日本はもちろん、世界規模で猛威をふるっている新型コロナウイルス。
その影響は多岐にわたり、日常生活はもちろんのこと、それ以外の思わぬ場面でも、思いもしない形で遭遇し、驚いてしまうことも十分考えられるほど。
その1つが、航空会社が出発前の空港で提供するラウンジサービスかもしれません。
というのも、出発の前に料理や飲み物を楽しむ機会となるラウンジ利用では、飛沫感染や接触感染のリスクが無視できないものになってしまうこともあって、その対策は不可避。
その結果、利用者にとって全く想定したことのない厳しいものになってしまうことも十分考えられるから。
目次
JALサクララウンジ(成田空港第2ターミナル本館)
JALを含む、ワンワールドを中心とした航空会社が集結する成田空港第2ターミナルには、ワンワールドの航空会社の利用者がアクセスできる、
- JALファーストクラスラウンジ(本館)
- JALサクララウンジ(本館)
- アメリカン航空・アドミラルズクラブ(本館)
- キャセイパシフィック航空ラウンジ
- JALファーストクラスラウンジ(サテライト)
- JALサクララウンジラウンジ(サテライト)
- カンタス航空ラウンジ
の合計7種類のラウンジのうち、サービス面で最も影響を受けているラウンジと言えるのは、間違いなく本館にあるJALサクララウンジです。
このサクララウンジはこれから国際線に搭乗する利用者の中でも、
- 国際線ファーストクラス利用者とその同伴者1名
- ワンワールドエメラルド相当の上級会員とその同伴者1名
- ビジネスクラス利用者
- ワンワールドサファイア相当の上級会員とその同伴者1名
- プレミアムエコノミー利用者(当日有償アップグレードを除く)
- エコノミークラスFlex Y運賃利用者
などの条件を満たす場合に利用できるラウンジとして運営され、搭乗前のひとときを楽しむ目的で、名物のJALオリジナルカレーを始めとした日本を感じさせる料理、さらにはこだわりを感じる日本酒ラインナップを始めとした各種アルコールラインナップなど、ビジネスクラスラウンジ相当のラウンジとして頑張っていると感じるサービスが提供されてきました。
しかし、そんなJALが誇るサクララウンジにも、大きな変化がもたらされることになりました。
具体的には、新型コロナウイルスによる飛沫感染を防ぐ目的で、これまでの通常時に提供されてきたビュッフェスタイルでの料理の提供が休止されてしまったから。
その結果、通常時にはJALオリジナルカレーはもちろん、様々なホットミールが並べられているはずのビュッフェ台には、デニッシュやスコーン、マフィンなどのパン類やパン系のスイーツが小分けになったラップ済みの状態で並ぶという普段からは到底考えられないような状況を目撃することになります。
もちろん、料理と言えるものも用意されているのですが、冷蔵した状態での提供が可能なエリアに
- ラップサンド(ケール&シーザーチキン)
- 生春巻き(海老&蒸し鶏)
があるのみ。
また、アルコールについても、元々専用のサーバーが用意されていることで、利用者間の接触感染のリスクが少ない生ビールを除き、それ以外のラインナップについてのセルフサービスでの利用は固く禁じられた結果、利用者がアルコールを提供するためのカウンターに常駐するラウンジスタッフに殺到するような状況に。
この様子を最初に見た時には、私自身、かなりの衝撃を受けたことを覚えています。
というのも、本来は格上となるはずの国際線サクララウンジが、まるでJALが国内線利用者向けのラウンジとして、軽食を提供しているダイヤモンドプレミアムラウンジと、かなりの部分で同等という印象を感じることになってしまったから。
実際、せっかくサクララウンジを訪れた利用者の中には、期待したようなラインナップの料理や楽しみにしていた形でのアルコールの提供がないとわかると、そそくさとラウンジを後にする方も多く見られるほど。
ちなみに、こうしたサービスはサクララウンジ内のダイニングやその階下にあるラウンジエリアのみの提供に制限され、それ以外の場所では、せっかく冷蔵庫やビールサーバー、コーヒーマシンが設置されていても稼働自体が行われておらず、利用できないようになっていることも。
このことからは、様々な理由から人手を要する状況に対応するために、サービス提供を担うラウンジスタッフを一定エリア内に集中させているというJAL側の意図が読み取れるようでした。
JALファーストクラスラウンジ(成田空港第2ターミナル本館)
そうしたサクララウンジとの明暗がはっきりと分かれることになったのが、同じJALが運営し、立地面でも同じ成田空港第2ターミナル本館で隣り合っている、JALファーストクラスラウンジ。
というのも、成田空港第2ターミナル本館のJALファーストクラスラウンジでは、一部提供が中止された料理や提供方法は存在するものの、それ以外の料理や飲み物、サービスの多くは、利用可能な状況が維持されていたから。
そうした状況に大きな貢献をしていたのは、利用者が注文を行った後にラウンジスタッフが料理を用意する形での提供が行われているJAL’s Tableの存在です。
成田空港第2ターミナル本館のJALファーストクラスラウンジにはこのサービスが用意されていたため、ビュッフェ形式での提供が制限された状況でも、実質的に大きな制限を受けずに済んだのは間違いありません。
実際、そうしたメリットを応用する形で、普段は利用者自身が自由に取り分けて楽しむタイプの料理なども、新型コロナウイルス対策の臨時対応として、ガラスケースの中に収めた上で用意し、ラウンジスタッフがお皿に取ってくれるようになりました。
そうした傾向は、通常時、セルフサービスでの利用が可能だったJALオリジナルカレーも同様。
カレーを専属で担当されるラウンジスタッフの方が、
- ご飯の分量
- カレールウの分量
- ご飯とカレーのバランス
- 福神漬けやらっきょうの有無や分量
などを簡単に尋ねた上で盛り付けてくれます。
サクララウンジでも同様の方法を採用するのなら、少なくとも楽しみにしている利用者が多い、JALオリジナルカレーは提供できるかもしれないと思うものの、実際にサービスを提供し、それを維持するための人手の部分での負担をJAL側としては看過できず、あくまでJALファーストクラスラウンジ限定のサービスに指定されたのかもしえませんね。
さらに、成田空港のJALファーストクラスラウンジを利用する際のお楽しみの1つ、「鮨 鶴亭」の寿司職人の方々による握りたて寿司の提供サービスも、職人の方々が使い捨てタイプの薄手ゴム手袋を装着した上で寿司の調理を行うなど、衛生面に細心の注意を払った上で、サービスが継続されていました。
そんなファーストクラスラウンジにも特別対応に伴って用意されていないメニューとしては、チーズ盛り合わせやローストビーフなどの小さなお皿に綺麗に盛り付けられた状態で提供されるおつまみや前菜もあるのですが、それ以外の料理がほぼ通常通りに提供されていることを考えると軽微な影響と感じる方も多いはずです。
一方で、直接的な不便を感じるという意味で少し要注意なのが主にアルコールを中心とした飲み物の提供。
なぜなら、最も飲み物が充実しているJAL’s salon以外はファーストクラスラウンジ内のそれぞれのエリアで楽しめる飲み物の種類が制限されてしまっているから。
特に、JALファーストクラスラウンジの4階にある、
- JAL’s Table
- 鮨 鶴亭
など、提供される料理と一緒にお酒を楽しみたいと感じることも多いエリアには、
- ビール(ビールサーバー利用)
- 各種ソフトドリンク(ドリンクサーバー利用)
- 缶入り炭酸水や瓶入りトニックウォーター(冷蔵庫利用)
- ヤクルト(4階ラウンジエリアの冷蔵庫限定)
など、一部の飲み物のラインナップが用意されるのみという残念な状況。
それ以外のアルコールを中心とした飲み物を希望する場合には、JALファーストクラスラウンジ3階にある、JAL’s salonを訪れなくてはいけないという制限があるため、充実した料理と充実した飲み物を同じタイミングに楽しむことは不可能ですから、現在のJALファーストクラスラウンジでの快適な利用を妨げてしまう意外に気になる弱点と言えるかもしれません。
そうした制限は、JALファーストクラスラウンジの飲み物を代表するアルコールとしても注目される、厳選された日本酒のセレクションやシャンパンのローランペリエもしっかり影響を受けてしまいます。
実際、普段は日本酒ラインナップが並んでいるはずの台の上には、通常のサービスが提供できないことをお詫びするJAL側のメッセージがあるのみ。
一方で、普段はローランペリエを始めとしたシャンパンや赤白のワインが華やかに並ぶ隣のコーナーも同様。
いつもなら小分けになった状態で小皿に盛り付けられているちょっとした前菜やおつまみが用意されているコーナーもぽっかりスペースが空き、ビールのサーバーと中身がガランとした冷蔵庫が残されているだけです。
ちなみにこうした状況でもJALファーストクラスラウンジ4階の最奥に位置するマッサージ機なども備えられたラウンジエリアの冷蔵庫には、元々個包装の製品として提供されてきたヤクルトが数量限定で用意されているのは変わらずですから、ヤクルトが好きな方は早めのタイミングで一度チェックしてみるのがおすすめです。
現在のJALファーストクラスラウンジの飲み物提供の重要な部分を担当するJAL’s salonですが、他のエリア同様、寂しげな状況になっているのは他とも同様です。
様々なアルコールも含めた飲み物が並べられていた台の上もすっきりしてしまっていて悲しいほど。
もちろん、ここJAL’s salonでも、ソフトドリンクやコーヒー類などを除き、利用者自身が飲み物を用意することは認められていないため、必ずJAL’s salon内のバーカウンターに常駐するラウンジスタッフの方にお願いすることになります。
ただ、JAL’s salon内で提供される飲み物のサービスについては、通常時と全く遜色なく、最も元々予定されていたメニューなど予定通り提供されるというのはちょっとした安心感のようなものを感じさせてくれるはずです。
ちなみに、同じJAL運営のラウンジでもサクララウンジにはない、ファーストクラスラウンジ限定の無料サービス、ジョンロブによる靴磨きサービスも問題なく利用可能でした。
サテライトのJALファーストクラスラウンジとサクララウンジの終日閉鎖
このような形で普段とは異なる形のサービスが提供されるJALファーストクラスラウンジとサクララウンジですが、気になるのがサテライトにも用意されたそれら2つのラウンジの存在かもしれません。
というのも、本館とサテライトにあるファーストクラスラウンジとサクララウンジは、
営業時間
- 本館:07:30~22:00
- サテライト:07:30~11:00、15:00~19:30
サービス内容:
- ファーストクラスラウンジ:握り寿司や靴磨きは本館のみ
- サクララウンジ:シャワーサービスは本館のみ
というように、営業時間やサービスにも細かな違いがあり、ラウンジ入室時の受付も別途行う必要があるなど、本館とは全く別のラウンジとしてサテライトでのサービス提供が行われているから。
ただし、今回の新型コロナウイルスによる特別な対応に関して、サテライトにあるJALラウンジは、ファーストクラスラウンジもサクララウンジも終日閉鎖されてしまっているため、残念ながら本館との違いに期待することはできません。
サービス低下が著しいサクララウンジからの避難先はワンワールドラウンジ
成田空港第2ターミナル本館でJALが運営するファーストクラスラウンジとサクララウンジのうち、特にサービスの低下が深刻なサクララウンジ利用者にとって、そうした残念な状況をただただ受け入れなくてはいけないのかというと、実はそうではありません。
なぜなら、成田空港第2ターミナルの本館とサテライトには、サクララウンジと同等のビジネスクラス相当のラウンジとして、
- アメリカン航空アドミラルズクラブ(本館)
- キャセイパシフィック航空ラウンジ(本館)
- カンタス航空ラウンジ(サテライト)
の3種類がワンワールドの他の会社によって他にも用意され、一部の例外を除き、サクララウンジを利用可能な対象者は、それらのラウンジも自由に利用できるようになっているから。
実際、これらのラウンジ内では、サクララウンジでの制限やサービスの低下が嘘のように、ビュッフェ式の料理や食材が並び、アルコールを含めた飲み物も利用者自身が自由に楽しめる、まさにいつもどおりのサービスがラウンジ内で提供されています。
もちろん、通常時には、料理のラインナップや質などで、サクララウンジの方が優れているケースも多く、サクララウンジさえ利用できれば大丈夫というケースも十分考えられるのですが、今はこれらのラウンジに対し、サクララウンジが料理や飲み物のサービスの面で勝ることはありません。
そのため、残念な印象を感じながらあまりに寂しい料理ラインナップのサクララウンジを訪れ、そこでがっかりするのであれば、最初から他のラウンジにアクセスしてしまうのがおすすめです。
ただし、サクララウンジも、それ以外のワンワールドのラウンジも利用可能なのは
- 国際線ファーストクラス利用者とその同伴者1名
- ワンワールドエメラルド相当の上級会員とその同伴者1名
- ビジネスクラス利用者
- ワンワールドサファイア相当の上級会員とその同伴者1名
に限られ、
- プレミアムエコノミー利用者(当日有償アップグレードを除く)
- エコノミークラスFlex Y運賃利用者
といった基本的に自社のラウンジだけでの優遇が認められている種類の航空券を利用している場合には基本的に他のワンワールドのラウンジの利用が不可とされますから注意が必要です。
逆に、ビジネスクラス以上の上位クラスに搭乗したり、JMBサファイアを含むンワールドサファイア以上に相当するステイタスを保有している場合には、搭乗クラスやステイタスが反映された搭乗券をラウンジ受付でラウンジスタッフの方に提示するだけで入室が認められますから、とても気軽な利用が可能という意味で嬉しいメリットになるはず。
おまけで国内線ダイヤモンドプレミアラウンジの現状
このように、サクララウンジを中心になかなかすごい状況になっている成田空港第2ターミナルですが、JALが運営する国内線用のダイヤモンドプレミアラウンジも、サービスの低下という意味では、驚く方も多いはず。
実際、羽田空港第1ターミナルのJALダイヤモンドプレミアラウンジでは、
- 味噌汁
- 各種スープ
- メゾンカイザーの各種パン
- JALオリジナルカレーパン
- 割れせんべい
- 柿の種
といった軽食やおつまみの提供が中止されています。
その結果、ダイヤモンドプレミアラウンジ内に並んでいる軽食としては2種類程度のおにぎりのみ。
この他には、元々個包装になっているJALのロゴ付きのキャンディーが用意されているものの、かなり寂しい状況なのは間違いありません。
こうした軽食やおつまみのサービスの他に、飲み物も意外に影響が感じられます。
国際線のファーストクラスラウンジやサクララウンジ同様、ビールやソフトドリンクのサーバーは問題なく利用可能です。
しかし、通常は冷蔵庫内やその周辺で常温のまま用意されていた、
- ポカリスエット イオンウォーター
- ミネラルウォーター
- スカイタイム
- 烏龍茶
- トマトジュース
- 牛乳
- ウイスキー
- 焼酎
といった利用者自身が自由に楽しめるタイプの飲み物は軒並み姿を消していました。
その代わりに急遽登場したのが、瓶や缶が利用された高品質な飲み物。
具体的には、
- トマトジュース 岳人(北海道余市渡辺農園製)
- コカ・コーラ エナジー
- 山形代表 ラ・フランスジューズ(山形県SUN&LIV製)
といった少し高価で高品質な飲み物が冷蔵庫で提供されました。
この中では、国内線ファーストクラスにも採用されたトマトジュースの岳人を口にした時の飲みやすさと味の深みのバランスが好みで、特に気に入りました。
ただし、これらのサービスはコストと在庫の関係で、頻繁に変更が加えられるようで、数日前には提供されていた高品質なジュース類があっさり消え去っていたなんてことも十分ありえることです。
実際、これらの高品質なジュース類を確認後、数日が経過したタイミングでダイヤモンドプレミアラウンジを訪れてみると、在庫払底による提供終了という残念な結果になっていましたから。
まとめ
思いもしない形で大小様々な影響を与える新型コロナウイルス。
それはラウンジで提供されるサービスにもあまりに大きな傷跡を残すに至ったのは間違いありません。
特に、成田空港第2ターミナル本館にあるサクララウンジは、そのサービス低下が著しく、結果的に、お隣りにあるファーストクラスラウンジとは、あまりに大きな差がつけられる事態に陥ってしまったほど。
ただし、サクララウンジを利用できる方の多くは、一部の例外を除いて、同じ成田空港第2ターミナル内にある、
- アメリカン航空アドミラルズクラブ(本館)
- キャセイパシフィック航空ラウンジ(本館)
- カンタス航空ラウンジ(サテライト)
といった他のワンワールドのラウンジにも自由&無料でのアクセスが認められていますから、こうした状況のときだからこそ、ただただサクララウンジにこだわるのではなく、これまであまり利用を検討していなかった他のラウンジにも目を向け、避難先として少し積極的に活用してみるのも面白いと思いますよ。
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