国内旅行と比較すると、パスポートの用意が必要なことに加え、安価な運賃で利用可能なLCCが発達する前には、高額な負担が避けられなかった海外旅行は、一般の利用者にとってお手軽とは言えない、少し遠い存在だったのは間違いありません。
そうした事情もあって、クレジットカードに無料で追加されている旅行系のサービスには、国内旅行では利用できない一方で、海外旅行だけで利用できるものも用意されています。
その1つが、空港宅配と呼ばれるサービスの無料提供です。
目次
クレジットカードでの無料の空港宅配
この空港宅配は、元々JAL ABC(ジャル エービーシー)が自宅と空港間をスーツケースなどを運ぶサービスとして有料で提供しているもの。
そのため、無料の空港宅配サービスを提供しているクレジットカードは、JAL ABCと提携することで、利用者側には料金負担がない形でのサービス提供が可能という特長を持っています。
そうした形で提供されるサービスですから、利用者自身が実際にこのサービスを活用するためには、JAL ABCのカウンターなどを訪れ、対応してもらう必要があるのは少しだけ注意が必要ですね。
また、無料の空港宅配といっても、クレジットカードの種類やグレードによって、
- 海外旅行からの帰国時(復路)のみ利用可能
- 海外旅行に出発する出国時(往路)と海外旅行からの帰国時(復路)の往復利用可能
というように、利用できるタイミングはもちろん、無料で発送できる荷物の個数も異なっているため、すでに保有しているカードやこれから保有を検討しているカードなどの条件やその内容をチェックすることはとても重要です。
ちなみに、実際に無料で空港宅配を利用する時には、
- 国際線の搭乗券(Eチケットの控えや帰国時には半券でも可)
- サービス対象の利用者本人名義のクレジットカード(搭乗券と同一名義)
- 宅配伝票(出国時のみ)
などをJAL ABCカウンターのスタッフの方に提示するだけで、問題なくサービスが提供されるため、とてもお手軽なサービスという印象を感じるはず。
無料の空港宅配の活用テクニック
そんな無料で利用可能な空港宅配ですが、お得で効率的な利用するためには、
- 自宅以外の場所での発送/配達
- 複数のカードの同時利用
- スーツケース以外での発送
- ダンボール箱の有料購入
- 配達業者の選択
- 事前に準備した宅配伝票の利用
といったテクニックが存在しているのも事実。
我が家でも、常にこの全てのテクニックを活用しているわけではないのですが、より快適に空港宅配というサービスの利用では、なかなか役に立つため、とても気に入っています。
自宅以外の場所での発送/配達
空港宅配というサービスを利用する上での最大の盲点は、利用者の指定する好きな場所から空港まで、あるいは、空港から利用者の指定する好きな場所までの発送が可能なサービスということかもしれません。
つまり、空港を目的地や発送地にするのであれば、自宅を発送元や配達先に指定する必要はなく、それぞれをそれ以外の職場や親族宅、友人宅、ホテルなどを対象とした利用も問題ありません。
実際、我が家の場合、帰国時の空港で、スーツケースなどの荷物をそのまま自宅に発送するという用途以外にも、しばらく直接会うことがない家族や親族、友人宛に直接お土産などを発送する用途にも活用しています。
複数のカードの同時利用
無料の空港宅配を利用する時に、気になることの1つといえば、複数のサービス対象カードを保有している時の取り扱いかもしれません。
具体的には、一緒に旅行している家族などの同行者が同じように無料の空港宅配対象クレジットカードを保有しているケースはもちろん、1人が複数枚の無料の空港宅配対象クレジットカードを保有しているケースなど。
この場合、無料の空港宅配では、1枚のカードにつき、1回の無料での利用が可能として扱われるため、いずれのケースも、1人ずつの利用者がそれぞれ保有している対象カードの枚数分だけ、問題なく空港宅配を無料で利用することが可能です。
実際に我が家でも、複数枚の対象クレジットカードでの無料の空港宅配を利用して、自分のスーツケースなどの荷物を自宅に送って、自分自身は手ぶらに近い身軽な状態で公共交通機関で帰宅するだけではなく、前述のように、しばらく直接会うことがない家族や親族、友人へのお土産の発送にも活用することも頻繁に行っています。
スーツケース以外での発送
空港宅配と言えば、どうしても大きくて取り扱いに困るスーツケースでの発送を思い浮かべてしまうと思うのですが、実は、サービスの対象はスーツケースに制限されているわけではなく、一般の宅配便で発送できるものであれば、問題なく受け付けてもらえます。
具体的には、一般的なダンボール箱はもちろん、上の写真に写っているような、ある程度の耐久性のある厚手の紙袋などでも問題なく利用可能。
ただし、同じような袋でも、ナイロン製の袋などの運送中の摩擦などで裂けてしまい、中身がバラバラになってしまうような形での梱包ではリスクがあると考えられるのか、他の利用者がJAL ABCカウンターでの受付自体が断られているケースを見かけたことがあるため、少しだけ要注意ですね。
実際には、我が家の場合、前述のようにお土産の発送に無料の空港宅配を利用することも考えられますから、スーツケースの中に厚手の紙袋や小さなダンボール箱をコンパクトに畳んだ状態で常備していたり、ある程度以上のホテルに宿泊することがわかっているのであれば、ホテルで紙袋の提供をお願いした上で現地調達し、帰国後の空港宅配での利用に備えるようにしています。
ダンボール箱の有料購入
こうした形で、スーツケース以外の梱包を利用した発送も可能な無料の空港宅配ですが、発送するための梱包が利用者側であらかじめ用意できないケースも十分考えられます。
そんな時に頼りになるのが、JAL ABC側でカウンターに準備されているダンボール箱。
有料での販売ですが、発送したい荷物の分量に合わせて複数のサイズから選べるようになっていて、最も安価な小さなもので260円からという料金設定。
この追加分の支払いは、クレジットカードや電子マネーなどでの支払いにも対応しています。
もちろん、こうしたダンボール箱を利用する場合、追加のコスト負担は必要ですが、紙袋などとは比べ物にならない高い耐衝撃性による安心感はもちろん、あらかじめ利用者側で紙袋やダンボール箱などの梱包材を用意する必要がないお手軽さを得られるわけですから、十分に価値のあるサービスと感じています。
ちなみに、ガラスのボトルに入ったアルコールなどを送るための専用の運搬箱も販売されているため、実際に我が家でもJALが国際線の機内販売で森伊蔵などの貴重な焼酎を販売するタイミングなどには、空港から自宅までの安心で快適な運搬手段としてなかなか満足しながら活用中です。
配達業者の選択
こうして提供されるJAL ABCでの空港宅配サービスですが、実際に集荷や配達は、宅急便が有名なクロネコヤマト(ヤマト運輸)か、ゆうパックが有名な郵便局(日本郵便)のいずれかが担当することになり、無料の空港宅配の場合、利用者は追加負担無しで自由に好きな方を選ぶことができます。
ちなみに、我が家の場合、宅急便とゆうパックでは、
- 宅急便の方が一般的に料金が高価
- 宅急便の方が再配達や時間帯指定などのサービスが使いやすい
- 宅急便の方が我が家や我が家がお土産などを送る先の営業所で提供されるサービスは高品質
と考えているため、基本的に帰国時の空港からの発送は宅急便の利用を希望しています。
ただし、利用者側が指定しない場合、JAL ABCカウンターの担当スタッフによっては、何の案内もなしにゆうパックでの発送手続きを開始してしまうケースも多く見られるため、手渡された発送伝票への記入を始める前のチェックがおすすめです。
事前に準備した宅配伝票の利用
空港宅配のサービスを利用する中で、最も混雑し、錯綜した状況になってしまうのは、帰国時に発送を行うJAL ABCカウンターです。
もちろん、JAL ABCカウンターでも、空港宅配とそれ以外の携帯電話や海外Wi-Fiなどのレンタルサービスの受付を行うための列を分けるなどの対策を行っているのですが、それでも、最大で数百人も搭乗する飛行機の到着が集中するピーク時には、十数人から数十人程度の空港宅配の受付待ちの列が発生してしまうことも。
こうした状況では、発送用の宅配伝票も、カウンターで落ち着いて記入するということは望めず、
- 宅配伝票
- ボールペン
- クリップボード
だけが手渡され、行列に並んでいる間に、立ったままの不安定な状態で記入するように指示されます。
では、混雑している時のJAL ABCカウンターでは、必ずこうして宅配伝票の記入を行う必要があるのかというと、実はそうではありません。
なぜなら、利用されている宅配伝票は、
- 宅急便とゆうパックのそれぞれにJAL ABC専用のものを用意
- JAL ABC専用の宅配伝票でも、羽田空港、成田空港、中部空港、関西空港ごとに専用のものを用意
という制限はあるものの、利用する予定の空港のJAL ABC専用宅配伝票を用意した上で、JAL ABCカウンターに到着する前に、あらかじめ記入しておくというようなことは問題なく可能だからです。
実際、我が家でも、よく利用する機会のある、
- 羽田空港
- 成田空港
- 関西空港
の3つの主要国際空港については、それぞれの空港ごとに用意されたJAL ABC専用のクロネコヤマトの宅急便を利用するための宅配伝票を次の利用に備えるために複数枚ずつあらかじめもらっておき、一定数のストックを確保するようにしています。
ちなみに、こうした混雑を見せる帰国時に発送を行うJAL ABCカウンターですが、カウンターへの到着がわずか1分早いだけで、その後の待ち時間が10分以上、大きく変わってしまうことも。
そのため、降機後からJAL ABCカウンターまでの移動は、無理がなく、周囲に迷惑をかけない範囲で早足を心がけ、できるだけ早くに到着するようにするのが本当におすすめです。
実際、あまりに混雑し、受付完了までに極端に時間を要することがはっきりしている時など、我が家だけではなく、空港宅配の利用を諦めた方が、そのまま手続きを行うことなく、受付待ちの列から離れるということは、意外に見かける光景の1つですから。
まとめ
対象となるクレジットカードを保有するだけで、海外旅行を楽しむ度に活用可能な無料での空港宅配。
確かに、利用する上でいくつかの注意点も存在するのですが、ちょっとしたテクニックを活用するだけで、それらを十分に上回るメリットを提供してくれるサービスなのは間違いありません。
ちなみに、正規の料金で利用する場合、1回の利用が最も安価な羽田空港や成田空港からの帰国時の利用でさえ、
2,360円(南東北、関東、甲信越、東海、北陸)~4,410円(沖縄)
というように、想像しているよりもずっと高額なコスト負担が必要なサービスですから、せっかく、対象カードの保有などで、無料での利用ができるチャンスが与えられているのであれば、少し積極的に活用してみるのもおすすめだと思いますよ。
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