JAL国際線特典航空券PLUS導入はJALが生まれ変わると表現するくらいの特典航空券の大変動(2018年12月実施の改悪内容、予約変更とキャンセル待ちが消滅する意味、JAL国際線特典航空券PLUSのお得度と使い分け、改悪実施前&実施後にできる対策)

コツコツと貯めたマイルを利用して特典航空券の予約を考える時、最も警戒しなくてはいけないものの1つが改悪の存在。

実際、多くのマイルを必要とする旅程での予約を考えている場合、現状のルールがそのまま予約手続きを行うタイミングまでの存続を前提にした計画を進めることが多くなる関係上、その前提となる特典航空券のルールに改悪が実施された時のダメージは想像以上に大きなものになってしまうのは避けられません。

そうした大きな影響を与える可能性が十分考えられるルール変更の2018年12月実施予定をJALが発表しました。

JAL JMBダイヤモンドとJGCプレミアの違いとお得度(共通特典とメリット、JMBダイヤモンドだけの魅力、高頻度の隣席ブロック&インボラアップグレード、高い自由度のパートナーステイタス、JGCプレミアで十分な条件、JMBダイヤモンドを維持する理由)
JAL JMBダイヤモンドのインボラアップグレード(過酷な満席エコノミークラス便予約のメリット、最終防衛ラインは事前座席指定、おすすめな45A非常口席、「この予約はJALホームページではお取扱いできません」エラーでの事前確定通知、Eチケット印刷問題、厳しい条件で成功例)

2018年12月実施のJAL国際線特典航空券ルール変更の中身解説

今回発表された2018年12月に実施予定のルール変更はいずれもJAL運航便のみを利用するJAL国際線特典航空券を対象にしたものです。

つまり、JAL国際線特典航空券以外の、

  • JMB提携航空会社特典航空券(JALと個別に提携している航空会社運航便を利用する国際線特典航空券)
  • ワンワールド特典航空券(JALも含めたワンワールドに加盟する航空会社運航便を利用する国際線特典航空券)
  • JAL国際線アップグレード特典(予約クラスの高いエコノミークラス以上の有償航空券をマイルを利用して上位クラスにアップグレードする特典)

のいずれも、今回のルール変更の影響を受けることはありません。

ただし、ルール変更の対象になってしまったJAL国際線特典航空券では、JALによる「JAL国際線特典航空券が生まれ変わります」という表現が大げさではないほど、大規模な改悪を含め変更の嵐が吹き荒れることになりました。

具体的な変更点としては、

  • 予約変更の廃止
  • 空席状況によって通常の必要マイル数よりも割増されたマイル数を支払うことで特典航空券が予約できる「JAL国際線特典航空券PLUS」の導入
  • キャンセル待ちの廃止(ファーストクラス以外)
  • ファーストクラスと他のクラスの組み合わせた旅程での予約不可
  • 海外発日本経由旅程のJAL国際線特典航空券の廃止
  • 発券後の空席のある上位クラスへの切り替えアップグレードでの手数料増加
  • 一部路線での通常の必要マイル数の減少

という7つが発表されています。

JAL国際線特典航空券PLUSの導入はJALマイル離れを強いる決定的な改悪だったのか(注目のファーストクラスや出発直前期の開放制限、誰でも使えるダイヤモンド特典航空券、PLUSの割増マイルと有償航空券の予約クラス)

特典航空券を象徴する特長の1つ、予約変更の自由度があっさり消滅

こうした7つのルール変更の中で、私が最も影響の大きいと考えているものは、予約変更の廃止。

なぜなら、特典航空券は航空券利用のルール的にも有償での購入では最も高額になる普通運賃(フレックス運賃)に近い性質を持つもので、その一環として、有効期限内に同じ区間に空席さえあれば制限なく予約変更が可能という自由度が大きな魅力だったからです。

それが、2018年12月のルール変更では容赦なく廃止されることに。

つまり、JAL国際線特典航空券の根幹となる部分に手を加える大規模な改悪が現実のものとなってしまったわけで、この変更内容を知った時には数秒間、固まってしまいました。

しかも、改悪実施後に一度予約と発券が完了したJAL国際線特典航空券の予約変更を希望する時には、すでに確保している特典航空券をキャンセルし、再度新規の予約として手続きを進めなくてはいけません。

結果、この改悪によって、

  • 予約変更毎にキャンセル手数料として3,100円の手数料負担を回避不可
  • キャンセル時に有効期限切れのマイルはそのまま失効になるため、有効期限直前のとりあえず予約での延命は不可
  • 往復で予約していて、その片道分だけ予約変更したい場合、キャンセル→新規発券の間に、予約変更を希望せずにそのまま確保していたかった片道分の空席を他の利用者に確保されてしまうリスクにさらされる

という、これまでのJAL国際線特典航空券の利用では心配する必要もなかった種類のデメリットを背負うことになりました。

JAL国際線特典航空券PLUS導入とキャンセル待ちの廃止が同時に行われる意味

2018年12月に実施されるルール変更の中で最も目を引く存在と言えば、JAL国際線特典航空券PLUSという全く新しい特典航空券のルールなのは間違いないでしょう。

これは、これまでの通常必要マイル数で提供されていた特典枠に空きがない場合でも、一律でキャンセル待ちとして扱われるのではなく、空席状況に応じた追加の必要マイル数を支払うことで、ファーストクラスを除くクラスの特典航空券が確保できるようになるというサービスです。

そして、このJAL国際線特典航空券PLUSの導入と時を同じくして、キャンセル待ちは予約変更と同様、姿を消すことになります。

これはどういうことなのかというと、JAL国際線特典航空券PLUSが導入される2018年12月以降は、マイルさえあればファーストクラス以外のクラスの特典航空券が満席などの特別な事情があるときを除いて、いつでも予約できるようになるということです。

つまり、特典航空券として開放される空席枠に大きな動きが生じる1ヶ月前から1週間前の出発直前期までキャンセル待ちで待ち続けることなく、その時その時に提示される割増分を含めた必要マイル数を元に、予約するのか予約しないのかを判断し、その場で旅行への出発を確定できるようになります。

こうした変更内容だけを見ると、せっかくマイルを貯めても、特典枠に空席がなく特典航空券としての利用ができないという方にとっては嬉しい改善と感じられるかもしれません。

しかし、ここで注意しなくてはいけないのは、これまでの必要マイル数に対してさらに追加で必要になる割増分のマイル数の存在。

というのも、今現在発表されている通常の必要マイル数(基本マイル数)に対するJAL国際線特典航空券PLUS利用時の片道での必要マイル数は、

エコノミークラス

  • 韓国:基本マイル数 7,500マイル → PLUS最大 34,000マイル(約4.5倍)
  • アジア1:基本マイル数 8,500~10,000マイル → PLUS最大 78,000マイル(約7.8~9.2倍)
  • グアム:基本マイル数 10,000マイル → PLUS最大 59,000マイル(約5.9倍)
  • アジア2:基本マイル数 12,000~17,500マイル → PLUS最大 93,000マイル(約5.3~7.8倍)
  • オセアニア:基本マイル数 18,000~20,000マイル → PLUS最大 74,000マイル(約3.7~4.1倍)
  • ロシア:基本マイル数 17,500マイル → PLUS最大 128,000マイル(約7.3倍)
  • ヨーロッパ:基本マイル数 23,000~26,000マイル → PLUS最大 141,000マイル(約5.4~6.1倍)
  • ハワイ:基本マイル数 20,000マイル → PLUS最大 114,000マイル(約7.1倍)
  • 北米:基本マイル数 25,000マイル → PLUS最大 135,000マイル(5.4倍)

ビジネスクラス

  • 韓国:基本マイル数 18,000マイル → PLUS最大 48,000マイル(約2.7倍)
  • アジア1:基本マイル数 24,000マイル → PLUS最大 99,000マイル(約4.1倍)
  • グアム:基本マイル数 22,500マイル → PLUS最大 90,000マイル(4倍)
  • アジア2:基本マイル数 40,000マイル → PLUS最大 246,000マイル(約6.2倍)
  • オセアニア:基本マイル数 40,000マイル → PLUS最大 181,000マイル(約4.5倍)
  • ロシア:基本マイル数 40,000マイル → PLUS最大 261,000マイル(約6.5倍)
  • ヨーロッパ:基本マイル数 55,000マイル → PLUS最大 391,000マイル(約7.1倍)
  • ハワイ:基本マイル数 40,000マイル → PLUS最大 224,000マイル(5.6倍)
  • 北米:基本マイル数 50,000マイル → PLUS最大 394,000マイル(約7.9倍)

となっていて、とても割安なものとは言えない状況になっているから。

特に、通常の必要マイル数とJAL国際線特典航空券PLUS利用時に最大で必要になるマイル数を比べてみると、最も少ない韓国線ビジネスクラスでも約2.7倍。

最も割高になるアジア1のエコノミークラスでは約9.2倍となっていて、これは片道分の利用1回のために通常の必要マイル数なら9回以上の片道分の予約を確保できるだけのマイル数です。

少なくとも最大に近いレベルの必要マイル数でしかJAL国際線特典航空券PLUSが利用できないのであれば、JAL国際線特典航空券の代わりとして気軽に利用できるサービスではないというのが私の正直な感想です。

JAL国際線特典航空券PLUSのお得な活用方法と使い分け

では、JAL国際線特典航空券PLUSは全く活用できないサービスなのかというと、実はそうとも考えてはいません。

なぜなら、JAL国際線特典航空券PLUSの比較対象は通常の必要マイル数で予約を検討するJAL国際線特典航空券ではないと感じているから。

実際、JAL国際線特典航空券PLUSの割高と感じる必要マイル数に注目してみると、その一部はマイルをeJALポイントなどに交換し、有償航空券として購入する時の必要マイル数にそれなりに近い設定になっていることが分かるはずです。

つまり、JAL国際線特典航空券PLUSはマイルを潤沢に保有しているにも関わらず、希望する旅程で特典航空券としての空席枠がないために、マイルを死蔵しているような利用者を対象に、eJALポイントへの交換の手間などを省いた上で、ノンストップでいつでも希望する特典航空券を予約できるようにするためのサービスと言いかえることもできるかもしれません。

また、マイルからeJALポイントへの交換を行った上で予約する有償航空券と、あくまでマイルをそのまま利用して特典航空券として予約するJAL国際線特典航空券PLUSでは、

  • キャンセル時の手数料負担
  • 搭乗マイルの加算
  • 上級会員資格用のポイント、FOPの加算

などは大きく異なりますから、何を重視するのかを元に使い分けるという付き合い方も考えられますね。

ファーストクラスの予約難易度上昇を予想する理由

今回発表された変更で個人的に気になったのは、

  • ファーストクラスのみキャンセル待ちの利用継続が可能
  • ファーストクラスのみ他のクラスとの組み合わせた往復予約不可

というように、ファーストクラスと他のクラスとは別の扱いになっているということでした。

こうした特別扱いが行われている時には、目に見える形での変更以外でも、それ以外に何らかの変更が行われるリスクも考える必要があるかもしれません。

例えば、特典航空券として元々開放される空席枠が絞られ、330日前の予約受付開始直後でもこれまでのように最低2席の提供が行われなくなった結果、ファーストクラスの予約自体が難しくなるというようなことです。

JALマイルの使い道として国際線ファーストクラスでの利用を最も気に入っている我が家としては、これが最も恐れている事態です。

JAL国際線特典航空券PLUS導入&改悪実施前にできる対策

このように、個人的には展望が明るいとは正直言えない2018年12月のJAL国際線特典航空券PLUS導入に伴う改悪。

現状、JALマイルを貯めている利用者側で実行できる対策としては、

改悪実施前に可能な限り新規予約と発券

を完了するという戦略が考えられます。

なぜなら、改悪実施前に新規予約と発券を行うというのは、特典航空券の特長の1つでもあった予約変更が不可になるのは改悪実施後に発券が行われた特典航空券というルールがあるからです。

そのため、改悪実施前までに発券まで完了した予約は、2018年12月以降も発券完了した日から1年間の有効期限内であれば、これまで同様自由に予約変更が可能。

また、JAL国際線特典航空券PLUS導入と同時期に実施される海外発日本経由旅程のJAL国際線特典航空券の廃止や発券後の空席のある上位クラスへの切り替えアップグレードでの手数料増加も、改悪実施前に発券まで完了しているのであれば、改悪の影響を受けることなくこれまでと同じルール内で活用できます。

もちろん、JALマイルを利用した国際線特典航空券は330日前からしか予約できないという制限があるため、対策を取ることのできる残り期間に限界はあります。

しかし、往復での予約に限っては有効期限が第一区間出発日から1年間という意外に長い時間が確保されていますから、予約変更可能な予約を改悪直前期にできるだけ長く延命できる形でとりあえず発券してみるというのも選択肢として考えてみる価値はあるはずです。

改悪実施後のJAL国際線特典航空券との上手な付き合い方

改悪が実施されてしまった後は、そうした状況を受け入れ、できるだけ悪影響を受けないように対策する必要があります。

具体的には、

  • 予約変更の可能性のある予約を行う時は往復ではなく片道ずつで予約と発券を行う
  • JMB提携航空会社特典航空券やワンワールド特典航空券を活用する

という2つ。

まず、予約変更の可能性のある予約を行う時は往復ではなく片道ずつで予約と発券を行うというのは改悪実施後に警戒しなくてはいけない、往復予約での予約変更に伴うキャンセル時に全く他の利用者にせっかく確保していた特典枠を確保されてしまうリスクをゼロにするためには、今後必要になる工夫かもしれません。

もちろん、現在のようにキャンセルなどで空席が発生した時に自動的に確保されてしまうキャンセル待ちが廃止された後のことですから、キャンセル=空席枠の喪失ということにはならないものの、タイミング悪くキャンセルした直後のタイミングで特典航空券の予約を試みた他の利用者がいた場合はあっさり空席を失ってしまうのは避けられない以上、少なくとも私は対策を忘れないようにするはず。

あるいは、どうしても往復で予約しなくてはいけない事情があった特典航空券の予約変更を行う時には、万全を期すために、国際線の予約デスクに電話し、担当のオペレーターの方に手続きを行ってもらうかもしれません。

ただし、その場合、同じく2018年12月19日から現状の2,160円から5,400円へと2倍以上の値上げが発表されている航空券取扱手数料の負担が必要ですが、必要経費として諦めるしかないですね。

また、今後改悪によってJAL国際線特典航空券の魅力が低下したと感じたのであれば、JAL国際線特典航空券に拘る必要はなく、それ以外のJMB提携航空会社特典航空券やワンワールド特典航空券を活用するというのも魅力的な選択肢です。

特に、JMB提携航空会社特典航空券については、羽田空港や成田空港、中部国際空港、関西空港など、大きな国際空港が最寄り空港という方にとって、海外での乗継便を追加できる点で、日本国内線しか追加できないJAL国際線特典航空券よりも有効利用できる可能性があるもの事実。

また、ワンワールド特典航空券も、JAL国際線特典航空券やJMB提携航空会社特典航空券よりも必要マイル数としては多少割高になってしまうものの、改悪前の古き良きJAL国際線特典航空券の自由度と魅力をそのまま残す貴重な選択肢として活用できる機会もあるはずです。

実際、羽田空港が最寄り空港の我が家の場合、JAL国際線特典航空券PLUSのお得度や使い勝手を見極めつつも、海外に到着後の乗り継ぎが便利なJMB提携航空会社特典航空券や予約変更の自由度が失われていないことが魅力のワンワールド特典の利用に軸足を移していくことになるかもしれません。

まとめ

JAL側による「JAL国際線特典航空券が生まれ変わります」という表現が大げさではないほど、大きな影響を与える改悪を含めた変更が行われる2018年12月。

この改悪実施前と改悪実施後では、間違いなくJAL国際線特典航空券との付き合い方はがらりと変わることが予想されます。

ただし、その実施までには少なく見積もっても5ヶ月弱の時間は残されていますから、改悪が行われる前の時期だからこそ可能な、良い条件での新規発券などを可能な限り進め、改悪実施後は希少となる予約を確保するなどの対策は間違いなく大切。

また、改悪実施後は大きなルール変更を経たJAL国際線特典航空券と、それまで当たり前だったこれまでのルールで利用できるJMB提携航空会社特典航空券やワンワールド特典航空券という2つの特典航空券との間では、大きすぎる特長の違いが生まれてしまう結果、その使い分けもこれまで以上に重要です。

もちろん、現時点では発表されていないことやおそらくJAL側としても決定していないことなどもあると予想されるため、ベストな対策は移り変わっていく可能性もあるのですが、JALマイルを貯め、それをJAL国際線特典航空券に活用しているという方には、実際に変更が実施されるまでの間、今回の改悪に関わる大小様々な動きに少しだけ注目しておくのがおすすめだと思いますよ。

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