それぞれの航空会社で一年ごとの有償利用を積み重ねることで到達可能な上級会員ステイタス。
JALでも到達難易度が高い順番に、
- JMBダイヤモンド
- JGCプレミア
- JMBサファイア
- JMBクリスタル
の4つが用意されています。
さらに、それとは別に、JMBダイヤモンドやJMBサファイアに到達した利用者限定で入会申込が可能なJGCも存在し、毎年のクレジットカード年会費の負担だけで継続できるという点で、それ以外の上級会員ステイタスとは一線を画する扱いとなっているのは間違いありません。
目次
上級会員ステイタス特典とステイタスカード
これらの上級会員ステイタスを保有している利用者は、保有する上級会員ステイタスに応じて、一般の会員が利用できない様々な特典が提供されるようになります。
実際、そうした特典が最も充実しているJMBダイヤモンドの場合、
- 携帯電話からフリーダイヤル利用と優先的な接続が可能になる電話予約用ダイヤモンドプレミアムデスクの利用
- 予約時や出発空港での最優先空席待ち
- 足元のスペースが広い前方座席や非常口の事前座席指定での優遇提供
- 国内線を対象とした4日間の先行予約サービス
- 国内線で有償座席が残っている限り2倍の必要マイル数で特典航空券が確保可能なダイヤモンド特典航空券
- ファーストクラスチェックインカウンターでの優先チェックイン手続き
- 各種優先保安検査場へのアクセス
- JALファーストクラスラウンジを含めたファーストクラス利用者用ラウンジの利用
- 全ての国際線と一部国内線利用時に利用可能な最優先搭乗
- 40回までの国際線Wi-Fi無料利用クーポンの提供
- 預入荷物の最優先返却
- 最大130%にも及ぶ追加のボーナスマイル
- マイルの有効期限廃止
- 特定の商品のみを対象にした国際線機内販売事前予約
- マイルを利用したパイロット体験航空教室
- JALからのプレゼントがもれなくもらえるサービスセレクション
となっていて、これらの上級会員ステイタスによる特典の有無が、旅自体の快適性はもちろん、JALとの関わりで得られるお得度を大きく左右することは避けられないと感じるには十分なものです。
そんな上級会員ステイタスですが、新たに到達したり、あるいは次年度も継続したりすると、JALから郵送されてくるのがステイタスカードと呼ばれる専用の会員カード。
このステイタスカード上には、
- 獲得あるいは継続している上級会員ステイタス
- お得意様番号(JAL独自の会員番号)
- 会員本人の氏名
- 有効期限
が印字され、対象となる会員本人のみが利用可能なカードとして提供されています。
実際、パスポートでの本人確認が必須な国際線はともかく、国内線であればこのステイタスカードの提示だけで搭乗券が発券され、その搭乗券さえ提示できるなら保安検査場や搭乗ゲートの通過が可能になるわけですから、利用者の本人確認機能の一端も担うなど、シンプルな見た目や作りに反し、想像以上に重要なカードなのは間違いありません。
ステイタスカードの提示無しでも特典利用が可能なサービスとその理由
そうした重要性を持つステイタスカードですが、上級会員ステイタスを保有している会員向けの特典を利用する際は必ず提示する必要があるのかと言えば、実はそうではありません。
それどころか、普段の一般的な利用中では、ステイタスカードを提示することなく利用可能な特典が多く、ステイタスカードを提示するためにカード本体の携帯の必要性を感じないという方もいらっしゃるかもしれません。
こうした印象を持つことになるのはなぜかというと、上級会員ステイタスはあくまでそれぞれの会員のお得意様番号と紐付けられているものであって、上級会員ステイタスの利用にはステイタスカードの提示が必須の条件になっているわけではないから。
実際、一般的な利用の場面では、
- 予約デスクへの電話で行う手続き時に受けられる特典はお得意様番号での本人確認完了後、すぐに利用可能
- 予約時などにお得意様番号を入力し、上級会員ステイタスと紐付けられた予約では、搭乗券に保有する上級会員ステイタスが印字され、それを提示するだけで空港での特典利用が可能
となっていて、ステイタスカードを提示することはもちろん、そもそもステイタスカードの存在自体を意識することなく、それぞれの上級会員ステイタス毎に約束された特典を活用することが可能になっています。
特に、JALで予約し、正常に上級会員ステイタスが紐付けられたJALに搭乗する予約の搭乗券上には、
- 搭乗日
- 便名
- 出発地
- 到着地
- 搭乗開始予定時間や出発予定時間
- 搭乗ゲート
- 航空券番号
- キャビンクラス(ファーストクラスやビジネスクラス、エコノミークラスなど)
- シート番号
- 搭乗者の氏名
- SSSS(Secondary Security Screening Selection)の有無
といった基本的で必須な情報に加え、
- 上級会員ステイタスを保有している航空会社名
- 対象の航空会社での会員番号
- ワンワールドアライアンスでの上級会員ステイタスカテゴリー(エメラルドやサファイア、ルビーなど)
- 対象の航空会社での会員カテゴリー
などの上級会員ステイタス保有者向けの追加情報も記載されるようになっていますから、基本的搭乗券がステイタスカードの代わりを果たしてしまうのはもちろん、それでいて不便を感じないサービス提供が行われています。
実際、我が家でのJAL利用でも、国際線のチェックインカウンターではパスポートと共にEチケット控えの2点のみ、かたや国内線のチェックインカウンターではEチケット控えやJALカードのそれぞれ1点を提示するだけで、スムーズにチェックインの手続きが完了。
無事に搭乗券が手渡されたなら、その後の空港内は搭乗券だけで問題なく特典利用が可能ですから、ステイタスカードの出番が全くないということも珍しいものではありません。
JALアプリでのステイタス表示とステイタスカード一斉発行の終了
こうして保有する上級会員ステイタスに応じたステイタスカードがJALによって発行され、手元に送付されてくるものの、JALで予約し、JALに搭乗する場合を中心に、実際にはステイタスカードの必要性を感じる場面が少ないという状況が長い間続いていたのですが、2021年1月、そうした状況に大きな変化が生じることになりました。
というのも、2021年1月からは、
- 上級会員ステイタスの表示が可能になったJALアプリの活用を促す
- JALアプリの活用促進に伴い、これまで上級会員ステイタスに到達したり、継続できた対象者全員に送付していたステイタスカードの一斉発行を終了
- ステイタスカードは希望者のみへの発行に変更され、送付を希望する場合には無料ながら申し込み手続きが必要
といった変更が加えられることになったから。
このような変更が行われる場合、気になるのは利用者にとってデメリットが生じる改悪なのかということですが、個人的には改悪とは言えないと考えています。
なぜなら、前述のとおり、これまでも、少なくともJALで予約し、JALに搭乗する限り、ステイタスカードの提示は必須のものとはいえず、上級会員ステイタスが反映された搭乗券さえ用意できたのであれば、問題なくすべての特典をスムーズに利用できる状況だったから。
それが、上級会員ステイタスの提示方法がステイタスカードからJALアプリに変わったとしても、そもそも提示を必要とする機会が少ないのであれば、実際の使用感自体はどちらでも大きく変わることはありません。
しかも、これまで通りにステイタスカードの送付を希望する利用者に対しては、無料での発行は継続するわけですから。
その一方で、これまでステイタスカードを活用することがなく、必要性も感じていなかった利用者への発行が不要になることで送付に関するコスト削減も可能になりますから、ステイタスカードやJALアプリといった媒体を利用した上級会員ステイタスの提示自体が不要なサービスやシステムをすでに準備してきたJALにとってはこれまでのコツコツ積み重ねた努力が報われるという意味で嬉しい変更と言えるはずです。
JALアプリ活用のデメリットとステイタスカードが必要なケース
このように利用者にとっての実質的な悪影響はなく、毎年莫大なステイタスカード発送のために送料や作業コストを負担してきたJALにとってメリットの大きなJALアプリの活用促進と、それに伴うステイタカードの一斉発行終了ですが、デメリットが全くないわけではありません。
なぜなら、JALで予約し、JALに搭乗するといった一般的な利用から外れた場合、スマートフォンやタブレットなどで表示するJALアプリ上の上級会員ステイタスよりも、さらに直接的に上級会員ステイタスを証明するステイタスカードの方がよりスムーズに特典利用が実現できる可能性の高いケースがいくつか存在しているから。
具体的には、
- ワンワールドアライアンス以外のJAL独自の提携関係を持つ航空会社が用意するサービス利用時
- 特典利用のための上級会員ステイタス保有航空会社とは別の航空会社にマイルや上級会員ポイントといった搭乗実績を加算したい時
といったケースです。
まず、「ワンワールドアライアンス以外のJAL独自の提携関係を持つ航空会社が用意するサービス利用時」というのは、例えば、パリのシャルルドゴール空港でエールフランスが運営するラウンジを利用する時などが挙げられます。
というのも、このエールフランスは、JALが加盟するワンワールドとはライバル関係のスカイチームに加盟している一方、JALとは一対一の航空会社間で提携関係を結んでいて、コードシェア便の運航や特典航空券の相互利用に加え、空港でのチェックインカウンター運営やラウンジサービス提供でも協力体制を構築している状況にあります。
ただし、その結果として、空港で提供される上級会員ステイタス保有者向けの特典の中には、上級会員ステイタスが反映された搭乗券のみではエールフランスの係りの方が対象者かどうか判別できず、ステイタスカードの提示が求められるケースが多いから。
もちろん、ステイタスカードを携帯せず、その代わりにJALアプリを利用しているという方の場合、こうしたケースでもJALアプリ上の上級会員ステイタスの表示を提示することになるのですが、JALアプリ上の表示は日本語が基本となっていて、そのままでは、海外の航空会社のスタッフの方は読解に苦労してしまいます。
もちろん、JALアプリの設定画面から言語選択を英語に切り替えることも可能とはいえ、事前に切り替えるのを忘れたりすると、スムーズな提示ができないことも考えられるのも難点。
また、日本よりもネット環境の善し悪しが分かれてしまう海外では、基本的にインターネットへの接続した上での利用が必要となるJALアプリを頼りにするというのは、個人的には抱え込みたくない種類のリスクとして、気になるのも正直な部分です。
そのため、少なくともワンワールド以外の提携航空会社が提供するサービスを上級会員ステイタスを活用して利用すると事前に分かっている場合などは、あらかじめステイタスカードを用意しておくのが無用のトラブルや時間を要する形のスマートではない手続きを避ける意味ではおすすめだと感じています。
さらに、こうした提携航空会社が提供するサービス利用時に比べると、一般的なものではないものの、同じようにステイタスカードの準備がおすすめなケースとしては、2つ目の「特典利用のための上級会員ステイタス保有航空会社とは別の航空会社にマイルや上級会員ポイントといった搭乗実績を加算したい時」は忘れることができないはずです。
具体例としてはどういうものなのかというと、今現在、JALの上級会員ステイタスを保有しているものの、そこからさらに同じワンワールドに加盟するブリティッシュエアウェイズの上級会員ステイタスの獲得のために、有償搭乗を行うようなケースです。
この場合、航空券予約時に登録済みのブリティッシュエアウェイズの会員番号で紐づけられた上級会員ステイタスが一般会員で、通常は上級会員ステイタス保有者向けの特典が全く提供されない状況だとしても、搭乗券と一緒にJALのステイタスカードを提示することで、
- 搭乗実績はブリティッシュエアウェイズに加算可能
- ラウンジ利用や優先搭乗はJALの上級会員ステイタスに準じたものを利用可能
というように、美味しいところだけを活用できるようになります。
こうした利用では、手続きを行うタイミング的に比較的ゆとりのあるラウンジの入室だけではなく、どこか慌ただしい空気の中、錯綜した状態で手続きが進められることも多い優先搭乗のタイミングでも、搭乗券と共に上級会員ステイタスの証明となる媒体を提示する必要があるわけですから、
- 周辺の明るさと画面の明るさの差
- 周囲の光の画面での反射
- 予期せぬスリープ
などで、スムーズな確認ができないリスクのあるJALアプリのスマートフォンやタブレット上での利用は、安心しての利用が難しいというのが正直な印象です。
一斉発行終了でもステイタスカードの申し込みをおすすめしたい条件
こうして、JAL側にとっての大きなメリットと一部の利用者への小さなデメリットを持ち合わせている、ステイタスカードの一斉発行の終了ですが、そうした状況でもとりあえずステイタスカードの発行を行うのがおすすめな条件が存在するのも事実です。
具体的には、
- ワンワールドに加盟していないJAL独自の提携航空会社を利用する見込みがある
- 現在上級会員ステイタスを保有しているJALからそれ以外の航空会社の上級会員ステイタスへ快適に乗り換える計画がある
- 有償搭乗の積み重ねや上級会員ステイタス獲得の記念や継続のモチベーションとしてステイタスカードを手にしておきたい
という3つです。
1つめと2つめは必要に迫られてという面があるため、迷うという方は少ないと思うものの、問題となるのは3つめの記念やモチベーション目的の場合かもしれません。
これについては、基本的に、どの種類のカードでも一度ステイタスカードを手にし、それから判断してみるのがおすすめだと考えています。
というのも、JALが発行するステイタスカードは、シンプルなデザインながら全体的にきれいな仕上がりになっていて、想像以上に好印象を感じる可能性のあるものだから。
特に、毎年継続する場合、手元に残り、数が少しずつ増えていくステイタスカードがある種の記念や次回以降の継続へのモチベーションの1つになることも十分考えられるというのは意外に嬉しいポイントです。
しかも、一斉発行が終了し、希望者だけへの送付と変更された後は、ステイタスカードの発行を希望できるのはその上級会員ステイタスを保有している期間だけで、そのあとは発行するのかどうかを悩むことすらできないわけですから、とりあえず記念目的やモチベーション目的で少しでもステイタスカードが気になるという方は送付を申し込んでおくのがおすすめだと考えています。
ちなみに、我が家の場合は、国際線利用時に、提携航空会社提供によるサービスを受ける可能性があること、さらには上級会員ステイタス継続の記念品としてステイタスカードを気に入っているということもあり、2021年2月以降にステイタスカードの発行を忘れないうちに希望するつもりです。
まとめ
JALで予約したJALに搭乗する航空券を中心に、ステイタスカードの提示することなくしっかりと活用可能な形でサービスが提供されている上級会員ステイタス保有者向けの様々な特典。
そうしたJAL側の努力の成果を有効活用する意味でも、2021年1月から実施される対象者全員へのステイタスカードの一斉発行終了は、とても合理的で優れた取り組みと言えるはずです。
ただし、利用者への影響は極力抑えられているとはいえ、活用方法によっては代替手段として用意されたJALアプリでの上級会員ステイタスの表示に不安を感じるのも事実ですから、そうした活用を考える場合には、JALアプリの利用にこだわるのではなく、あえてリスク回避重視でステイタスカードに頼ってみるというのもおすすめだと感じています。
また、実際に有償搭乗を積み重ねた上で獲得したり、継続することのできたステイタスカードには、記念としての嬉しさやモチベーションとしての頼もしさも感じるという方もいらっしゃるはずですから、そうした方は念のためと考え、迷わずに2021年1月以降も発行の手続きを行い、手元に残しておくのはとても重要なことになるはずです。
特に、普段使う機会のないものほど、一度うっかり手続きを忘れるとそのまま申込期限になってしまうリスクも高くなりますから、2021年1月以降にステイタスカードの発行を希望する場合、早め早めの手続きが後で後悔することを回避するためにはなかなか重要だと思いますよ。
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