一定以上の有償搭乗を積み重ねることで得られる航空会社の上級会員資格。
JALの場合、到達難易度が高い順番に、
- JMBダイヤモンド
- JGCプレミア
- JMBサファイア
- JMBクリスタル
といった4段階のステイタスが用意されています。
さらに、JMBサファイア以上を達成した場合には、専用のクレジットカード年会費を支払い続ける限り、JMBサファイアと同等の優遇が受けられるJGC(JALグローバルクラブ)に入会が可能になるという特殊な特典も提供中です。
目次
JGCで利用できるJMBサファイア同等特典のお得度
一度入会資格を獲得できたなら容易に継続可能というJGCですが、その特典はなかなか絶大です。
なぜならJGC会員には、
- 専用チェックインカウンターによる優先チェックイン
- 専用保安検査場の利用によるスムーズな検査通過
- ラウンジへのアクセス
- 優先搭乗
- 前方座席や非常口の事前座席指定での優遇
- 預入荷物の優先的な返却
といった上級会員らしい快適な搭乗を強力にサポートする数々の優遇が十分に提供されているから。
もちろん、JGCやJMBサファイアの上にはJMBダイヤモンドやJGCプレミアという、より上位の上級会員資格が用意されているため、それらの上級会員資格を保有している利用者にはプラスアルファの特典が用意されているのも事実。
しかし、実際の空港での搭乗に関する優遇で最も重要な骨格部分の多くはJGCやJMBサファイアで提供されているものと多くの部分で共通しているのは見逃せません。
専用チェックインカウンター利用のメリットとあえて利用しない理由
まず、専用チェックインカウンターによる優先チェックインも、羽田空港や成田空港などのJALが拠点とする主要空港からの利用では、JGCやJMBサファイアはJALグローバルクラブ(JGC)カウンターの利用、JMBダイヤモンドやJGCプレミアはJALファーストクラスチェックインカウンターの利用という基本原則こそ存在しているものの、それ以外の空港では実質的にJGCも含めた上級会員はすべてまとめて1種類の優先チェックインカウンターを利用というケースは意外に多く存在しています。
しかも、それぞれの専用のカウンターが用意されている場合でも、1種類のみの上級会員用カウンターが用意されている場合でも、それぞれのカウンターが比較的潤沢に用意されているため、繁忙期の一部の極端な混雑時を除いて、待ち時間はそれほど大きく変わらないと感じています。
また、意外に忘れられてしまっていることですが、例えばJALが国際線向けに用意している
- エコノミークラスチェックインカウンター
- プレミアムエコノミーチェックインカウンター
- ビジネスクラスチェックインカウンター
- JGCチェックインカウンター
- ファーストクラスチェックインカウンター
という最大全5種類のチェックインカウンターのうち、JGCやJMBサファイアは、ファーストクラスチェックインカウンター以外のすべてのカウンターが無条件で利用可能なため、ファーストクラスチェックインカウンター以外に空きを見つけたのならJGCチェックインカウンターの利用にこだわらずにそのまま利用できるという豊富な選択肢を手にしていることになります。
実際、利用するタイミングによってビジネスクラスチェックインカウンターやプレミアムエコノミーチェックインカウンターの方が専用のチェックインカウンターよりもガラガラに空いている時もありますから。
もちろん、JMBダイヤモンドやJGCプレミアが利用可能なファーストクラスチェックインカウンターは、足元を彩る赤ジュータンや少し豪華なカウンターインテリアなど、それ以外のカウンターとは違いが感じられるのは間違いありません。
しかし、ファーストクラスチェックインカウンターにも訓練中と思われる新人が担当として割り当てられることもあれば、ファーストクラスチェックインカウンター以外のカウンターでもインボラアップグレードがしっかり提供されるなど、どのカウンターを利用する場合でも利用に影響を与える大きな違いはないと正直感じています。
JGC・JMBサファイア用とJMBダイヤモンド・JGCプレミア用の優先保安検査共通の快適性と微妙な違い
国内線でも国際線でも一般の保安検査場よりも利用者が限られ、混雑が抑えられている優先保安検査場を利用できるだけで、快適性が大きく向上するのは間違いありません。
しかも、JMBダイヤモンドやJGCプレミアのみを対象にした関西空港国際線の優先扱いのようなごく一部の例外を除いて、国内外の優先保安検査場を設置している空港では、一般的にJGCやJMBサファイアから優先保安検査の利用が可能というのもこの特典の嬉しいポイント。
ただし、JGCとJMBサファイア用のJALグローバルクラブエントランス、JMBダイヤモンドとJGCプレミア用のダイヤモンド・JGCプレミア専用保安検査場というように別々の保安検査場をとして用意されている場合、ダイヤモンド・JGCプレミア専用保安検査場の方に、アクセスや導線などの利便性での優遇に加え、検査時の係員の方による手荷物の扱いや応対での丁寧さの面での快適性や優遇を確かな違いとして感じる方もいらっしゃるかもしれません。
意外に多くの共通点を持つサクララウンジとファーストクラスラウンジ/ダイヤモンドプレミアラウンジ
上級会員に提供される特典の中でも最も分かりやすいものの1つが、ラウンジへのアクセスの存在。
実際、JGCとJMBサファイアには、エコノミークラスや普通席などラウンジアクセスが提供されないクラスでの利用時にもサクララウンジを始めとしたビジネスクラスラウンジ相当のラウンジへのアクセスが提供されています。
一方、サクララウンジの上位には、JMBダイヤモンドやJGCプレミアなどの上級会員に加え、ファーストクラス利用者を対象にした国際線ファーストクラスラウンジや国内線ダイヤモンドプレミアラウンジが用意されているため、サクララウンジ利用者としてはそれら2種類のラウンジ間の差が気になるかもしれません。
しかし、国際線のサクララウンジとファーストクラスラウンジ、そして国内線のサクララウンジとダイヤモンドプレミアラウンジとの差は確かに違いはあるものの、決定的といえるほど大きいものではないというのが実際に2つのラウンジを利用した立場から言えること。
なぜなら、サクララウンジのサービスを基礎としてそれぞれ上位のラウンジサービスを提供していることは国際線でも国内線でも変わりないから。
具体的に、羽田空港国際線のサクララウンジとファーストクラスラウンジで提供されている食事メニューから8月中に提供されているもの同士を比較してみたのが下の表。
ファースト合計 | サクラ合計 | ファーストのみ | サクラのみ | ファースト・サクラ共通 | |
朝食 | 48品 | 27品 | 22品 | 1品 | 26品 |
昼食 | 40品 | 26品 | 15品 | 1品 | 25品 |
夕食 | 44品 | 27品 | 18品 | 1品 | 26品 |
これを見ると、確かにファーストクラスラウンジとサクララウンジでは、ファーストクラスラウンジの方が提供されている料理などの種類が多いものの、その大半はサクララウンジと共通していることがわかります。
実際、メゾンカイザー製のクロワッサンやバゲットをはじめとしたパン類はラインナップがファーストクラスラウンジとサクララウンジですべて同じなのはもちろん、名物と言われるJAL特製オリジナルビーフカレーもどちらのラウンジでも同じように味わうことは可能。
また、寿司としてファーストクラスラウンジでは「焼き鯖押し寿司」と「海老の手まり寿司」の2種類が提供されている一方で、サクララウンジでは「海老の手まり寿司」のみ。
あるいは、サラダラップとしてファーストクラスラウンジでは「ベジタブル&モッツァレラ
」と「ベジタブル&ロースハム」の2種類が提供されている一方で、サクララウンジでは「ベジタブル&ロースハム」のみというように、同じ種類の料理でもファーストクラスラウンジでは2種類以上用意されているといった比較的小さな違いも多く含まれています。
もちろん、一口サイズのおつまみ系の料理に加え、サクララウンジとの差別化の1つと言える、羽田空港での鉄板焼きや成田空港の寿司バーなど、ファーストクラスラウンジでしか楽しめない料理も、時間帯ごとに15~22種類もの差が存在しているため、全く同じと言えるものではありません。
とは言え、搭乗前にはラウンジでの食事を楽しみつつ、飛行機の中では機内食を断った上、ぐっすり眠るなどして身体を休めるという目的のためには、サクララウンジでも十分以上の働きを見せてくれると感じています。
その他、料理以外のサービスでも、
- マッサージチェア:いずれのラウンジでも同じ機種でのサービスを提供中
- シャワー:ファーストクラスラウンジのみ今治タオルと上位アメニティ採用の違いはあり
- 仮眠室:成田空港サクララウンジのみ提供
というように、多少の違いはあるものの、ファーストクラスラウンジとサクララウンジとの間に決定的と言えるほどの大きな違いはありません。
サクララウンジとファーストクラスラウンジ/ダイヤモンドプレミアラウンジとの最大の違いを感じるのは混雑時
こうして提供されている料理のラインナップ的には、十分とすら感じるサクララウンジですが、ファーストクラスラウンジやダイヤモンドプレミアラウンジとの違いを実感することになるのが、不幸にも混雑時にラウンジを利用した時のこと。
なぜなら、ゴールデンウィークや夏休み、年末年始などの繁忙期の中でも、さらに1日に何度か訪れる出発が重なるピーク時のサクララウンジは、壮絶としか言えない混雑具合になるから。
特に、食事を楽しむ場所として指定されているダイニングは混雑を極め、空いている席が見つけられずに席が空くのを待つための行列が出来上がるのはもちろん、ようやく席を確保した後であっても、料理を取るために再び長い長い行列に並ばなくてはいけません。
しかも、そんな状況では、料理の補充が間に合うわけもなく、ほとんどが空っぽの皿が並んでいる様子を眺めるだけに並んでいたというような悲しい事態に陥ることも。
確かに、羽田空港におけるサクララウンジスカイビュー、あるいは成田空港におけるサクララウンジサテライトなど、アクセスの面で出国審査場などからより遠くに立地しているラウンジに移動することで多少は混雑の軽減は見られるのですが、繁忙期&ピーク時には考えることは皆同じで、これらのラウンジも本当に混雑するため、あまり状況は変わりません。
その点、ファーストクラスラウンジでは繁忙期&ピーク時でも、空いてる席確保待ちやその後の料理確保待ちの行列が発生することはなく、サクララウンジに比べるとまだまだゆとりが確保されています。
そういった面はファーストクラスラウンジが確かに優遇されているポイントかも知れません。
そうした傾向は基本的に、国内線のサクララウンジとダイヤモンドプレミアラウンジでも同様です。
JGC・JMBサファイア用の優先搭乗と事前座席指定が持つメリットとデメリット
優先搭乗でもJGCとJMBサファイア用に提供されている特典は、十分実用的で便利なもの。
実際、国際線での優先搭乗と国際線での優先搭乗とを比べてみると、
国際線:
- ファーストクラス利用者、JMBダイヤモンドやJGCプレミアなどのワンワールドエメラルド対象の最優先搭乗の次の優先搭乗を利用可能。
- ビジネスクラス利用者、JMBクリスタルなどのワンワールドルビーなどと同じタイミングでの優先搭乗。
国内線:
- 一般路線はJMBクリスタルを除くすべての上級会員と同じタイミングで優先搭乗となり、並んだ順番での利用。
- 羽田-伊丹線のみファーストクラス利用者、JMBダイヤモンドやJGCプレミアなどのワンワールドエメラルド対象の最優先搭乗の次に優先搭乗を利用可能。
となっていて、特に、羽田-東京線を除く国内線での優遇が際立つ結果になっています。
ちなみに、優先搭乗については、早く搭乗したからといって、機内で過ごす時間が短くなるわけではないという理由で利用するかどうかで賛否があるのですが、我が家の場合、基本的に毎回の搭乗で積極的に活用するようにしています。
その最大の理由は、上級会員資格によって事前座席指定で確保できる非常口席やバルクヘッド席などの足元の広い快適な席は、基本的に機内に持ち込んだほぼすべての荷物を頭上の荷物入れに収める必要があり、そのスペースは上級会員間での争奪戦の様相を呈することもあるから。
しかも、非常口席の中にはすぐ上の荷物入れが子供用の救命胴衣の収納として利用できない席も存在していて、ただでさえ混雑する非常口席周辺の荷物入れの空きスペースがさらに余裕のないものになった結果、空きスペースを求めて機内のあちこちを探し回るという苦行が待っているリスクも。
特に、優先搭乗とは別に最優先搭乗が行われる国際線や一部の国内線は、足元の広い席を確保しているJGCとJMBサファイアにとって、そうしたリスクを高める可能性もあるので少しだけ要注意ですね。
ちなみに、2017年11月に行われたJALの予約システム刷新以降、事前座席指定での優遇は、一部の機材やクラス、座席を除いて、かなりの部分でJMBダイヤモンドとJGCプレミアなどのワンワールドエメラルド、そしてJGCとJMBサファイアのワンワールドサファイアとの間で共通化されたことでメリットが拡大中。
実際、これまではワンワールドエメラルド向けに厳しく制限されてきた飛行機の前方に向かって左側の非常口席なども、基本的にワンワールドサファイアでも自由に事前座席指定で確保することが可能になっています。
まとめ
JMBサファイアと同等の上級会員資格が一度入会資格を獲得できたなら容易に継続可能という特長を持つJGC。
その継続の難易度の低さに比べ、上級会員資格として役立つ特典はそのほぼすべてが網羅され、とても実用性と満足度の高い制度ということがわかります。
確かに、より上位に位置するJMBダイヤモンドとJGCプレミアなどのワンワールドエメラルドと比べると、より高品質で快適性の確保が重視されたサービスを中心に気になる部分もあるものの、実際の利用ではそれほど気にならないと感じる方も意外に多いかもしれません。
もちろん、得られる様々なメリットを考えるとワンワールドエメラルドに到達し、それを常に維持できるのが理想的な形だとは思うものの、意外にJGCでも十分困ることは少ないと感じさせる特典ラインナップでのJAL側によるさじ加減も絶妙で面白いとも感じさせる部分です。
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