ビジネスクラスやファーストクラスなどの上位クラスの利用者に加え、各航空会社の上級会員も利用対象として提供される魅力的な特典、優先搭乗。
この優先搭乗では、一般の利用者よりも早いタイミングで機内に案内される結果、慌ただしくなりやすい搭乗時にも余裕を持って過ごせることは重要なメリットです。
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優先搭乗の大敵になるバス搭乗
そんなメリットを持つ特典として提供される優先搭乗ですが、せっかくのメリットを台無しにしてしまう搭乗方法が存在しています。
それがバス搭乗。
このバス搭乗というのは、搭乗ゲートからボーディングブリッジを通って機内に向かう一般的な搭乗方法に対し、搭乗ゲートからバスに乗って、離れた場所に準備されている飛行機に向かうという搭乗方法です。
そのため、こうしたバス搭乗では優先搭乗によって他の利用者の方よりも先にバスの中に入ること自体は可能な一方、最も大切な飛行機の前にバスが到着し、タラップを登って機内に入る時には、優先搭乗利用の可否ではなく、どれだけバスに用意された出口に近い位置に乗れたのかどうかが、飛行機の機内に入る順番を決定することになる以上、通常の優先搭乗と同じような優先扱いは期待できるものではありません。
また、例え大雨が降っている時でも、バスを降りた後は飛行機に装着されたタラップ上の滑りやすい階段を利用して機内に入る必要がありますから、優先搭乗を利用できるできないに関わらず、気楽さという面では通常の搭乗方法に比べて、大きなデメリットを感じる方も多いはず。
実際、バス搭乗は、
- 近距離の路線での運航便
- 利用者が少なく搭乗率も振るわない傾向にある便
- 車椅子などの特別なお手伝いを要する利用者がいない便
- 利用するはずの機材で突発的なトラブルなどが発生した便
といった条件を満たす時に経験する可能性が高いと感じているため、こうした便を利用する時は少し警戒しているのも正直な部分です。
意外に嬉しい羽田空港国際線でのバス搭乗
そうした事情もあって、あまり好きにはなれないバス搭乗ですが、ちょっとした例外が1つだけ存在しています。
それが羽田空港の国際線利用時のバス搭乗。
というのも、羽田空港からの国際線利用時でバスに搭乗するバスラウンジの位置が、国際線ターミナルの113番から114番ゲートの付近に位置しているだけではなく、そこからバスで向かうオープンスポットも、それらのゲートに駐機している飛行機のすぐ近くの道路を通過することになるため、バスの中から想像以上に近い位置関係で飛行機の全体像を楽しむことが可能になります。
特に、バスに乗って飛行機に向かっている時に、付近のゲート、その中でも114番ゲートに到着しようとしている飛行機と遭遇した時には、目の前をちょっとした建物並みの大きさを誇る構造物が意外なまでに早いスピードで悠然と動いていくわけですから、スリルと驚きに出会えるはず。
ただし、JALの羽田空港発の国際線を利用する場合、基本的には搭乗ゲートからボーディングブリッジを通って機内に向かう一般的で快適な搭乗方法が採用されることが多く、逆に不便なバス搭乗に遭遇する機会は珍しいというのが私の正直な感想です。
ゲート変更から始まる羽田空港国際線でのバス搭乗
そんな珍しい羽田空港発の国際線でのバス搭乗は、思いもしないゲート変更というイレギュラーから始まりました。
というのも、羽田空港から韓国・ソウルの金浦空港に向かう、JL95便にゲート変更が生じ、それまでJALが運営するラウンジにも近く、JAL利用時の搭乗ゲートとしても一等地の1つとして数えられる113番ゲートに指定されていたものが、132番ゲートという見慣れぬ数字のゲートへと変更になったから。
ちなみに、JL95便の定刻は19時40分ですが、搭乗ゲート変更のアナウンスが行われたの定刻の約1時間前ですから、何らかの突発的なトラブルが利用する予定だった機材に発生したのかもしれませんね。
また、搭乗開始時刻は元々定刻の20分前となる19時20分に設定されていましたが、ゲート変更に伴って、19時05分に変更。
結果的に、15分も繰り上げる対応が行われていますから、うっかり変更前の時間にバスが出発するバスラウンジに到着した場合、すでに搭乗が開始されていて、せっかくの優先搭乗利用のチャンスは失われていたということですね。
ちなみに、羽田空港の国際線でのバス搭乗では、基本的に優先搭乗は、
優先搭乗:
- 国際線ファーストクラス利用者
- ワンワールドエメラルド相当の上級会員
- ビジネスクラス利用者
- ワンワールドルビーからサファイア相当の上級会員
一般搭乗:
- エコノミークラス利用者
の2段階のみ。
同じJALが国内で国際線の拠点とする空港でも、成田空港では羽田空港とは異なり、バス搭乗でも、
- 優先搭乗1:国際線ファーストクラス利用者、ワンワールドエメラルド相当の上級会員
- 優先搭乗2:ビジネスクラス利用者、ワンワールドルビーからサファイア相当の上級会員
- すべての利用者:エコノミークラス利用者
というように、優先搭乗の順序を細かく分けて、大切にしているのとはどこか対照的ですね。
JL95便のバス搭乗
実際にバスへの乗車が始まったのは19時05分。
ゲート変更後に新たに設定された時間に予定通り、優先搭乗対象者からバスに乗り込んでいくことになりました。
もちろん、バス搭乗といっても、優先搭乗を利用することで、ほぼ確実にバス車内に席を確保できますから、これから5分から10分程度は空港内を疾走するバスに揺られることを考えるとメリットが全くないわけではありません。
また、早い段階でバスに入ることができたのなら、優先席以外の一般席の中でもバスの出入り口に近い便利を席に座ることができるのも嬉しいですね。
優先搭乗対象者を含む乗客を乗せたバス第一便の出発は搭乗開始後の19時10分。
途中、バスの窓からは、114番ゲートに向かうと思われる飛行機が誘導路をエンジン音を響かせながら疾走している様子を本当に近く感じる位置で見ることができて大満足。
バス出発から5分後の19時15分にはこれから搭乗する飛行機の前に到着し、ほとんど待つことなくバスのドアが開き、利用者はスムーズにタラップへと移動していきます。
この時にタイミングが悪いと、せっかくバスが飛行機の前に到着したとしても、「最終確認に時間を要している」というアナウンスと共に、混み合っているバス車内で数分から10分程度待つ必要があったりもしますから、この部分がスムーズだと快適で嬉しいですね。
JL95便の離陸から機内サービス
バスによる利用者の輸送終了後、最終的な出発の準備が整い、ドアクローズが行われたのは19時37分。
実際に出発時刻としても記録される、飛行機が動き始めるプッシュバックが開始されたのは19時40分。
つまり、バス搭乗を利用するために、本来の搭乗開始時刻だった19時20分よりも15分早い19時05分に搭乗を開始して、ちょうど定刻の19時40分に出発できたわけですから、バス搭乗はそれだけ手間と時間を要すると考えることができそうですね。
離陸は19時57分。
シートベルトサインがオフになったのは20時09分。
シートベルトサインがオフになるのと同時にビジネスクラスとエコノミークラスを隔てるカーテンが閉じられ、機内サービスの準備が開始されます。
そうして、ドリンクと機内食が提供されたのが20時19分。
羽田-ソウル・金浦線は近距離線ですから、機内食のメニューもその内容はシンプルで、
- 焼肉丼
- 栗かぼちゃサラダ
- ホワイトチョコケーキ
の3品。
同じ韓国線でも、JAL運航国際線の中で最も短距離の成田-釜山線では、上の写真のような時間短縮目的で加熱調理の行われないお弁当形式の空弁が機内食として提供されているのに対し、ソウル・金浦線では忙しい中でもしっかりとメインの料理が加熱されているのは感心させられるポイントです。
機内食の片付けが開始されたのは提供開始から24分が経過した20時43分。
機内食としての分量や品数的にも、比較的ゆったりと空の上での食事を楽しめたと感じた方も多いはずです。
JL95便の着陸から市内への移動
そんなJL95便の搭乗で気になっていたことの1つが搭乗率。
というのも、外交関係の変化によって両国間を移動する利用者が激減し、その結果次第では、JALが運航する便でも減便や機材の縮小、あるいは路線自体の撤退も可能性としては考えられるからです。
ただ、私が実際に利用したJL95便の搭乗率はそれほど悪いものではなく、満席とは言えないものの、ビジネスクラスもエコノミークラスも8割から9割程度の座席が埋まり、空席が目立つフライトではありませんでした。
このあたりは今後はっきりとした影響が出てくることも考えられますから、楽観視はできないものの、意外な奮闘ぶりに驚きを感じたのも事実です。
シートベルトサインが再びオンになり、着陸の準備が本格化したのが21時30分。
そこから実際にソウル・金浦空港に着陸したのが21時43分。
最終便にも関わらずボーディングブリッジと接続され、ドアが開いたのは21時48分。
定刻の到着時間は22時ちょうどですから、10分以上の早着ということですね。
これだけ順調に到着すると、入国審査や税関通過、韓国ウォンへの両替などを行っても、24時前後に設定されているソウル市街行の地下鉄終電にも余裕を持って間に合いますから、嬉しいポイント。
ソウルでの滞在では、金浦空港から地下鉄利用時に乗り換え無しで訪れることのできるコンラッドソウルを利用したのですが、飛行機を降りて約1時間と少し経過した後にはホテルの部屋に入り、くつろぐことができたのはやはり快適でした。
もちろん、これは金浦空港自体がコンパクトな空港なことに加え、入国審査や税関が空いていて、しかも、ちょうどタイミング良く地下鉄に乗車できた幸運も大きいですが、多少の変動はあっても気楽な空港なことに違いはありません。
ちなみに、到着後、飛行機から降りる時には、機内サービス提供時と同じ様にビジネスクラスとエコノミークラスの間が再びカーテンが隔てられ、ビジネスクラス利用者だけを対象とした優先降機が行われていました。
これは、エコノミークラスよりも格段に高額な運賃などの負担をしている上位クラス利用者がその負担に見合うゆとりを確保した状況で飛行機を降りられるという点で、個人的にはとても好印象な取り組みと感じています。
まとめ
様々なデメリットをもたらし、好きになれないと感じる方も多いバス搭乗。
しかし、羽田空港からのJAL国際線利用時には、時折稀に遭遇することになるバス搭乗は少しだけ異なる印象を感じさせてくれるチャンスになるかもしれません。
その時には、長距離線で活躍している大型機の間近を通過し、その目で楽しむ貴重な機会になるはずですから、少し注意して周りを見てみるのも面白いと思いますよ。
コメント
ご無沙汰しております。
我が家も95便はよく利用します。
残念ながら、沖止めバス搭乗はまだ一度もないですねぇ。帰りの94便は一度だけありますが、国内線の沖止めとちょっと違う景色なのは、新鮮でした。
そういえば、この間のスーパーGWに95便を利用したら、搭乗者総数十数名でした。788でエコノミーのCコンは、わずか6名。4人がけを独り占めできる数少ない経験でしたね。
おがさん、お久しぶりです。
コメントありがとうございます。
沖止め&バス搭乗は実質定番となる路線もある一方で、それ以外の路線で遭遇すると普段と少しだけ違う景色や様子と出会えるのはなかなか新鮮ですよね。
それにしても、中型機の788で運航の95便で搭乗者の総数が数十数名というのは衝撃的ですね・・・!
あまり例のない長期のお休みだからと観光では中・長距離線の利用を選択した利用者が多かったり、あるいは元々ビジネス需要の多い路線だからこその連休のあるべき姿だったのかなと思ったりしました。
こんばんは。
羽田も国際線のバス搭乗あるのですね。
私は成田でしか経験したことがありませんが、優先搭乗が終わるとバスは出発して一般の方は次のバスでしたので、そういう運用なのかと思っていました。
混載されると優先搭乗の意義が極端に無くなりますよね。
こんばんは。
私も正直、羽田の国際線でのバス搭乗には驚きました。
バス搭乗での優先搭乗については、様々な制限はあるとは思うものの、もうちょっとボーディングブリッジでの搭乗に近い優先扱いと快適性の提供を希望したいですね。