JALマイルの使い道として最も魅力的な存在の1つと言える、特典航空券。
特に、特典航空券として国際線のファーストクラスやビジネスクラスを利用する場合、マイルの価値は大きく跳ね上がり、その満足度もけた違いに大きなものになるのは間違いありません。
ただし、そうした国際線のファーストクラスやビジネスクラスといった上位クラスを特典航空券で予約する場合、最もリーズナブルなエコノミークラスの数倍のマイルが必要になるのはもちろん、JALマイルの場合、一部の例外を除いて、通常は3年の有効期限が設けられていますから、コツコツと長い時間をかけて大量のマイルを貯めることが制限されている以上、特典航空券での上位クラス利用を最初から諦めてしまうという方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、上位クラスの特典航空券予約に必要な数万マイルや十数万マイル、あるいは数十万マイルといった膨大なマイル数を前に、諦めたくなる気持ちも理解できないものではないのですが、実際に諦めてしまう前に活用する価値のあるサービスが、JALマイルには用意されています。
それが、JALカード家族プログラムです。
目次
JALカード家族プログラムの魅力
このJALカード家族プログラムというサービスを一言で表現するなら、それは家族内でのマイル共有です。
というのも、JALマイルでは家族であっても、それぞれの家族が貯めたマイルはそれぞれの家族のマイル口座に積算され、家族内で自由に譲渡したりすることはできないルールになっています。
つまり、家族全員のマイル口座にあるマイルすべてを足し合わせることができたなら、問題なく希望する特典航空券の予約が可能だとしても、通常はだれか1人だけのマイル口座単独でその必要マイル数を満たしていない限り、予約手続きはできないということを意味します。
しかし、JALカード家族プログラムはそうした状況を大きく変えることができます。
なぜなら、JALカード家族プログラムに登録している家族間では、
- マイルを合算しての利用が可能
- 合算時は有効期限の短いものから自動的に利用
- 合算は1マイル単位から実施
ようなマイル利用に関する特別なサービスが提供され、それぞれの家族にマイルが分散していたとしても、それらを合算した上で問題なく特典航空券の予約が可能になるのはもちろん、せっかく貯めたマイルを有効期限切れで失効させてしまうリスクが大きく軽減できる仕組みとしても機能してくれるから。
実際、1人だけでのマイルが貯まるペースでは、マイルの有効期限切れの前に特典航空券の交換が難しい家族でも、とりあえずJALカード家族プログラムに登録しておくだけで、家族全体としての特典航空券との交換の助けになるのは間違いありません。
また、そうした中で、マイルを使う予定のない時には他の家族に提供し、逆に、自分自身が必要な時には他の家族に必要なマイルを提供してもらうといった家族内で緩やかなマイルの貸し借りが可能になるのも、上手に活用したいJALカード家族プログラムの機能の1つです。
JALカード家族プログラムを利用するための条件
このように、せっかく貯めたJALマイルを無駄なく有効活用するために役立つサービスとして、とても頼りになるJALカード家族プログラムですが、実際に利用するうえで注意しなくてはいけないポイントが存在しているのも事実です。
それは、JALカード家族プログラムに登録するための満たす必要のある条件。
というのも、JALマイルを貯めている利用者なら誰でもJALカード家族プログラムが利用可能というわけではなく、
- 1名の親会員と9名までの子会員の登録が必要
- 親会員はJALカードの本会員限定
- 子会員はJALカード本会員、JALカード家族会員、JALカードnavi会員、18歳未満のJMB会員のいずれか
- 親会員と子会員は生計を同一にする配偶者と一親等以内の家族
- 親会員と子会員の姓(苗字)が異なる時には、子会員は生計が同一であることに加え、同じ場所で同居している必要あり
- JMB日本地区会員のみ利用可能
といった条件を満たすことで、登録が可能になり、その後ようやくJALカード家族プログラムでのマイル活用が現実のものになるという制限があるから。
これらのJALカード家族プログラムに登録するための条件の中で特に難易度が高いと感じる原因になる可能性が高いのは、18歳以上の家族はすべてJALカードを保有する必要があるということかもしれません。
特に、JALカードは、基本的に年会費無料での継続は不可とされていますから、継続する限り、本会員では年間で税込み2,200円以上、家族会員でも年間で税込み1,100円以上の年会費負担は求められることになります。
一方で、JALカード家族プログラムの登録手数料や年会費といったコストは無料と設定されているのですが、18歳未満という一部の限られた利用者以外は例外なくJALカードの保有者として年会費を負担しているわけですから、実質的には年会費有料のJALカードに自動的に付帯する一種の有料サービスといえるかもしれませんね。
JALカード家族プログラムの登録手続きと変更手続き、退会手続き
こうした形での容易なJALカード家族プログラムの登録のハードルが用意されているものの、基本的にJALマイルを貯める上で間違いなく役立つことになるJALカードを保有しているのなら、近しい家族の間での登録手続きはとても想像以上にスムーズなものです。
というのも、JALカード家族プログラムの登録方法としては、
- JALカード会員専用ページ「MyJALCARD」からのオンライン申し込み
- 専用の申込書類「JALカード家族プログラム登録申込書」を取り寄せ、記入後に返送する郵送申し込み
の2種類が用意されているのですが、その中でもオンライン申し込みは申し込み手続き完了後、即時に登録が完了するのはもちろん、そのまますぐに家族間のマイルを合算した上での特典航空券などの予約も可能になるという手軽さを持ち合わせているから。
そのため、親会員と姓が異なる子会員を登録する必要があるなどの何らかの特別な事情がない限りは、基本的に「MyJALCARD」からのオンライン申し込みの利用が本当におすすめです。
こうして利用を開始することになるJALカード家族プログラムですが、一度登録手続きが完了のしたなら、通常は追加の手続きなどを行う必要のないメンテナンスフリー状態で、利用を継続できるという手軽さをはっきりと実感できるサービスに仕上がっています。
実際、登録手続き完了した後は、マイルを貯めることに集中するのみでこれまでの何倍もマイルの有効活用が可能になるのは間違いありません。
ただし、JALカード家族プログラムの利用目的として、こうしたJALマイルの共有以外に、後述するようなJALサービスセレクションのパートナーステイタスコースの利用を考えた場合は、少し事情が異なり、
- JALカード家族プログラムに参加する家族の内訳
- 誰を親会員にするのかの選択
といった部分での変更手続きが必要になることも考えられます。
ただし、JALカード家族プログラムでは、新たに子会員を追加する場合などは前述のようにオンラインでの申し込みが可能なものの、それ以外の、
- 親会員を別の子会員に変更する
- 親会員や子会員をJALカード家族プログラムから退会させる
といった変更を伴う手続きのすべては、基本的に必要な書類を取り寄せたうえでの、郵送申し込みが必須となるのは要注意です。
JMBダイヤモンド向けJALサービスセレクションのパートナーステイタスの条件としてのJALカード家族プログラム
このようにして、登録や活用が行われているため、一般的にはマイルの共有によるJALマイルの有効活用を強力に後押ししてくれるツールとして広く愛用されているJALカード家族プログラムですが、実は、それとは別に重要な役割を持つサービスとしての一面も持ち合わせています。
それが、JALが数多くの有償搭乗を積み重ねた利用者向けに用意する上級会員ステイタスのうち、最上位に位置するJMBダイヤモンドが利用できるJALサービスセレクションのパートナーステイタスコースの利用条件の1つになっているというもの。
このJALサービスセレクションというのは、例年、JMBダイヤモンドとJGCプレミアの上級会員ステイタスを保有する利用者を対象に、
- JALセレクション e JALポイントコース
- パートナーステイタスコース
- スマートギフトコース
- JALセレクション JALクーポンコース
- 選べるギフトコース
という合計5つの異なる個性を持つ特典がもれなく用意され、
- 11月上旬から中旬頃に複数のコースの組み合わせの具体的なサービス内容が発表
- 12月初旬から翌年1月31日までの申込期間中にJALホームページのサービスセレクション専用ページから好きなコースを選択
- 3月下旬から4月初旬頃までの間に申し込んだ特典が実際に利用可能な状態に
といったスケジュールで提供されるサービスのことです。
実際、年末からコース選択が開始されるサービスということもあって、まるでJAL側からの毎年恒例で贈られるお歳暮のような印象を持ちながら、おなじみのイベントの1つとして、楽しみにしている利用者も多いはず。
そうして提供されるコースの中でも、JMBダイヤモンド向けのパートナーステイタスは、
- 配偶者
- 同性パートナー
- 会員本人と同じJALカード家族プログラムに登録している家族
- 会員本人と同じJALファミリークラブに登録している家族
に対し、会員本人と同じJMBダイヤモンドの上級会員ステイタスを無償で提供できるという驚くべき内容になっています。
実際、こうして提供されるJMBダイヤモンドに到達するためには、JAL便名の付与されたフライトを中心に有償搭乗を積み重ね、120回分、あるいは上級会員ステイタス到達用の専用ポイントを10万ポイント以上獲得する必要があるなど、なかなか過酷なものですから、対象者の中でも特に条件の緩やかな会員本人と同じJALカード家族プログラムに登録できる、
- 会員本人の配偶者(同性パートナー含む)
- 子/子の配偶者
- 孫/孫の配偶者
- 兄弟/姉妹
- 父母
- 祖父母
なら、仮に有償搭乗を全く行っていないとしても、JMBダイヤモンドの上級会員ステイタスを獲得できる時点でサービスとして破格なのは間違いありません。
ちなみに、JMBダイヤモンドと同様に、JGCプレミアでも、JALサービスセレクションでパートナーステイタスコースを選ぶことで家族に会員本人と同じJGCプレミアの上級会員ステイタスを提供できるのは変わらないのですが、その対象となる家族の範囲が大きく制限されるのは要注意です。
というのも、JGCプレミア向けのJALサービスセレクションのパートナーステイタスコースでは、提供する家族の条件として、JMBダイヤモンド向けの条件に追加する形で、JGC会員であることが求められているから。
しかも、このJGC会員は本会員以外の家族も家族カード会員として利用することができるものの、本人と生計を同一にする、
- 本会員の配偶者
- 本会員の父母
- 本会員の18歳以上の子/子の配偶者
に限られているため、JGCプレミアに到達したJGC本会員がJALサービスセレクションのパートナーステイタスコースを利用して、JGCプレミアの上級会員ステイタスを提供できる家族の範囲も、
- 会員本人の配偶者(同性パートナー含む)
- 子/子の配偶者
- 父母
に制限され、JMBダイヤモンド向けのパートナーステイタスコースでは対象として選択可能だった、
- 孫/孫の配偶者
- 兄弟/姉妹
- 祖父母
というような会員本人から2親等離れた家族は対象外になってしまっています。
このようにJGCプレミアだけに追加されているJGC会員という条件は、より広い範囲の家族への上級会員ステイタス提供を狙う時に確かなハードルとして立ちふさがりますから、この部分が一見大きな差が感じられないJMBダイヤモンドとJGCプレミアの間のパートナーステイタスコースで設けられた利便性の部分での違いと言えるのかもしれません。
JMBダイヤモンド向けJALサービスセレクションのパートナーステイタスで2親等離れた家族を選択する方法
このように、同じJALサービスセレクションのパートナーステイタスコースでも、JGCプレミア向けのものに比べ、大きく条件が緩和されているJMBダイヤモンド向けの対象となる家族ですが、少しだけ注意を要するのは2親等離れた家族にJMBダイヤモンドの上級会員ステイタスを提供する時です。
というのも、シンプルにJMBダイヤモンドの会員本人が親会員としてJALカード家族プログラムを登録した場合は、対象となる家族は、
- 会員本人の配偶者(同性パートナー含む)
- 子/子の配偶者
- 父母
となり、JGC会員になる必要こそないものの、家族の範囲としてはJGCプレミア向けのJALサービスセレクションのパートナーステイタスコースと全く同じものに制限されてしまうから。
それを回避するためには、JALカード家族プログラムの登録時に、
- 孫/孫の配偶者
- 兄弟/姉妹
- 祖父母
といった上級会員ステイタスの提供を希望する家族ごとに、どの家族をJALカード家族プログラムの親会員にするのかという部分でのちょっとした工夫が必要になります。
具体的には、
- 孫/孫の配偶者:会員本人の子供のうち、提供を希望する孫の親にあたる家族を親会員にする
- 兄弟/姉妹:会員本人の親を親会員にする
- 祖父母:提供を希望する祖父母の子にあたる、会員本人の親や義理の親を親会員にする
といった形になります。
つまり、JALカード家族プログラム登録時に、上級会員ステイタスの提供を希望する2親等離れた家族との間に位置する1親等の家族を正確に親会員として指定する必要があるということですね。
この部分の場合分けについては文章で読むと難しく感じるかもしれません。
しかし、実際に簡単な家系図などを目の前にし、会員本人と提供してあげたい2親等の家族との間に挟まれた1親等の家族を確認すると、親会員となるべき家族が直感的に理解できるはずですから大きな心配は不要と言えるはずです。
もちろん、JALカード家族プログラムの親会員になるためには、その1親等の家族本人がJALカードの本会員である必要があるのは、うっかり忘れて意外なケアレスミスしてしまう可能性がある要注意ポイントとしてから少しだけ警戒が必要かもしれません。
JALカード家族プログラム最大のデメリットと解決策
このように、有効活用につながるマイル共有としての機能だけではなく、JALサービスセレクションのパートナーステイタスコースにでの上級会員ステイタス提供でもお世話になる、JALカード家族プログラムですが、利用する上で1つだけ大きなデメリットが存在しています。
それが、JALカード家族プログラムに登録している家族内でのマイル詳細の共有です。
このマイル詳細の共有というのはどういうことかというと、通常、JALカード家族プログラムに登録している家族は、自分自身だけではなく、一緒にJALカード家族プログラムに登録している家族についても、
- 保有しているマイル数
- 過去約1年間の獲得したマイル数とその内訳
- 過去約1年間の利用したマイル数とその内訳
- 過去約1年間の有償搭乗と特典での搭乗の内訳
といった種類の情報が自由に確認できるようになるというもの。
実際、これらのマイル詳細の情報を確認できることで、
過去約1年間の獲得したマイル数とその内訳:
- JALカードの利用で獲得したJALマイル数から1か月ごとの決済金額の概算
過去約1年間の利用したマイル数とその内訳:
- 特典航空券との交換が行われた場合、今後1年間の旅行の有無
過去約1年間の有償搭乗と特典での搭乗の内訳:
- 過去1年間のJALや提携航空会社を利用した旅行先や旅行期間
といった内容がほぼ丸裸状態になってしまいます。
もちろん、JALカード家族プログラム自体がマイルの有効活用を前提に、マイルの共有を行うような近しい家族を対象としたサービスですから、これらのマイル詳細上の情報が共有されることも気にならないという方や、便利でお得なサービスだからこの程度の代償は仕方ないと考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、中には、家族間でも一定のプライバシーを大切にしたいと考え、こうした情報が共有されてしまうことが気になってしまい、JALカード家族プログラムに申し込めないという方もいらっしゃるはずです。
では、そうした家族間での一定以上のマイル詳細の情報共有は避けたいと感じている利用者は、JALカード家族プログラムのマイル共有の恩恵を全く受けることができないのかというと、実はそうではありません。
なぜなら、適切な手続きを行うことで、マイル共有は行いながら、マイル詳細の情報共有を回避することは可能だから。
具体的には、JALカード家族プログラムに親会員として登録した会員本人が、JALカードを用意した上で、JALカード家族プログラムデスク(0120-747-607 / 03-5460-8911)に電話での問い合わせを行うというもの。
実際に、電話が繋がると、自動音声の指示に従って、
- JALカードの最大16桁のカード番号
- 4桁の暗証番号
を入力することで本人確認が行われ、それが完了すると、担当オペレーターの方が電話口に出てくれますから、
「JALカード家族プログラムデスクに登録している家族間のマイル内訳を個別表示(インディビジュアル表示)への変更を希望したい」
と伝えるのみ。
その後、数分から数十分程度で、上の画像のように家族の名前などはそのまま表示されるものの、肝心のマイル詳細の内容はごっそり削除されることで情報共有が停止されるようになります。
確かに、電話で問い合わせを行うという手間こそ必要で、手軽とは言えないものの、この機能を利用することで、マイル詳細の情報共有が全く気にならないという方だけではなく、これまではプライバシーの面が気になり、JALカード家族プログラムデスクの利用ができないという方も大きな不安を感じることなく利用できるようになるのは嬉しいポイントかもしれません。
まとめ
せっかく貯めたJALマイルを有効活用する大きな助けになるサービスの一角を担う、JALカード家族プログラム。
確かに、登録を行うための条件に年会費単が必須なクレジットカードのJALカード保有が含まれるため、誰でも手軽さを感じながら利用できるとは断言できないのは残念なものの、JALマイルを本格的に貯めた上でしっかりと活用するためには、ぜひとも利用したいサービスなのは間違いありません。
また、マイルの共有という身近な利用目的以外にも、JMBダイヤモンドやJGCプレミアといった上級会員を対象としたJALサービスセレクションのパートナーステイタスコースでは、対象となる家族の範囲を大きく広げる重要な役割を果たすなど、しっかりと意外に奥深さを感じさせる一面を持ち合わせているのも面白いと感じるポイントです。
とはいえ、登録や利用のための条件さえ満たすのであれば、シンプルで手軽な利用にも、工夫しての少し手の込んだ利用にも、利用者の目的や好み、考え方に合わせて自由に活用できるのがJALカード家族プログラムですから、一度少しだけ時間を確保して、その底力を確認してみるのもなかなか価値あることだと思いますよ。
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