飛行機での旅行では元々予約していたキャビンクラスよりも上位のものを利用できるサービスとして、アップグレードという仕組みが用意され、それをうまく活用することも醍醐味の一つです。
目次
JAL国際線で用意されている5つのアップグレード
そうしたアップグレードの仕組みが用意されているのは、我が家が好んで愛用しているJALの運航する国際線でも同じ。
実際、
- 有償航空券へのマイルを利用した事前アップグレード
- 有償航空券へのマイルを利用した出発当日の空港でのアップグレード
- 特典航空券への追加マイルを利用した出発当日の空港でのアップグレード
- 有償航空券への無償でのインボラアップグレード
- 特典航空券への無償でのインボラアップグレード
というように、航空券の種類やアップグレードの時期、アップグレードのために支払う対価の有無などで、合計5種類に分類されるアップグレードが提供されています。
有償航空券へのマイルを利用したアップグレード
航空券へのアップグレードで最も確実性が高く、一般的なものと言えば、それは間違いなく有償航空券へのマイルを利用したアップグレード。
このアップグレードは、
- 一定以上の予約クラスの有償航空券を対象
- 路線ごとの必要マイル数を追加負担することで、1つ上の上位キャビンクラスが利用可
- エコノミークラスやプレミアムエコノミーからのファーストクラスへの2段階アップグレードは不可
- アップグレード後の航空券利用で加算されるマイルや上級会員ポイントはアップグレード前のもの
- 手続きを行うための手数料負担は不要
といった条件で提供されるサービスです。
これらの条件の中でも、予約クラスによる制限は
ビジネスクラス → ファーストクラス:
- J、C、D、Xの4種類(ツアーなどでの予約・利用は除く)
プレミアムエコノミークラス → ビジネスクラス:
- W、Eの2種類(ツアーなどでの予約・利用は除く)
エコノミークラス → ビジネスクラス:
- Y、B、H、Kの4種類(ツアーなどでの予約・利用は除く)
というように厳しく設定されているため、安価な航空券での利用は元々不可という制限がありますから、いつでも気軽に利用できるものではありません。
しかし、そうした制限が設けられていることと引き換えに、
- 予約と発券が完了した時点から事前アップグレードの手続きが可能
- アップグレードの方が特典航空券よりも提供空席数で優遇
- アップグレード完了後でも無料でキャンセル可能
- 事前アップグレードができなくても、出発当日の空港で開放された空席を利用したアップグレードも可能
- 出発当日の空港では割引されたお得なマイル数での利用も可能
といった形での優遇も用意され、予約クラスの条件さえ満たせるならとても利用しやすいサービスです。
特典航空券への追加マイルを利用した出発当日の空港でのアップグレード
こうしたアップグレードは有償航空券だけのものではなく、マイルを利用して予約・発券を行う特典航空券でも同じようなサービスが提供されています。
それが、特典航空券の出発当日の空港でのアップグレード。
このアップグレードは、
- すべての特典航空券が対象
- 元々の予約とアップグレード先となる1つ上の上位クラスとの必要マイル数の差額を追加で支払うことでアップグレードが可能
- 出発当日の空港のみでの取り扱いとなり、それまでは事前の手続きは不可
- エコノミークラスやプレミアムエコノミーからのファーストクラスへの2段階アップグレードは不可
- 手続きを行うための手数料負担は不要
となっていて、対象となる航空券は幅広いことが大きなメリットですが、その一方で手続きが可能になるのは出発当日の空港のみと、その時に空席が残っているのかという部分が運任せになってしまうのは、状況に応じで事前の手続きも選択可能な有償航空券のアップグレードと比較しても残念なポイントです。
切り替えアップグレードの廃止とその後の代替案
こうして、事前のアップグレードが提供されていない特典航空券へのアップグレードですが、2018年12月4日に実施されたJAL国際線特典航空券PLUSの導入前までは、特典航空券を対象とした事前のアップグレードとして、出発4日前までの切替アップグレードも利用可能でした。
この切り替えアップグレードでは、電話発券手数料(航空券取扱手数料)として2,160円の手数料負担こそ必要だったものの、差額のマイル数さえ支払えるのなら、エコノミークラスやプレミアムエコノミーからのファーストクラスへの2段階アップグレードも可能という、今現在の特典航空券の出発当日の空港でのアップグレードにはないメリットも。
実際、私も繁忙期上位クラス複数人分の予約確保を目的にちょくちょく愛用していたため、JAL国際線特典航空券PLUSの導入と同時に行われたこのサービスの廃止はとても残念な出来事として記憶されることになりました。
そんな特典航空券への事前アップグレードが廃止された今、差額のマイルを支払っての上位クラスへの切り替えが完全にできないのかというと、実はそうではありません。
なぜなら、すでに予約済みの特典航空券としての予約を一度キャンセルし、再度上位クラスの特典航空券を新規の予約として予約し直すことで、最終的には同じ結果を得ることができるから。
ただし、この方法では、すでに廃止された事前の切り替えアップグレードに比べ、
- 手数料負担が廃止前の2,160円から最小で3,100円(ホームページでの手続き時)から最大8,500円(電話での手続き時)まで増加する
- 往復の予約などでは、上位クラスへの切り替えを行わない旅程もキャンセルされた結果、他の利用者に確保されてしまうリスクがある
などのデメリットがあるため、完全に切り替えアップグレードを代替するものではなく、気軽に利用できるものでもなくなってしまっています。
お得で魅力的なインボラアップグレード
そうしたアップグレードの中で、最もお得で魅力的な異色のサービスとして用意されているのが、インボラアップグレード(インボランタリーアップグレード)です。
このインボラアップグレードは追加の料金負担やマイルの負担もなく、より上位のキャビンクラスへの無料アップグレードが提供されるサービスのこと。
実際、エコノミークラスとその1つ上のビジネスクラスはもちろん、ビジネスクラスと最上位となるファーストクラスの間では、運賃の差額自体がとても大きなことから、インボラアップグレードは、数万円から数十万円もの価値がある貴重なサービスなのは間違いありません。
ただし、JALの提供するインボラアップグレードは基本的に上位のキャビンクラスに空席がある時でも、その空席を埋めるように積極的に行われるものではなく、あくまで下位クラスが満席の時に、上級会員などの対象者を絞った上で行われるという性質を持つというのは要注意。
そのため、予約した便が出発当日に満席や満席に近い状況にならない限り、基本的にはインボラアップグレードは提供されないため、想像以上に運任せの要素を持つアップグレードサービスです。
出発当日の空港でのアップグレードとインボラアップグレードの相性
こうした特長を持つインボラアップグレードと特に良好な相性を持つアップグレードといえば、
- 有償航空券へのマイルを利用した出発当日の空港でのアップグレード
- 特典航空券への追加マイルを利用した出発当日の空港でのアップグレード
の2つ。
なぜなら、空港のチェックインカウンターなどで、インボラアップグレードの提供がないとわかった時点からでも、マイルを追加負担することで、上位クラスへのアップグレードが確保できる選択肢が残されているから。
逆に、有償航空券へのマイルを利用した事前アップグレードでは、事前に手続きを完了した時点で、上位クラスへのアップグレードの確保が確定するものの、もしかすると追加マイルの負担なしに提供されていたかもしれないインボラアップグレードのチャンスを無駄にしてしまうというリスクもあります。
もちろん、確実に上位クラスを利用したい時には有償航空券へのマイルを利用した事前アップグレードはとても有能なサービスですが、一方で、上位クラスの利用が必須ではない時には、運試しを兼ねたインボラアップグレードの成否を確認し、その後、追加マイルを支払った上での出発当日の空港でのアップグレードの手続きを希望するというような使い分けもおすすめです。
まとめ
かつては6種類が存在し、今現在は5種類がJALによって提供されているアップグレード。
この5種類のアップグレードは、最終的に上位クラスが利用できるという結果は同じものの、利用できる状況や条件、それに伴うお得度など、それぞれ大きく異なる特長を持っているため、全くの別物に感じられるかもしれません。
しかし、一見別々のサービスとして提供されていると感じるそれぞれのアップグレードでも、
- インボラアップグレードの提供なし → 出発当日の空港でのアップグレードを希望
というように複数のアップグレードを連携させるようにして活用することも十分現実的です。
確かに、シンプルな印象を感じながら気軽に利用できる特典航空券に比べ、アップグレードには複雑なルールや制限が設けられているため、苦手意識を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
それでも、快適な飛行機での利用を実現するための選択肢の1つとして、少しだけ積極的な活用を検討してみるのもおすすめだと思いますよ。
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